対人ストレスで発疹が出る? えなり「共演NG」報道から考える処方箋

写真はイメージです。(写真:アフロ)

俳優のえなりかずきさんがテレビドラマ撮影で「会うと発疹が出る」などとして主役との共演を拒否したことが報道され問題になっています。報道が事実かどうかはさておき、「人間関係の問題で発疹が出るのですか?」という質問を受けたのでその解説をしようと思います。

会議がある日、必ず顔に発疹

対人関係のストレスが引き金になり皮膚症状が出るのは珍しいことではありません。

ある企業で中間管理職になったAさん(女性)は、週1回の戦略会議がある日に必ず顔に発疹が出てかゆくなり、かゆみ止めを塗って抑えていたと言います。会議の日が過ぎると発疹はなくなるのですが、また翌週になると出るという状態が続き、これはおかしいということで相談を受けました。

お話を伺ったところ、会議の緊張とともに一人苦手な上司がいてその上司に指摘されるのが非常に怖い、この上司がいると思うだけで前日からゆううつになり当日の朝になると発疹が出てかゆくなるということでした。発疹を隠すために化粧がつい厚塗りになるせいで「化粧が濃い」と噂されていると聞き、さらに会議に出るのが嫌でたまらない、ということでした。

引き金は苦手な人の存在や言葉

明らかに会議がストレス要因になっていましたが、「怖い、苦手」と思う気持ちを抱えながらその思いを我慢して誰にも話せなかったことで、症状が出ていたことがわかりました。

会議が苦手で皮膚症状が出るのは女性だけではありません。男性でも同様です。

外資系企業で働く40代の男性は、テレビ電話による会議がある月曜の朝になると蕁麻疹(じんましん)が腕に出てかゆくてたまらないということでした。立場が上の海外の女性の言葉がきつくて会議のたびに落ち込むのだそうです。

「条件がそろうと発症」心当たりは

ストレスによる皮膚症状としては、要因となる場所に出掛けたり要因となる人に会ったりすると顔や身体に発疹が出ます。また顔のニキビが悪化したり蕁麻疹が出たりということも起こります。かゆみはある場合もない場合もあります。

ストレスがあってもつらいと言えない、ノーと言えない、というような場合や自分の感情を抑えているときに症状が起きる場合が多いといえます。我慢する傾向が強い方、自分の弱みを見せられない傾向が強い方、立場が弱くて言い出せない場合は要注意です。自分ではそれほどストレスではないと思っていても急に症状が出てびっくりするケースもあります。

皮膚に症状が出るときは皮膚科を受診しますが、薬を処方されてもなかなか治らず、「ある条件がそろうと症状が出る」など因果関係が思い当たる場合は、主治医にそのことを伝えて相談することが必要です。自分で適当に市販薬を購入し使っても改善せず、発疹をかいて化膿させ症状を悪化させることもしばしばですから注意してください。

まず距離を置く、そして徐々に慣れる

対策ですが、まず症状が非常に強い場合はストレス要因から距離を置くことが必要でしょう。ただ症状が改善してきたら、ストレス要因の何が苦手でどうすれば気持ちが楽になるか―という根本的な対策を考えていくことも必要です。そのうえでサポートを受けながら不安や苦手なことを避けるのではなく少しずつ慣れていくような方法をとることで、苦手なことや苦手な人と関わっていくことができるようになるものです。また苦手という範疇を超えてハラスメント的な要素がある場合は組織の相談窓口などに相談して環境改善することは不可欠です。

前述の女性は、上司の言葉を感情的な指摘と仕事上必要な指摘に分けて「感情的な指摘には反応しない」というトレーニングを重ねて自分に自信をつけることで症状が改善してきました。

ストレスによる皮膚症状は、自分の心に抑え込まれたつらさや怒りや悲しみ、くやしさなどの表現であることが多いのです。それに気づき対策を立てることが必要です。

東京慈恵会医科大学卒業。同大講師を経て、1986年東京で日本初の女性クリニックを開設。2007年厚生労働省健康大使(~2017年)。2008-2010年、ハーバード大学大学院ヘルスコミュニケーション研究室客員研究員。2013年より日本医科大学医学教育センター特任教授。2018年昭和女子大学特命教授。復興庁心の健康サポート事業統括責任者(~2014年)。被災地調査論文で2016年日本ストレス学会賞受賞。日本生活習慣病予防協会理事。日本ポジティブサイコロジー医学会理事。医学生時代父親の病気のため歌手活動で生活費を捻出しテレビドラマの主題歌など歌う。医師となり中止していたジャズライブを近年再開。

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