上皇さま90歳に 直筆で綴られた父親としての素顔「私の赤ちゃんのお相手は…」
12月23日、上皇さまは90歳の卒寿を迎えられた。確かな記録が残る歴代天皇の中で最長寿だ。
国民とともに喜び、ともに悲しむ、慈愛深き天皇というイメージがあるが、実はご家庭でも心優しい父親であった。今回、その様子がリアルに伝わる、貴重なグリーティングカードの内容を公開する。
◆63年前、上皇さまが自ら書かれたカード
ここに、上皇さまが古くからのご友人に宛てた、直筆のグリーティングカードがある。
郵便の消印は1960年12月28日。この年の2月に浩宮さま(天皇陛下)が誕生され、生後10か月を過ぎた頃だ。
カードの表紙には、まだ赤ちゃんの浩宮さまを優しい笑顔で見つめ、あやしていらっしゃる上皇さまと上皇后美智子さまの写真が貼ってあった。以下がその写真である。幼いわが子に目を細めるご家族の光景は、皇室という特別な環境にあっても、普通の家庭と何変わりない親子の愛情に溢れていることを伝えているようだ。
この表紙をめくると、カードの中には、上皇さまが若き一人の父親として、浩宮さまに注がれる愛情が手書きで綴られていた。
「赤ちゃんの生長(本文ママ)は早いもので もうものにつかまっては立ち上がり、つかまりながら歩けるようになりました。私の赤ちゃんのお相手は、もっぱらこまです。こまをまわしてやると、それをすぐつかまえてほうり出す、そのくりかえしです」
この頃、浩宮さまはハイハイからつかまり立ちできるようになり、「こま」で遊ぶようになられたようだ。好奇心旺盛なわが子に付き合って、何度もこまを回してあげる、子煩悩な上皇さまのご様子が浮かんでくる。
そもそも皇室では、子どもが幼い時に、他の家に預けて厳格に育てるという、長年受け継がれてきた慣習があった。そのため、上皇さまは物心つく頃に両親と別々に暮らし、家庭というものを知らずにお育ちになった。
上皇さまは美智子さまとご結婚後、従来の皇室の伝統を改革し、初めてお子様と一つ屋根の下で暮らし、自ら子育てをされた。幼い浩宮さまと一緒に「こま」で遊びながら、家庭の団らんの温かさを感じていらっしゃったのではないだろうか。
◆上皇さまの心優しい父親としての顔
このカードの文面には続きがある。上皇さまは浩宮さまと一緒に遊んでいるうち、ご自分も楽しくなられたようで、以下のように書かれていた。
「こまをまわすのは、小さい時好きだったので、それだとこちらも乗り気になるというわけ。大きくなって自分でまわせるようになったら、どちらのお遊びだか、わからなくなるかもしれません」
無邪気であどけない浩宮さまの可愛さも手伝って、上皇さまの心に小さい頃の記憶が蘇られたようだ。
ご自分が好きだった「こま」を、今、わが子も気に入って遊んでいる…。大きくなって一緒に回せるようになったら、どんなに楽しいことだろう。そうした思いを巡らせることは、わが子との絆を深く感じた瞬間だったと想像できる。
平成17年、天皇陛下は暮れからお正月にかけて、愛子さまと一緒になさったこととして、お餅つきや凧揚げとともに、「独楽(こま)回し」を挙げられた。陛下が小さい頃に上皇さまとともに遊んだ「独楽回し」は、世代を越えて受け継がれているのだ。
上皇さまはご結婚25周年に際しての記者会見で、このように述べられている。
「家族という身近なものの気持ちを十分に理解することによって、はじめて遠いところにある国民の気持ちを実感して理解できるのではないかと思っています」
家庭のぬくもりや大切さを自ら知ることは、国民に心を寄せて、苦楽を共にする、象徴天皇としての考えを深めることにも繋がっていったのだろう。
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