Yahoo!ニュース

【JAZZ LIVE】THE GATE Japan Tour 2015“Art in Life !”

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

“ジャズの醍醐味”と言われているライヴの“予習”をやっちゃおうというヴァーチャルな企画“出掛ける前からジャズ気分”。今回は、活動の拠点をニューヨークに置く野瀬栄進(ピアノ)と武石聡(パーカッション)によるデュオのステージ。

♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪ ♪

 “RITUALS” Eishin NOSE+Satoshi TAKEISHI
“RITUALS” Eishin NOSE+Satoshi TAKEISHI

野瀬は20年超、武石は30年超という音楽的キャリアをニューヨークで積み上げているミュージシャン。その2人がコラボレーションしたユニットが“THE GATE”だ。

結成は2007〜2008年ごろ。普通のアンサンブルじゃないサウンドが生まれたことから活動を継続し、2009年には日米の架け橋となる若手芸術家を対象としたS&R Washington Awardを受賞。これを記念して2010年9月にニューヨークのベヒシュタイン・ショールームのサロンで行なわれたライヴを収録したアルバム『The Gate〜Live at Bechstein, New York』をリリースする。

このほかにも2012年と2013年にライヴ・アルバムを発表。2014年にはワシントンD.C.のジョン・F・ケネディ・センターに出演し、さらにアルバム『RITUALS』をリリースするなど、2人にとって活動の大きな軸となっているユニットだ。

1ヵ月24公演で繰り広げられる“一期一会”の変化

今回のツアーは“人生に芸術を!(Art in Life !)”と題して、ほぼ1ヵ月にわたり九州と北海道をじっくりと回るもの。そのあいまに水戸、東京、静岡、藤枝、焼津、横浜という“飛び地”でのスケジュールが組まれている。

ボクがこのデュオを最初に見たのは2012年の『THE GATE LIVE IN SHIBUYA』に収録されているステージだった。

鍵盤を駆け巡りながらリズムを刻みだしていくピアニストと、無造作に置かれた楽器から繊細な波長を生み出すパーカッショニストによる“一期一会”の音が空間を埋めていったその時間は、それまで経験したことのない不思議な印象を残してくれたことを覚えている。

相手とソリが合わなければ、デュオのインプロヴィゼーションはおそらく成立しないだろう。しかし、相手の動きが読めるほど“以心伝心”という状態になってしまうと、予定調和という問題が立ちはだかってしまう。そしてなによりも、演奏者自身の心にマンネリが生まれ、クリエイティヴな情態ではいられなくなってしまうだろう。

それを超えられるなにかが、このTHE GATEにはあるということになる。

では、行ってきます!

●公演概要

THE GATE, Japan Tour 2015 〜“Art in Life!” 人生に芸術を!

9月9日(水)ガールトーク(水戸)

9月10日(木)タカギクラヴィア松濤サロン(東京・渋谷)

9月11日(金)Rama(静岡)

9月12日(土)杵柄農園(静岡・藤枝)

9月13日(日)案山棒(静岡・焼津)

9月14日(月)MI CASA(静岡・焼津)

9月15日(火)電気ビル みらいホール(福岡)※

9月16日(水)六曜館GIG(福岡・門司)

9月17日(木)NEW COMBO(福岡)

9月18日(金)シネマテーク(佐賀)

9月19日(土)Jazz Spot EASEL(長崎・佐世保)

9月20日(日)発寒 Hacham Art Complex(北海道・札幌)

9月21日(月)有島記念館(北海道・ニセコ)

9月23日(水)Marin Hall(北海道・小樽)

9月25日(金)釧路芸術館 ART HALL(北海道・釧路)

9月26日(土)ちばしり(北海道・網走)

9月27日(日)Cafe Good Life(北海道・旭川)

9月27日(日)MORROW'S Bear & Restaurant(北海道・旭川)

9月28日(月)新ひだか町公民館(北海道・静内)

9月30日(水)アルテピアッツァ(北海道・美唄)

10月1日(木)グルービー(北海道・小樽)

10月2日(金)COME ON HALL(北海道・札幌)

10月3日(土)Ange Hall(北海道・黒松内)

10月8日(木)MOTION BLUE YOKOHAMA(横浜)

出演:THE GATE<野瀬栄進(ピアノ)、武石聡(パーカッション)>

※ EISHIN & SHO「ジャズピアノ x 津軽三味線」guest SATOSHI TAKEISHI(パーカッション)

♪"Topsy Turvy" EishinNOSE+SatoshiTAKEISHI

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

富澤えいちの最近の記事