「スナック大宮」と称する読者交流宴会を東京、愛知、大阪などの各地を移動しながら毎月開催している。味わいのある飲食店を選び、毎回20人前後を迎えて和やかに飲み食いするだけの会だ。2011年の初秋から始めて開催150回を超えた。のべ3000人ほどと飲み交わしてきたことになる。
　筆者の読者というささやかな共通点がありつつ、日常生活でのしがらみがない一期一会の集まり。参加者は30代から50代の「責任世代」が多い。お互いに人見知りをしながらも美味しい料理とお酒の力を借りて少しずつ打ち解けて、しみじみと語り合えている。そこには現代の市井に生きる人の本音がにじみ出ることがある。
　その会話のすべてを再現することはできない。参加者と日を改めてオンラインで対話をした内容をお届けする。一緒におしゃべりする気持ちで読んでもらえたら幸いだ。

＊＊＊ミホさん（仮名。シングルマザー、48歳）との対話＊＊＊

慣れ親しんだ雰囲気がありつつ、内輪で盛り上がっているわけでもない食事会

――ミホさんは4回目ぐらいのスナック大宮参加でしたね。関西では半年に一度ペースでの開催なので、もはや常連さんの域です。

　去年は伺えなかったので1年半ぶりの参加でした。顔見知りの方もチラホラいらして、もちろん初対面の方もいて、いいバランスだと感じています。慣れ親しんだ雰囲気がありつつ、内輪で盛り上がっていない感じ。私は本当に親しい友だちとの飲み会にしか行ったことがなかったので、スナック大宮でいろんな方と知り合いながら楽しく食事できるのは本当にありがたいです。

――関西は特に温かいお客さんが多いんです。距離感もほど良くてなんだか励まされます。芸人を応援し慣れている土地柄なのかもしれません（笑）。

　私自身は大宮さんのように飲み会の幹事はできないほうです。気負い過ぎてしまいそうなので……。でも、今回のように一人で飲みに行けるようになれたらいいなと思います。

――出会いを求めているならば一人で酒場に行くことはおすすめです。良きお店ならばスタッフがそれとなく守ってくれます。「あの人とLINE交換していたみたいだけど、彼は既婚者ですよ」と教えてくれるとか（笑）。最初は常連客に連れて行ってもらい、2回目からは一人でも訪れてみてください。2人のときよりも声をかけられやすいと思います。

　それ、いいですね。やってみます！

喧嘩すると「自分の性格は変わらない。別れたほうがいいかも」と脅す恋人。謝り疲れて別れました

――最近のミホさんの暮らしぶりを教えてください。

　10年ほどフリーランスでグラフィックデザイナーをしていましたが、思うところがあって会社に所属して同じくデザイナーをしています。以前とは担当する業界が違うので、意外と面白いです。でも、1時間半ほど通勤しなければならず、帰宅が23時頃になったりして、プライベートをかなり圧迫しています。
　長女は大学2年生で遊びたい放題。家にいないことも多いです。次女は中学校2年生で反抗期のど真ん中。私に時間がないこともあってコミュニケーションがとりにくくなっています。また3人で旅行もしたいなと思いつつ、今はつかず離れずの距離感がいいのかもしれません。仕事と家庭の忙しさもあって、2年半ほどお付き合いしていた男性とは今年2月にお別れしてしまいました。

――どんな男性だったんでしたっけ？

　マッチングアプリで知り合った4歳年上の男性で、私と同じくバツイチでお子さんがいます。

――忙しさはきっかけであって別れの原因ではありませんよね？

　その通りです。一緒にいて楽しい人だったのですが、ときどきすごく失礼なことを言うのです。自覚がないみたいなので笑って受け流して我慢をしたのですが、積み重なると怒ってしまいます。すると彼は「自分の性格は変わらないので別れたほうがいいかも」と。別れたくないので私が謝ることになるのですが、それってやっぱりおかしいですよね。同じようなやりとりを3回ほど繰り返して、いい加減に嫌になってしまいました。

「我慢している私の気持ちを察してほしい」という考えが男の人を結果的にダメにしてしまいます

――別れを匂わせてパートナーをコントロールしようとするのは反則技ですよね。別れて正解だったかもしれません。でも、ミホさんは「何を言っても受け入れてくれそう。許してくれそう」な雰囲気ですよね。カッコいいけれど身勝手なタイプの男性を惹きつけやすいと思います。

　親しい友だちからも同じことを言われました。「大人だからすぐに怒ったりしてはいけない。そうやって我慢している私の気持ちを察してほしい」という考えが強くて、結果として男の人を甘やかしてダメにしてしまうのだと思います。アメとムチを使い分けてうまく転がす技がまったく足りていません。

――その我慢は相手のためというよりも波風を立てずに自分が楽をするためですよね？　僕もミホさんと同じような傾向があり、我慢と不満をため込んだ挙句に変なタイミングで爆発してしまって人間関係を壊したことが何度もあります。大人だって失礼なことを言われたらその場で怒っていいはずなのに……。でも、そういう相手には近づかないという手もあります。

　そうですね。私はつい「第一印象で楽しい人」に惹かれがちです。婚活をしていたとき、プロの方に「結婚相手に求める前向きな要素を20個挙げて、優先順位をつけてください」とアドバイスしていただいたことがあります。その彼はなんと20個中19個をクリアする人でした。でも、優先順位の一番である「思いやり」だけが欠けていたんです。

――面白い！　いや、すみません。そんな体験を通して自分のことがわかっていれば、今後は大丈夫だと思います。20個のうち上位2つを満たしている相手ならば交際する、といった判断ができそうですね。

　はい。仕事も子育ても頑張りたいけれど、この先の人生を共有できる人がいればどんなにいいだろうかと思うこの頃です。

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言い寄られやすいあなたへ。人生のパートナーとして的確な人を見つけて結ばれる3つの方策

　以上がミホさんとの対話だ。出会いはあって交際に進むことも少なくないけれど、なぜかパートナーとしては不適格なタイプと付き合ってしまう――。このような課題を抱えた人をときどき見かける。一見して優しげで話しかけやすいタイプの美男美女に多い。
　解決方法は3つあると思う。1つ目は、自分の「見せ方」を変えること。髪型や服装を変えるだけでも印象は違う。か弱く見られがちであれば、美容師やショップ店員に相談してみよう。力強い外見になると、性格もいい意味で強めになったりするものだ。
　2つ目の解決方法は、出会いの場を変えること。不特定多数の人が参加するマッチングアプリでは、押し出しが良くてコミュニケーション能力が高めの男女が有利になりやすい。しかし、その人が誠実で思いやりがあるとは限らない。もう少し閉じられたコミュニティで、何かあれば店主や主催者に軽く相談できる場のほうがミホさんには向いているかもしれない。スナック大宮もその1つとして活用してもらって構わない。
　そして3つ目。まだ見ぬ結婚相手とは「選んでもらいながらも自分も選ぶ」という姿勢が必要だ。ミホさんの場合はやや受け身に過ぎ、下手をすると既婚者などからのアプローチに押されてしまいかねない。相手によってははっきり断って自分も傷つくことを恐れてはいけない。自分だけの誠実なパートナーを積極的に見つけて結ばれてほしい。