結婚して20年で離婚。モラハラ夫との老後は考えられませんでした~40歳からの婚活入門(23)~

名古屋市内のレストランにて。里香さん(49歳)はかなりの美形です(筆者撮影)

 アラフォーの独身女性は生きづらいと思う。出産のリミットを感じながらの婚活は苦しいし、既婚者とはその辛さや孤独感を共有できない。話が合う友人知人がだんだん少なくなる。シングルマザーの場合はより深刻だ。幼い子どもがいると仕事・恋愛・趣味のいずれにも時間を取れず、母子で孤立しやすい。

 筆者は昨年末に電子書籍『40歳は不惑ですか、惑ですか』を自費出版した。既婚未婚それぞれの40歳男女に偏りなくインタビューして撮影をさせてもらう予定だったが、独身女性からは取材を断られることが多かった。「今の自分を書いてほしくないし、人からも見られたくない」といった理由がほとんどである。

 だからこそ、彼女たちの話を聞きたい。匿名でいいから、その状況と胸の内を教えてほしい。同じ40代として腹を割って語り合う気持ちで本シリーズを続けている。

***エステサロンのアルバイト、浅見里香さん(仮名、49歳)の話***

恋人としては最高だった夫。でも、結婚した後は……

 3年前に離婚しました。私はもっと早くから離婚を切り出していたのですが、前夫は「一生、仮面夫婦でいくからな!」と拒否していたんです。私が専業主婦だったので家を出られないと高をくくっていたのだと思います。だから、若い頃に少し経験のあったエステティシャンの仕事に復帰しました。

 前夫との出会いは24歳のときの合コンです。私は高校を出てからダンサーを目指していたのですが、怪我であきらめてからは「若いママになりたい」という夢を温めていたので、付き合い始めて2年後には結婚し、2人の娘を授かりました。

 バブル世代の典型みたいな前夫は、彼氏にするには最高だと思います。スポーツカーで迎えに来てくれて、女性が好きそうな最新のデートスポットに連れて行ってくれました。さりげなく貴金属をプレゼントしてくれたりするんです。

 でも、結婚してからは家業を継いでいる彼のモラハラに苦しみました。前の社長であるお義父さんはみんなの前でお義母さんを罵倒するような人です。前夫は年齢を重ねるほど父親に似てきてしまいました。

 暴力こそなかったのですが、頼まれていた買い物を忘れたぐらいですごい勢いでダメ出しされました。私が体調を崩して家事ができなかったときには、「自己管理がなっていない。オレに迷惑がかかるだろ!」と怒鳴られたこともあります。ワンオペ育児には不満はなかったのですが、娘たちが自立して夫婦2人に戻ったときにこの人と支え合う老後はありえないと感じました。

有料の婚活サイトに顔写真も載せて登録したら、「夢のようなモテ期」が到来

 私は一人で生きていくつもりはありません。離婚と同時に婚活を始めました。今度結婚する相手とは、楽しんだり悲しんだりする気持ちを自然に共有したいし、病気になったときも気楽でいられる程度には思いやりがあってほしいです。

 婚活にあたっては努力をしました。どうすれば他人から「感じのいい人だな」と思ってもらえるのかを、人間観察を通して考えて実践したんです。

 専業主婦が長かったので対人スキルが落ちていると自覚していました。エステサロンで勤め始めて、子どもを育て終えた年配の女性客がすごく自己中心的だと気づいたからです。サロンが忙しくてエステティシャンが少し遅れただけで何度も文句を言ったり、会話をすると口癖のように「じゃなくて」と相手を否定する言葉を口にしたり。お金をもらう側に立ったことがないので、客がとにかく偉いと思い込んでしまっているんです。あのまま仕事も離婚もせずに専業主婦を続けていたら、私もきっと同じようになっていたと思います。

 有料の婚活サイトにちゃんと顔写真も載せて登録したところ、2週間で70件以上も連絡が来ました。夢のようなモテ期の到来です(笑)。私は名古屋から離れたくないので、「名古屋近郊の人」という希望をきちんと書いているのに、北海道から沖縄まであらゆる地域の男性から連絡が来ました。東京から出張ついでに会いに来た人もいます。男性はあまり真剣に婚活をしていないのでしょうか……。

 しばらくお付き合いしていたのは、前の奥さんとは死別をした11歳年上の男性です。優しいところが好きになったのですが、付き合っているうちに亭主関白なところが出てきました。結婚をしたら仕事はしてね、でも家事は全部やってね、などと要求ばかり。私の要望は何も聞いてくれませんでした。これでは前夫と同じなので離婚した意味がない、と思ってお別れをしました。

ホテルの高層階にあるレストランで名古屋の街並みを一緒に眺めながら里香さんの話を聞きました(筆者撮影)
ホテルの高層階にあるレストランで名古屋の街並みを一緒に眺めながら里香さんの話を聞きました(筆者撮影)

「大好きだから結婚したい」と何度もプロポーズしてくれる恋人。前夫との違いは?

 婚活サイトは半年で退会しましたが、婚活自体は細々と続けていました。顔が広いママ友などに「再婚したい。いい人がいたら紹介して」とお願いするんです。

 今付き合っている彼と出会ったのも、友だちの友だちが企画してくれた食事会です。今年の6月でした。既婚者も混じって6人ぐらいの会で、私と同い年で同じくバツイチの彼の第一印象は「人当たりが良くてしゃべりやすい」です。前夫と同じく、中小企業の社長をしています。

 彼も私のことを気に入ってくれてすぐに食事に誘われ、その場で「大好きだから結婚したい」とプロポーズされました。私のことを何も知らないでしょ、と諭したら、「知らなくてもいい。結婚したい」の一点張り。さすがに保留しましたが、彼がすぐに告白してくれたことで、お互いのことを気軽に何でも話せる雰囲気になりました。

 彼にも子どもが2人いますが、1人はすでに社会人で巣立っていて、もう1人の大学生は前の奥さんと一緒に暮らしています。彼は3LDKで一人暮らし。「いつでも一緒に住めるよ」と誘われています。

 今、1日2、3回ぐらいで電話をかけ合って、週3ぐらいのペースで会っています。ひたすら「大好き」と言ってくれるし、デートで伊勢神宮に行ったときは荷物を持ってくれて汗まで拭いてくれました。お姫様扱い、嫌いじゃないです(笑)。

 恋人として最高なのは前夫も同じだったので、前の奥さんとの離婚理由も聞きました。すると、やはり亭主関白だった過去があるそうです。でも、現在は「ものすごく反省している」と言っています。

 先のことはまだわかりませんが、下の娘が来春には大学に入って一人暮らしを始めるので、私は彼の家に行こうかなと思っています。彼の実家にも挨拶に行く予定です。まずは事実婚からですね。

 私も前の結婚生活の反省点があります。モラハラの前夫への不満を少しずつ溜めてしまって40歳で爆発したときには関係が修復不可能になっていました。今の彼ともお互いに気になることは出てくるはず。「仲がいいうちに何でも言い合おうね」と話しているところです。

***筆者より里香さんへ***

異性を惹きつける「感じの良さ」は、賢さと勇気に裏打ちされた行動から生まれる

 賢さと勇気。良き結婚相手と結ばれて楽しく豊かな生活を送るには、この2要素が不可欠だと思います。里香さんは最初の結婚を反省しつつ、勇気を持って婚活を続け、素敵なパートナーと巡り合いました。

 婚活サイトでの活動に関しては、「プロフィールに写真を載せていない男性も多かった。写真を載せるリスクを負っている私とは同じ立ち位置ではないので、アプローチされても会う気はなかった」と語っていたのが印象的でした。虎穴に入らずんば虎子を得ず、ですね。

 新たなパートナーと付き合い始めても、里香さんは人生経験を生かしています。自信に満ちた男性は家庭では亭主関白になりすぎる傾向があることを見抜き、早めの話し合いを始めているのです。

 里香さんはいわゆる美魔女です。ルックスの良さが婚活をやりやすくした現実は否定できません。でも、対人スキルを向上させる謙虚な努力をして、体型維持やファッションにも手を抜いていません。異性を惹きつける感じの良さは、年齢を重ねるほどに賢さと勇気に裏打ちされた行動から生み出されるのではないでしょうか。インタビューの後、丁寧なお礼メールをくれた里香さんと接して、そんなことを考えています。