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就活生の悩み:「学歴フィルター」のある企業をどのように見分ければよいですか?

常見陽平千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家
「学歴フィルター」を見破る前にまず「採用実績」の確認を(提供:イメージマート)

 「○○社を志望しているのだが、ウチの大学から入れそうですか?」「〇〇社は学歴フィルターがあるのではないですか?」学生からこんな相談をよく受ける。

 「学歴フィルター」は種類が多様である。たとえば、インターン、会社説明会などの案内を一部の上位校に「限定」する、あるいは「優先」的に案内するものなど、インターン、採用広報上のものだ。一部の大学しか書類選考を通過させない、面接に呼ばないなど「選考」での「学歴フィルター」もある。さらには、学校・学校群ごとの枠まで存在することもある。

 一方、インターン、会社説明会では上位校を優先するものの、結果として幅広い大学から採用している企業などはある。「学歴フィルター」が存在するのか否かで疑心暗鬼になるよりも、「採用実績」を調べてみよう。

 主な情報源は3つだ。

1.東洋経済新報社の『就職四季報』

2.各社の採用サイト、就職ナビで公開されている情報

3.大学のキャリアセンターの情報

 これらをもとに、志望する企業が「新卒採用」で自分の通う大学(あるいは同じ偏差値帯の大学)から採用しているかどうかを確認してみよう。自分が採用される可能性があるかどうかの参考になる。

 1の『就職四季報』は東洋経済新報社の記者が取材をもとにまとめたものである。事業会社で採用を担当していた際、このアンケートおよび取材の対応をしたことがあるが、率直に、答えにくいことまでよく調べているという印象だった。3年以内離職率、平均年収、女性比率などの他、採用実績校が明記されている。企業が答えなかった場合は、その旨が表記される。

 ここに記載されている採用実績校名はスペースの関係もあり、必ずしも網羅的ではないのだが、とはいえ、目安にはなる。自分の通う大学名がなくても、同クラスの大学からの実績があるかどうかを確認しよう。

 なお、この『就職四季報』は業界ごとにページがまとまっている。これが実は使えるポイントだ。業界内各社の採用の傾向がわかる。明らかに上位校狙いの企業、幅広い大学から採用している企業など、各社の特徴を把握しよう。これは、組織風土を理解する上でもヒントになる。

 2は企業が求人広告、採用情報で公開している採用実績校情報だ。企業によっては『就職四季報』よりも網羅的に学校名を表記していることがある(逆にまったく公開しない企業もある)。

 なお、マイナビを使っている学生にぜひ試してもらいたい技がある。それは、フリーワード検索で大学名を入れてみることだ。採用実績があれば、ヒットするのだ(採用実績以外の言葉も拾ってしまうが)。大学名+業界の絞り込みで、志望業界の採用実績あり企業をリストアップすることができる。

 3の大学のキャリアセンターが把握している情報も有益だ。学内では業界別の一覧が共有されていることが多い。これで、自分の行きたい企業に採用実績があるか、志望業界で採用実績のある企業はどこかを特定できる。一覧にざっと目を通すと、企業リストアップのヒントにもなる。キャリアセンターに問い合わせれば、どのような学部・学科の学生が内定したのかも確認することができる。この情報は、各大学のHPで公開されていることもある。同じ偏差値帯の大学に通う友人と情報交換し、同クラスの大学から採用される可能性がある企業をリストアップするという手もある。

 もっとも、これらの情報を活用する際は注意するべき点がある。あくまで採用実績「校」が公開されているだけであって、学部・学科や採用職種、性別などは公開されていないことが多い。同じ大学でも「理系しか採用されていなかった」「総合職のみの採用で、男性だけだった」「一般職で女性だけが採用された」ということもありうる。推薦枠が存在する場合などもある。学校法人自体が企業グループと関係が深く、定期的に採用されているということもある。この点は注意しておこう。

 なお、採用実績がない、少ない場合も「学歴フィルターだ」「やはりウチの大学は不利だ」と決めつけてはいけない。受ける学生が少ないということもありうる。「学歴フィルター」の中でも「告知フィルター」で、そもそも会社説明会の情報などが届いていないこともある。大学で就職支援・キャリア形成支援の委員を長年担当しているが、学生の指導をしていても、大手企業を受けてくれないのが悩みである。学歴フィルター関連の報道で伝えられる、「どう頑張っても会社説明会の予約がとれなかった」「最高傑作のエントリーシートが通らなかった」というのとは、違う光景がそこには広がっている。ただ、これもまた「学校名」「ラベル」がもたらす副作用ではないか。

 新卒採用で厳しい企業も中途採用(この呼び名を見直す動きもあるが、ここではこう表記する)で受けるという手もある。各社の採用情報コーナーで中途採用のページを確認する、中途の求人媒体をチェックするなどしてみよう。転職して働いている人の声をチェックすると、どのような業界・企業から移っているのかがわかる。いますぐでなくても、中途で入るという選択肢も頭に入れておこう。

 おかげさまでこの方法により、私の学部は、上場企業の内定保有者が4割をこえる年度がよくある。「学歴フィルター」で疑心暗鬼になる前に、「採用実績」を確認するのが先である。悩むよりも、考えよう。

千葉商科大学国際教養学部准教授/働き方評論家/社会格闘家

1974年生まれ。身長175センチ、体重85キロ。札幌市出身。一橋大学商学部卒。同大学大学院社会学研究科修士課程修了。 リクルート、バンダイ、コンサルティング会社、フリーランス活動を経て2015年4月より千葉商科大学国際教養学部専任講師。2020年4月より准教授。長時間の残業、休日出勤、接待、宴会芸、異動、出向、転勤、過労・メンヘルなど真性「社畜」経験の持ち主。「働き方」をテーマに執筆、研究に没頭中。著書に『なぜ、残業はなくならないのか』(祥伝社)『僕たちはガンダムのジムである』(日本経済新聞出版社)『「就活」と日本社会』(NHK出版)『「意識高い系」という病』(ベストセラーズ)など。

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