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44歳。一人好きな私ですが息子が巣立ってから本当に孤独になるのは不安です~スナック大宮問答集43~

大宮冬洋フリーライター
先月は奈良県生駒市にて21名で宴会。中央奥のメガネ男性が筆者です。(参加者提供)

スナック大宮」と称する読者交流飲み会を東京、愛知、大阪などの各地で毎月開催している。味わいのある飲食店を選び、毎回20人前後を迎えて和やかに飲み食いするだけの会だ。2011年の初秋から始めて、今月の愛知・蒲郡での開催で140回目に到達する。のべ2800人ほどと飲み交わしてきた計算になる。

 筆者の読者というささやかな共通点がありつつ、日常生活でのしがらみがない一期一会の集まり。参加者は30代半ばから50代半ばまでの「責任世代」が多い。お互いに人見知りをしながらも美味しい料理とお酒の力を借りて少しずつ打ち解けて、しみじみと語り合えている。現代の市井に生きる一般人の本音がにじみ出ることもある。 

 そのすべてを再現することはできない。参加者の1人と改めてオンライン対話をした内容をお届けする。会話に参加する気持ちで読んでもらえたら幸いだ。

***ケイコさん(仮名、シングルマザー、44歳)との対話***

ここでは気を抜いていいんだな。普段は会わないタイプの人に囲まれてリフレッシュ!

――スナック大宮には二度目の参加でしたね。久しぶりに参加してみていかがでしたか?

 普段は会わないタイプの人が多くてリフレッシュができました。みなさんしゃべるスピードがゆっくりめで、穏やかな人ばかり。ここでは気を抜いていいんだなと思う反面、会話を私が回さないといけないとも感じました。私は人当たりが良くコミュ力高いと言われることもありますが、自分を良く見せようとし過ぎて疲れるタイプです……。

 前職ではガツガツした雰囲気でガーッと話すお客さんが多かったです。しかも悪賢い(笑)。まったく気が抜けませんでした。ママ友などの付き合いも苦手です。仕事以上に気を遣って疲れ果てるので……。なので、普段はプライベートで人に会うことはほとんどありません。基本的に一人の時間が好きです。

――ケイコさんは金融系のお仕事でしたよね。業界内での転職の合間に参加してくれました。

 有休消化期間も含めて1か月ほどお休みだったので、ちょうどいいタイミングでした。生駒駅までは自宅から30分ほどで行けますし。転職をする前なので、いろんな人に会って刺激を受けたい気持ちになったのだと思います。

 一人好きな私にも友だちが数人はいます。年に2、3回会う程度ですが、こういうタイミングでは私のほうから連絡して食事に行ったりしています。学生時代からの友だちは不思議といなくて、みんな社会人になってからの友人です。新卒で入った会社の同僚とも続いています。性格は様々ですが、お互いに気を遣わずに済むような関係の人ばかりです。

会場は生駒駅から歩いて行けるイタリア料理店「トヨジタリーノ」。リーズナブルなのに料理の味が良くてボリュームたっぷり。やたらに良心的なお店だと感じました。(参加者提供)
会場は生駒駅から歩いて行けるイタリア料理店「トヨジタリーノ」。リーズナブルなのに料理の味が良くてボリュームたっぷり。やたらに良心的なお店だと感じました。(参加者提供)

恋愛のハードルが高くなっている私。異性にドキドキすることはほとんどありません

――息子さんはもう中学生なのでしたっけ?

 はい。私が金融業界にいるのは興味や適性もありますが、お金を稼ぎやすいことも大きな理由です。息子が大学に入るまでは彼が私の最重要事項で、お金の苦労はさせたくありません。

 息子が18歳になって手を離れたら、本当にポツンと一人になってしまいます。そのときに、新しい生活を一緒に満喫できるようなパートナーがいたら嬉しいなとは思います。

――そのときにケイコさんは50歳になっていますが、まだまだ若いですね。どんな新しい生活を思い描いていますか?

 金融の仕事は好きですけれどこだわりはありません。土や自然も好きなので、機会があれば農業などにも挑戦したいと思っています。副業でもいいので収入に縛られないような仕事をしたいです。20代後半で、仕事をいったん辞めて2年ほどかけて世界一周をしたことがあります。海外と日本を行き来するような生活も楽しそうです。

――スナック大宮は婚活イベントではありませんが、結婚願望のある独身男性の参加者も少なくありません。僕は改めてつないだりはしませんが、問い合わせてもらえれば「あの人はカッコいいけれど既婚者だよ」ぐらいの情報はご提供します(笑)。もちろん、自己責任でお付き合いしても構いません。そうして気の合う相手を見つけて結婚に至った人たちは僕が把握しているだけで過去5組ぐらいいます。

 ありがとうございます。でも、最近の私は恋愛のハードルが高いんです。異性にドキドキすることはほとんどなくて、「恋」という言葉を発するのも恥ずかしいぐらい。若い頃は「あの人、素敵!」とすぐに思えたりしたのですが……。他の人はどうなのでしょうか。またスナック大宮に参加する機会に聞いてみたいです。

ケイコさんとのツーショット写真。美人好きな筆者は接客を忘れてデレデレしています。宴会主催者の役得です。(参加者提供)
ケイコさんとのツーショット写真。美人好きな筆者は接客を忘れてデレデレしています。宴会主催者の役得です。(参加者提供)

1つのことに秀でているけれど他はポンコツな男性とゆっくり知り合いたい

――今回は「友だちになれるかも」と思えた人はいますか?

 います。女性ですけど(笑)。最近、恋人と別れたそうですが、その理由をズバズバと言うのが聞いていて気持ち良かったです。今度、ごはんに行く約束をしました。

――僕は遅めの結婚をした人たちの取材をすることが多いので、少しだけ見解を述べさせてください。ケイコさんのようなコミュニケーション上手な女性同士で仲良くなるのもいいのですが、そういう女性は一見すると面白くない口下手な男性との相性も悪くないと思います。じっくり付き合えば自分には欠けている尊敬すべきところが見つかったりするからです。結婚とは補完関係なので、基本的な価値観は共有しつつも性格や能力は異なっても良いと思います。

 それは同感です。私は器用貧乏だと自覚しているので、1つのことはめっちゃできるけれど他はポンコツだったりする男性が好きです。秀でた分野は、登山でもプログラミングでも何でも構いません。いわゆる理系男子が私には合っているのかな、と思ったりします。

 スナック大宮の2時間ほどではお互いのことをそんなには知れないし、まして恋愛感情などは持てません。LINEグループで連絡先を交換した人もいるので、機会があれば食事などして少しずつお互いを知れたらいいなと思っています。

*****

「ささやかな共通点」があること。「しがらみのない集まり」であること

 以上がケイコさんとの会話だ。小顔美人で会話上手なのに、「プライベートでは年に数回しか人と会わない」というのは意外だった。それだけ息子さんとの生活に満たされていて、余暇は読書などの一人時間に充てたいのだろう。「できること」と「好きなこと」は必ずしも一致しないのだ。

 ただし、息子さんが巣立った後に一人で暮らすことには不安を覚えている。寂しさに耐えられないという予想だ。まだ見ぬパートナーに求めるものは、「毎日メールが来るのは鬱陶しいけれど、あまりに放置されるのも嫌」という関係だ。私はワガママなんです、とケイコさんは笑うが、人間らしくて結婚向きな女性だと筆者は感じた。

 一目惚れしたり連絡をまめにとって会話したりデートしたりを楽しめる人は恋愛に向いている。しかし、結婚生活にはあまり必要がない能力だ。一緒に暮らしているのだからたいていのことは日常会話で解消するし、その中に安らぎや喜びを見出すのが家庭なのだ。

 ケイコさんのような人は、スナック大宮などの場で見知らぬ人とゆるく交流することをときどき楽しめばいいと思う。場選びのポイントは、冒頭にも書いたように「ささやかな共通点」がありつつ「しがらみのない集まり」であること。筆者は既婚者だが、尊敬や共感を覚える店主が切り盛りする酒場やカフェでの出会いと会話は大切にしている。

 逆に、違和感を覚える主催者が開いた異業種交流会や婚活パーティーなどは避けたほうが無難だ。時間と会費の無駄ぐらいはいいけれど、怪しい金融商品や宗教の勧誘目的の人に遭うリスクが高まる。

 コロナ禍もほぼ終息し、見知らぬ人と顔を合わせた交流が再びできるようになってきた。街に出て、ゆるいつながりを求めよう。その場限りの会話でも構わないし、長く付き合っていける友人が見つかることもあるだろう。気楽かつオープンな姿勢でいれば、人生のパートナーとの出会いがあるかもしれない。

いろいろな人と交流してほしいので、席移動を自由にしつつ席替えも2回ほど実施。オンライン飲み会も悪くはないけれど、リアルに飲み交わすのってやっぱり楽しいですね!(参加者提供)
いろいろな人と交流してほしいので、席移動を自由にしつつ席替えも2回ほど実施。オンライン飲み会も悪くはないけれど、リアルに飲み交わすのってやっぱり楽しいですね!(参加者提供)

フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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