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マグワイアの持つ2つのシーズン本塁打記録が、2人のスラッガーによってそれぞれ塗り替えられる!?

宇根夏樹ベースボール・ライター
背番号7がエリック・テイムズ。8はライアン・ブラウン Apr 17, 2017(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

アーロン・ジャッジ(ニューヨーク・ヤンキース)はすでに14本塁打を放っている。このままのペースでいけば、1987年にマーク・マグワイアが作った「ルーキーのシーズン本塁打記録=49本」を塗り替える。マグワイアはこの年、第一子の誕生に立ち会うためにシーズン最終戦を欠場したが、ジャッジにその予定はなさそうだ。

一方、エリック・テイムズ(ミルウォーキー・ブルワーズ)は13本塁打を打っている。こちらは、1990年にセシル・フィルダーが樹立した「海外のリーグからメジャーリーグへ復帰した最初のシーズンの本塁打記録=51本」を更新する勢いだ。フィルダーはこの前年に、阪神タイガースでプレーした。テイムズは昨シーズンまで、韓国のNCダイノスにいた。

さらに、テイムズはもう一つ、1997年にマグワイアが打ち立てた「1シーズンに両リーグでプレーした選手の本塁打記録=58本」も抜くかもしれない。マグワイアはオークランド・アスレティックスで34本塁打を放ち、7月末にセントルイス・カーディナルスへ移って24本塁打を積み上げた。余談ながら、マグワイアと交換にアスレティックスへ移籍した3選手のなかには、後に広島東洋カープで投げたエリック・ラドウィックがいた。

テイムズの打棒もあって、ブルワーズは勝ち越している。このままなら、トレードはないだろう。けれども、昨夏に正捕手とクローザー、ジョナサン・ルクロイジェレミー・ジェフレスをテキサス・レンジャーズへ放出したことからもわかるとおり、ブルワーズは再建を推し進めている。チームの顔であるライアン・ブラウンにも、トレードの噂は絶えない。

夏を迎えてもテイムズが打ち続け、ブルワーズが低迷していれば、トレードは現実味を増す。33歳のブラウンよりも、テイムズは3歳若い。その上、球団は来シーズンから3年にわたってテイムズを保有でき、それに要する金額はブラウンの3分の1に満たない。サンディエゴ・パドレス――マグワイアがベンチ・コーチを務めている――がテイムズの獲得に乗り出すことはないだろうが、ポストシーズン進出に向けて打線を補強したい球団にとっては、魅力ある選手だ。また、ブラウンはトレード拒否権を持つ。

なお、1987年にマグワイアが放った49本塁打は、ア・リーグで最も多く、ナ・リーグを含めてもアンドレ・ドーソンと並ぶ1位だった。ただ、1997年の58本塁打はどの選手より多かったものの、ア・リーグはケン・グリフィーJr.(56本)、ナ・リーグはラリー・ウォーカー(49本)がタイトルを獲得した。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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