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来シーズンのメジャーリーグは6球団が新監督。一方、今シーズン途中の監督交代はゼロ。珍しいのはどっち?

宇根夏樹ベースボール・ライター
ガーデンハイヤー監督はツインズを地区優勝に6度導いた SEP 21, 2010(写真:ロイター/アフロ)

 レギュラーシーズンの間、監督交代は一度も起きなかった。どの球団も、開幕戦と同じ監督のまま162試合目を迎えた。デトロイト・タイガースがブラッド・オースマス監督の契約を更新しないと発表したのは9月22日だが、残る9試合もオースマスに指揮を執らせた。

 一方、その後はいくつもの球団がタイガースに続いた。フィラデルフィア・フィリーズは9月29日に、ピート・マッカニン監督の続投はないと声明を出した。かねてから噂の出ていたニューヨーク・メッツのテリー・コリンズ監督は、162試合目を終えた後、監督の座から降りることを自ら明かした。

 最終戦で対戦したマッカニンとコリンズは、試合前にラインナップ・カードを交換した際、ハグを交わした。2人とも、GM特別アシスタントとして球団に残る。

 さらに、ジョン・ファレル監督(ボストン・レッドソックス)、ダスティ・ベイカー監督(ワシントン・ナショナルズ)、ジョー・ジラルディ監督(ニューヨーク・ヤンキース)の3人は、ポストシーズン進出を果たしながら、シリーズ敗退後に解任された。

 現時点では、少なくとも6球団が新たな監督で来シーズンを迎える。ただ、これはそう珍しいことではなく、過去5年間に2度起きている。2015年と2013年はどちらも、6人の新監督が開幕戦で采配を揮った。それに対し、監督の途中交代がまったくなかったシーズンは、2006年を最後に途絶えていた。

 ヤンキースを除く5球団の新監督は、すでに決まっている。タイガースはロン・ガーデンハイヤー(前アリゾナ・ダイヤモンドバックス/ベンチコーチ)、メッツはミッキー・キャラウェイ(前クリーブランド・インディアンズ/投手コーチ)、フィリーズはゲーブ・キャプラー(前ロサンゼルス・ドジャース/選手育成ディレクター)、レッドソックスはアレックス・コーラ(前ヒューストン・アストロズ/ベンチコーチ)、ナショナルズはデーブ・マルティネス(前シカゴ・カブス/ベンチコーチ)を据えた。

 メジャーリーグの球団で監督経験があるのは、2002~14年にミネソタ・ツインズを指揮したガーデンハイヤーだけだ。監督1年目となる4人は、前任者より10歳以上若い。また、5人がそれまでいた球団は、いずれも今年のポストシーズンに進出しただけでなく、それぞれが監督に就任した球団を上回る成績を残した。マルティネスのいたカブスは、地区シリーズでナショナルズを下した。

 なお、2015年に新監督だった6人中5人は現在もそのままだが、2013年の6人で残っているのは2人だ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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