「RIDE ON TIME」を歌いますけどなにか?とジャンク・フジヤマは前置きをして歌い始めた

ジャンク・フジヤマが“シティ・ポップスの新星”として注目され始めたのは2009年。

村上“ポンタ”秀一が音頭をとってバンドを結成し、ライヴをサポートするなど、熱い期待と注目を浴びながらシーンの先頭を走り続けているシンガーである。

そんな彼が、夏をテーマにした曲を揃えながら、ジャンク・フジヤマの“ホームグラウンドでの戦いを見てもらう”という趣向のライヴを行なった。

副題に「村上“ポンタ”秀一プレゼンツ」とあったように、バックを務めるのはデビュー以来ジャンク・フジヤマをサポートする村上“ポンタ”秀一をはじめとする、日本のポップスやコンテンポラリー・ジャズのサウンドをクリエイトしている面々。

かつてAORと呼ばれた“シティ・ポップス”は、時代を敏感に反映させることのできるメロディ・メーカーとアレンジャー、そしてその機微を的確かつより効果的に表現できる演奏者によって覚醒されてきた。

その“第一覚醒期”である1970年代後半から80年代初頭にかけての“現場”を仕切っていたのが、村上“ポンタ”秀一であり、ベースの岡沢章だったりする。

そうした“レジェンド”が自らバンドに参加し、村上“ポンタ”秀一は自分の名をライヴ・タイトルに冠してまでバックアップしようという存在が、ジャンク・フジヤマなのだ。

♪ “夏”というテーマを笠に着た歌い手の「秘密」

ジャンク・フジヤマ『ジャンクフラッシュ』ジャケット写真(著者撮影)
ジャンク・フジヤマ『ジャンクフラッシュ』ジャケット写真(著者撮影)

ステージはジャンク・フジヤマのオリジナル「Morning Kiss」からスタートしたが、当夜の趣向は“シングス・サマー・ソングス”だ。

つまり、彼のオリジナル・ソングを軸にするのではなく、“夏”というテーマを軸にプログラムを組む、という意図が汲み取れる。

実際にファースト・セットの後半は竹内まりやの「夏の恋人」を(なんとオリジナル・キーで!)カヴァーしたり、ゲス卜・ヴォーカルの大滝裕子が1980年にリリースした持ち歌「恋のウォーミングアップ」を披露したりと、外濠を埋めるように“ジワリ”と歌い手の意図に攻め寄っていく(「恋のウォーミングアップ」のレコーディングが山下達郎バンドによるものだったというエピソードがMCで明かされていたことも書き添えておかねばならないだろう)。

セカンド・セットもこうした“ジワリ”がいくつか用意されていたあとに、ラストのオリジナル「あの空の向こう側へ」を歌いきってエンディング。

そして、アンコールの拍手に迎えられてステージに戻ってきたジャンク・フジヤマが発した言葉が、この記事のタイトルにしたものだった。

♪ なにが「知ったことかい!」なのかを知るも知らぬもアナタ次第

彼が「RIDE ON TIME」を歌うことについて、賛否両論あることは、感じ方のダイバーシティという意味では許容すべきなのかもしれない。

それを「知ったことかい!」と笑いに変えて、歌ってくれたことをボクは評価したい。

いや、否定する意味がわからないんだけどね。

ジャンク・フジヤマの歌唱に、「RIDE ON TIME」との接点をもつことで独特の感情をリスナーに生じさせる“なにか”があることは確か。

それは諸刃の剣であり、どう処理するのかは表現者であるジャンク・フジヤマが考えるべきことだ。

「知ったことかい!」と笑い飛ばして歌ったこと、そのパフォーマンスが当日のテーマに沿っていたこと、そしてなによりも余興のレヴェルをしっかりと超えていたことを証言しておかなくてはと思い、記事を書くことにした。

さてさて、ネタバレしないようにこのあたりで筆を置くことにしようかな。

ジャンク・フジヤマのなにが独特の感情をリスナーに生じさせるかが気になってしまった人、「“ネタバレのネタ”ってなんのことだ?」とモヤモヤしてしまった人は、ライヴに行ってみるしかないでしょうね……。

おやおや、なんだか“煽り記事”みたいになっちゃったな(笑)。

でも、そんなこと、「知ったことかい!」

こういうスタンス、ボクは好きです。