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ホームラン・ダービーの呪いは本当!? 出場すると調子を落とすのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
前年優勝のアーロン・ジャッジは今年のダービーに出場せず Jul 10, 2017(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 7月11日時点で25本以上のホームランを打っている5人は、オールスター・ゲームには選ばれているものの、前日に行われるホームラン・ダービーには出場しない。20本以上の18人に範囲を広げても、ダービー出場は3人、23本のヘスス・アギラー(ミルウォーキー・ブルワーズ)、22本のブライス・ハーパー(ワシントン・ナショナルズ)、21本のマックス・マンシー(ロサンゼルス・ドジャース)だけだ。ちなみに、マンシーはオールスター・ゲームのロースターには入っていない。

 不参加を表明したり、出場を辞退する選手が口にする理由はさまざまだが、ホームラン・ダービーに出場すると調子を落とすと考えている選手は、少なくないと思われる。過去には、はっきりそう発言した選手もいた。

 では、実際のところはどうなのだろうか。過去6年(2012~17年)の出場選手、延べ50人について調べてみた。

 前半戦と後半戦を比べ、ホームラン1本に要した打数を1.0以上減らし、ペースアップした選手は12人いた。例えば、2012年のホームラン・ダービーで優勝したプリンス・フィルダーは、前半戦も後半戦も15本ずつだが、打数/本塁打は21.4→17.3だ。一方、1本当たりの打数が1.0以上増え、ペースダウンした選手は33人に上る。残る5人中3人は±1.0打数未満とほぼ変わらず、2人は後半戦の大半を欠場し、ホームランを打っていないので除外した。

 この割合は、打率とOPSもほぼ共通する。打率は10ポイント以上のアップが15人、ダウンが27人、10ポイント未満の変動が8人。OPSは30ポイント以上のアップが10人、ダウンが34人、30ポイント未満の変動が6人だ。

 やはり、ホームラン・ダービーの呪い――そう呼ぶべきかはさておき――は存在するように見える。

 もっとも、断定はできない。もしかすると、スポーツ・イラストレイテッドの呪いと似ているのかもしれない。この雑誌の表紙を飾るのは、期待される選手とともに、好調な選手が多い。その時点がピークであれば、当然ながら以降は下降線を描く可能性が高い。ホームラン・ダービーの出場選手も同じように、さらに調子を上げるか維持するよりも(ダービー出場とは関係なく)調子を落とす選手が多いというわけだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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