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就活生の悩み:3月13日以降、就活はマスクをはずした方が有利になのか?

常見陽平千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家
3月13日以降、マスクをはずす若者はどれだけいるのだろう?(写真:アフロ)

 教え子から「3月13日以降、マスクをはずした方が就活に有利ですか?」という質問があった。メリットとデメリットを考えてみよう。

 前提として、3月13日以降のマスク着用について、政府の方針としては「個人の判断に委ねる」ということになっている。あくまで就活生が判断すべきだろう。「マスクをはずした方が有利になるかどうか」学生がそう考える気持ちもわかるが、自身がどうしたいかを考えたい。マスクに限らないが、自分の言動や服装について説明ができるのかどうか。実はこれは就活生に問われ続けていることである。

 就活の会社説明会の会場や、面接会場などは政府がマスクを推奨するような環境となっているだろうか。いくら行動様式が緩和されようとも、人はどのように行動していいのか迷う。安心してマスクを外せる環境を用意できるかどうかも問われるだろう。

 合同説明会の会場などは学生でごった返すことがある。とはいえ、みんなが必ずしも会話をするわけではない。面接の部屋も、今は適切な距離をとっているものの、集団面接などは密になる可能性がある。合同説明会の主催者、選考を実施する企業が、どのような環境を用意するか、説明できるかが問われる。

 求職者に話を戻そう。面接においては、マスクを外すことのメリットはたしかに、ある。自分の表情を伝えやすくなること、呼吸をしやすくなることなどだ。自分を表現しやすくなるし、息をしやすいのでリラックスもできる。

 もちろん、マスクを着用し続けるメリットもある。口元が見えないがゆえに、困った質問でうろたえている様子などが伝わりにくくなる。マスクをすることに慣れているがゆえに、今から外すことに感染症対策からも、恥ずかしさなどからも抵抗感のある人もいることだろう。慣れていないことをして、焦る可能性もある。

 マスクを外す際の注意ポイントは、身だしなみである。やや下品、不愉快に感じる人がいるかもしれないとお断りした上でお伝えするが、マスクをしていると鼻や口などのエチケットに無頓着になりがちで、いつのまにか鼻毛が伸びていた、鼻くそが見える場所にあったなどということに気づきにくくなる。オンライン会議でマスクをしている人の鼻くそが丸見えといことがたまにある。マスクの中で、育っていたのだろう。ヒゲなどがいつの間にか伸びていないかどうかも注意しておこう。

 いずれにせよ、就活生は考えて行動し、自分のスタンスを大切にしたい。そして、面接官に限らず、学生との接点がある人は、マスクをはずすことも、着用することも強要してはいけない。気持ちよく面接できる環境を整えよう。

 問われるのは、社会人の方だ。就活生に「自由な服装でおこしください」と言ったところで、社会人の方がかっちりした格好だと学生もリクルートスーツを脱ぎにくいのと同じである。新型コロナウイルスショックでテレワークも広がり、出社頻度も一部の企業で時期によっては減った上、ビジネスウェアの見直しも進んだのだが、とはいえ社会人も周りの様子をみて服装などを決めていないか。マスクも同様だろう。社会人が気持ちよくマスクを外さなければ、就活生も外せないのだ。これもまた、我が国の縮図である。就活は、いつもこの社会の矛盾、茶番を教えてくれる。

 なお、教え子たちに聞いてみたところ、就活に限らず3月13日以降もマスクをし続ける人は7割程度だった。マスクを外す人は、意外に少ないという印象だった。3年間マスクをし続けていたので、今さら外せない人や、感染症リスクなどをおそれる人もいることだろう。室内でもマスク着用をマストとしない企業も既に存在するが、社員に聞いたところ、マスクを外す社員はそれほど増えていないという。

 マスクを必ず外せとはもちろん言わない。ただ、いつの間にか、若者が青春を自粛してしまったこと、萎縮してしまったことに教育者として常に危機感を抱いている(すべての若者がそうではないのだが)。

 最近では声出しOKのスポーツや音楽のイベントが開催されるようになったが、まだ皆、様子見のようだ。一昨日はクラムボン、昨日は吉川晃司のライブに行き、久々にみんなで歌い感動した。ただ、マスクをつけての発声ということもあるが、コロナ前ほどの大合唱ではなかった。それでも、久々に一緒に歌い、感動したのだけれど。

 マスクをする=萎縮とは言わないし、生活の様式は多様でいい。ただ、就活や、職場のことに限らず、空気と景色をいかに変えるか。考えよう。

 私は、今も必要な場でしか着用しないし、3月13日以降、基本つけないつもりだ。強要するつもりはないのだけど。

千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家

1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。 リクルート、バンダイ、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。2020年4月より准教授。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

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