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佳子さま「心の自由の表明」か 赤いお召し物を好まれるワケ

つげのり子放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)
日本テニス協会創立100周年記念式典での佳子さま(写真・毎日新聞社/アフロ)

「アメリカ独立宣言」の起草者のひとりであり、第3代アメリカ合衆国大統領を務めたトーマス・ジェファーソンは、「自由」の定義を海になぞらえて、こんな言葉を残している。

「荒々しい自由の海には、波がつきものだ」

「自由」とは決してのどかなものではなく、意見の相違によって対立があり、また厳しい言論に翻弄されることもある。

しかし、だからと言って権力者の、都合の良い価値観を押し付けられるよりはマシだ。問題が起きても対話によって解決しようと動くのも、誰もが自由で、そして平等だからだ。

◆最近の佳子さまにある特徴が…

内閣府青年国際交流事業の一つに、「世界青年の船(Ship for World Youth: 通称SWY)」というプロジェクトがある。

1959年、当時、皇太子だった上皇陛下のご成婚を記念して始まった「日本青少年親善事業」の一環で、18〜30歳の青年が世界各国から集まり、日本人を含め総勢240人が船に乗って1ヶ月の航海に出るのだ。

船内では、国際問題を巡る討論会や、異文化交流をテーマに様々なイベントも催されるという。まさに世界の若い仲間たちが、未来を紛争のない相互理解に導こうと、波に揺られながら洋上での日々を過ごす。

2月14日、秋篠宮家の二女・佳子さまが、「世界青年の船」に参加している日本やオーストラリアなど11カ国の男女23人と面会し、流暢な英語で懇談された。

現れた佳子さまは、最近お気に入りとなっている、赤いワンピースをお召しになっていた。

華やかさの中にはっきりとした意志を感じさせる、お召し物の赤い色。2020年3月の「天皇誕生日」の「茶会の儀」以来、同年の「立皇嗣の儀」、そして昨年の「全国手話パフォーマンス甲子園」「栃木国体の閉会式」、さらに愛子さまと鑑賞された「秋季雅楽演奏会」など、お出ましの多くの機会でデザインこそ違うが、佳子さまは赤い洋服をお召しになっていた。

◆赤いお召し物が意味する、佳子さまの心の内とは…

以前、筆者は赤い洋服を好まれる佳子さまの心理を、ご公務への積極性や情熱の表れと解説したことがあるが、それは今年になって、さらに拍車がかかったように見受けられる。

1月2日の「新年一般参賀」、1月23日の「第45回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」、1月25日の「日本テニス協会創立100周年記念式典」と、いずれも赤いお召し物でお出ましになっている。2月16日の「第54回現代女流書100人展」では墨書に合わせてグレーの洋服だったが、イヤリングとクラッチバッグは赤だった。

そして、今回の「世界青年の船」の参加者との懇談も、栃木国体閉会式の時に「いちごレッド」として注目を集めた、胸元にフリルのついたデザインのワンピースであった。おそらくこのワンピースは、今の佳子さまが最も好きなものなのかもしれない。

報道によれば、佳子さまは航海での様子や感想などを聞かれたというが、その懇談の様子は本当に楽し気であった。マスクをされていたが、満面の笑みが目元から伝わり、心から興味津々であることが現れていた。

知らない国の若者たちと1か月間寝食をともにし、時には意見をぶつけながら、自由闊達にディスカッションを繰り広げ、異文化を理解する貴重な機会を味わえることに対して、佳子さまは羨望の想いを抱いていらっしゃったのかもしれない。

もしも一般の若い女性であったならば、きっとこのイベントに応募して、参加者たちのように世界の広さを実感したいと思われたことだろう。

「自由」は、意志さえあれば手にできる。ただしトーマス・ジェファーソンが述べたように、「荒々しい自由の海には、波がつきもの」なのだ。

「お立場」というものがある限り、我を通せばいらぬ波風が生じるのは火を見るより明らかだ。

佳子さまにとって赤いお召し物は、ご自身の内面に宿す、ある意志を貫こうとする象徴として、あえて身にまとっていらっしゃるのではないだろうか。

それこそが「自分自身はこうありたい」と願われる、心の自由の表明であり、佳子さまらしい主張なのだ。

「天皇陛下がお誕生日記者会見で貫かれた 令和流の“雅子さまファースト”」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20230224-00338485

「麗しのプリンセス愛子さま ターニングポイントは成年の記者会見」

https://news.yahoo.co.jp/byline/tsugenoriko/20230227-00338215

放送作家、ノンフィクション作家(テーマ:皇室)

2001年の愛子内親王ご誕生以来、皇室番組に携わり、現在テレビ東京・BSテレ東で放送中の「皇室の窓」で構成を担当。皇室研究をライフワークとしている。日本放送作家協会、日本脚本家連盟、日本メディア学会会員。著書に『天皇家250年の血脈』(KADOKAWA)、『素顔の美智子さま』『素顔の雅子さま』『佳子さまの素顔』(河出書房新社)、『女帝のいた時代』(自由国民社)、構成に『天皇陛下のプロポーズ』(小学館、著者・織田和雄)がある。

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