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39歳。一人の時間が好き。でも、今後もずっと一人だと寂しい気がします~今すぐ結婚したい男(3)~

大宮冬洋フリーライター
大手メーカーで営業の仕事をしている岩崎さん。水泳選手のような体格です(筆者撮影)

 普通の独身男性が見当たらない――。こんなボヤキを30代40代の独身女性から聞くことが多い。前向きに働いていて、イケメンではなくても身だしなみに気を遣っていて、思いやりのあるコミュニケーションができる同世代の男性が少ない、いたとしても既婚者だというのだ。

 筆者は2019年の秋から「独身限定!スナック大宮」というイベントを隔月ペースで開催している(コロナ禍が終息したらすぐ再開します)。いわゆる婚活パーティーではなく、筆者の読者のうちで独身の人に声をかけ、結婚相談所などの「プロ」も招き、みんなで忌憚のないおしゃべりと交流をする会だ。マッチングを目的としていないからなのか、「普通の独身男性」で結婚願望もある人が参加してくれることも多い。彼らのリアルな状況と心境を聞き取り、筆者の意見も書きたいと思う。

 3人目は、大手メーカー社員の39歳男性と語り合った。水泳と筋肉トレーニングで鍛えているという逆三角形の体型で、男らしい顔立ちの岩崎文隆さん(仮名)だ。海外駐在の経験もあり、年収は800万円を超えているらしい。条件的には大いにモテそうだが、なぜか本人のテンションは低い。しばらく話していると「一人の時間がこよなく好き」という本音が飛び出した。

***岩崎文隆さん(仮名、39歳)の話**

面白いことが言えないし積極性もないので、女性からすぐに愛想を尽かされてしまいます

 大学を卒業してからずっと同じ会社で働いています。いい年齢になって来たので、このまま働き続けられたらそれに越したことはありません。

 一人暮らしですが、父がいる実家までは電車で30分ぐらいの距離です。母は僕が高校生のときに他界しました。弟はいま新婚です。ときどき実家に帰って父と話すと、「お前も早く結婚しろ」と急かされます。

 30代前半で数年間の海外駐在をしました。それまで国内で何度かデートしていた女性とは自然消滅し、駐在中に付き合った現地の女性とも僕は結婚する気がありませんでした。日本料理店の店員さんで、いい子だったのですが、文化の違いを越えるのは難しいと思ったからです。国際結婚した先輩からも「大変だよ。向こうの家族にお金を送らなくちゃいけない」という話を聞きました。

 帰国後は、有料の婚活アプリを使ってゆるく婚活を続けています。見た目が好みの女性がいたら何度かは会っていますが、僕は面白いことが言えないし積極性もないのですぐに愛想を尽かされてしまうのです。

 結婚したら子どもは欲しいかな、と思うので、アプリでの検索条件は35歳以下の女性にしています。あとは、タバコを吸わないことと首都圏に住んでいること、ぐらいでしょうか。僕は趣味が旅行なので、一人では行けないようなところに一緒に行けるような相手と結婚したいです。そのためには価値観が合っている人が必要ですよね。僕は大人数でガヤガヤが好きではないので、少人数での時間や空間を楽しく共有したいと思います。

 この1年ぐらいは僕としては婚活を頑張っていて、月に2、3人ペースで会っています。通算で30人弱とは会ったと思います。でも、ことごとくうまくいきません。意気消沈して、「このまま結婚できなくてもしょうがない」と思いつつあります。

ある土曜日の午前中。東京・新宿の喫茶店「らんぶる」でお話を伺いました(筆者撮影)
ある土曜日の午前中。東京・新宿の喫茶店「らんぶる」でお話を伺いました(筆者撮影)

 でも、アプリ以外の婚活手段はあまり気が進みません。婚活パーティーにはどんな人が来るのか事前によくわからないし、友だちや同僚に紹介されると僕が相手を気に入らなかったときに気まずくなってしまいます。結婚相談所は堅苦しい感じがするし……。

 実際のところ、一人でいることが好きなんです。土日に予定がなく、ずっと一人でテレビを見たり本を読んだりしていても寂しさを感じたことはありません。一人旅にもよく出かけます。

 学生時代からの男友だちも数人いて、たまには会っています。会社帰りに同僚と飲みに行くのも嫌いではありません。でも、「一人だと寂しい」という感覚もないですね。平日は朝8時から夜9時ぐらいまで会社にいて、常に人に囲まれてバタバタしているので、夜と週末ぐらいは一人でゆっくりしたいです。

 それでも婚活をしているのは、「今後もずっと一人だと寂しいんだろうな。世間体も悪い」と思うから。40代50代のオッサンになってから未婚よりは、今のうちに相手を見つけておいたほうがいいでしょう。

 自分好みの美人と会ったとしても、初回から楽しくは感じません。最初は会話がなんとか続いて気まずくないことが大事です。何回か会っているうちに楽しくなるんだろうな、と思っています。過去に何度か、そういうこともありましたし……。

***大宮(筆者)より岩崎さんへ***

自分のほうからサービス精神を発揮することがコミュニケーションのコツです

 自分好みの美人と会っても最初は楽しいとは思えない、と聞いたときに驚きました。僕とあまりに違うからです。美人相手だと僕も緊張はしますけど、ウキウキして体細胞が活性化して若返るような気持ちになります。相手が嬉しそうにしてくれたらなおさらです。

 岩崎さんも好みの相手が自分と対面して嬉しそうにしていたら楽しい気分になるのではないでしょうか。ならば、自分から実践すればいいのです。魚心あれば水心、ですよ。

 自分の気持ちに嘘をつくという意味ではありません。意識を少しだけポジティブに変換するだけです。岩崎さんの言う「気まずくない」は「初対面なのに居心地がいい」と言い換えることもできますよね。本当に相性がいいのかもしれませんが、おそらくは相手が気遣ってくれている結果でしょう。そのことに感謝して、自分も「今日はとても楽しいです」と笑顔を見せてはいかがでしょうか。相手はますますリラックスしてくれて、自分も楽しくなってくるはずです。

 慣れて来たら、「一人好き」であることも明るく話しましょう。一人で何をして楽しんでいるのかを話したら、彼女は岩崎さんのちょっと滑稽な一人遊び姿を想像して笑ってくれるかもしれません。そのうえで、「一人が好きな自分だけど、あなたと一緒にいるのは心地良い」という気持ちを何らかの形で伝えましょう。きっと喜んでくれると思います。

 まずは自分からサービス精神を発揮する――。この姿勢を忘れなければ異性とのコミュニケーションは確実に改善します。

独身限定!スナック@東京・渋谷の様子。岩崎さんも参加者の一人です(提供:こんかつ山)
独身限定!スナック@東京・渋谷の様子。岩崎さんも参加者の一人です(提供:こんかつ山)
フリーライター

僕は1976年生まれ。40代です。燦然と輝く「中年の星」にはなれなくても、年齢を重ねてずる賢くなっただけの「中年の屑」と化すことは避けたいな。自分も周囲も一緒にキラリと光り、人に喜んでもらえる生き方を模索するべきですよね。世間という広大な夜空を彩る「中年の星屑たち」になるためのニュースコラムを発信します。著書は『人は死ぬまで結婚できる』(講談社+α新書)など。連載「晩婚さんいらっしゃい!」により東洋経済オンラインアワード2019「ロングランヒット賞」を受賞。コラムやイベント情報が読める無料メルマガ配信ご希望の方は僕のホームページをご覧ください。(「ポスト中年の主張」から2017年3月に改題)

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