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大谷翔平に続き、エンジェルスに故障者が続出。DL15人は球団新記録。このままエンジェルスは沈むのか

宇根夏樹ベースボール・ライター
ギャレット・リチャーズ(ロサンゼルス・エンジェルス)May 16, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ロサンゼルス・エンジェルスに故障者が相次いでいる。6月15日に4人が加わり、同時に15人がDL(故障者リスト)入りという、球団新記録を作った。開幕ロースターの25人中、現在のロースターにいるのは半分以下の12人だ。まさに、M*A*S*Hと表現するのがぴったりくる(その意味は「故障中の日本人投手4人のうち、最初に復帰するのは前田健太。まもなく、M*A*S*Hから「退院」」で書いた)。

筆者作成
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 先発投手陣に関しては、開幕前から健康が不安視されていた。過去2年とも長期欠場して6先発ずつしかできなかったギャレット・リチャーズをはじめ、前年にメジャーリーグで25先発以上の投手は皆無。北海道日本ハム・ファイターズにいた大谷翔平も、登板は5試合に過ぎなかった。

 ここから、万全のローテーションを組める見通しもない。開幕前にシーズン全休が決まったアレックス・メイヤーだけでなく、マット・シューメイカーJC・ラミレスも、復帰は来シーズンとなる。大谷がいつ復帰できるかもわからない。ニック・トロピアーノのDL入りは、5月に続いて今シーズン2度目だ。前回も今回も、右肩を痛めた。また、アンドルー・ヒーニーはDLにいないが、3月下旬に左肘を痛めてDLに入り、シーズン初登板は4月中旬までずれ込んだ。こちらも、過去の故障と同じ箇所だ。ヒーニーはPRP療法後、トミー・ジョン手術を受けた。

 エンジェルスがポストシーズンに進出するには、少なくともア・リーグ西地区の2位以内に入る必要がある。東地区ではニューヨーク・ヤンキースとボストン・レッドソックスが快調に飛ばしており、2枠あるワイルドカードの1枠は埋まったも同然だ。ただ、西地区にはヒューストン・アストロズがいる上、シアトル・マリナーズが予想外の快進撃を続けている。エンジェルスは6月11日からマリナーズと3試合を行い、スウィープされた。6月15日にオークランド・アスレティックスを下し、連敗は4で止めたが、アストロズとマリナーズに追いつけるかには疑問が残る。

 夏のトレードで動くにしても、リチャーズとトロピアーノの離脱が長引くようだと、補強ポイントは、不安定なブルペンと駒不足の先発投手陣の2つに増える。シーズン中に大谷が戻ってきても、その頃には、ポストシーズン進出は絶望的になっている可能性もある。戻ってこられなければ、現役最高の選手であるマイク・トラウトの孤軍奮闘、あるいはトラウトという至宝の持ち腐れのシーズンが、繰り返されてもおかしくない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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