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死球は今回が初めてだが、この打者と投手には因縁あり

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャンカルロ・スタントン/死球の直前 Jun 4, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 6月4日、ジャンカルロ・スタントン(ニューヨーク・ヤンキース)の左肘に、マイク・ファイヤーズ(デトロイト・タイガース)の投げた球が当たった。2人の対戦で死球が記録されるのは、これが初めてだ。けれども、4年前の対戦で、スタントンは大怪我をした。

 2014年9月11日のことだ。スタントンはすでにマイクではなくジャンカルロと名乗っていたが、当時はマイアミ・マーリンズにいた。ファイヤーズはミルウォーキー・ブルワーズの選手だった。

 この試合で、ファイヤーズの投球がスタントンの顔面を直撃。スタントンは立ち上がれずに搬送され、そのままシーズンを終えた。死球ではなくカウント0-2となったのは、倒れる時のバットの動きから、スウィングをしたと判定されたためだ。代わって打席に入ったリード・ジョンソンが最初の球を空振りし、スタントンに三振が記録された。翌年から、スタントンはヘルメットにフェイス・ガードを装着した。

 2人はその後、昨年3月のエキシビション・ゲーム(オープン戦)と今年4月の公式戦で対戦した。当時の様子を見る限り、遺恨が残っていたようには思えないが、さすがに今回はぶつけられるのが2度目だったせいか、スタントンは強い口調でファイヤーズに何か言い、それに対してファイヤーズも言い返した。捕手のジェームズ・マッキャンがスタントンをなだめながら、一塁の手前まで付き添うように歩いていった。

 死球の次の打席で、スタントンはファイヤーズから本塁打を放った。

 移籍しなければ、2人は8月30日~9月2日に再び対戦する可能性がある。わざとではないにせよ、ファイヤーズは昨シーズン、ア・リーグ最多タイの13与死球を記録している。3度目となれば、乱闘が起きかねない。そうなれば、昨年8月にこのカードで大乱闘があったことも――スタントンもファイヤーズも現在のチームでプレーするのは今シーズンからなので関わっていないが――火に油を注ぐかもしれない。死球(あるいはそう記録されなくても打者に当たる投球)にせよ、乱闘にせよ、誰も怪我をしなければいいのだが……。

 なお、スタントンとファイヤーズの対戦は通算10打数2安打、5三振だ。

 

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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