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出掛ける前からジャズ気分:斉田佳子『BLUESETTE』発売記念ライブ

富澤えいち音楽ライター/ジャズ評論家

●公演概要

5月21日(火) 開場17:30/開演 1st 19:30、2nd 21:00

会場:渋谷JZ Brat Sound of Tokyo

出演:斉田佳子(ヴォーカル)、ユキ・アリマサ(ピアノ)、三好"3吉"功郎(ギター)、安ヵ川大樹(ベース)、大坂昌彦(ドラム)

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==斉田佳子 『BLUESETTE』

〜Homage to Toots Thielemans〜 発売記念ライブ==

斉田佳子 Official Website
斉田佳子 Official Website

ジャズ・ピアノを学ぶためにボストンのバークリー音楽大学へ留学した斉田佳子が、ヴォーカリストに転身するエピソードはとてもおもしろい。ボクは彼女から、今回のアルバム『BLUESETTE』についての取材のときに聞いたのですが、皆さんもライヴのMCで聴くことができるチャンスもあるんじゃないでしょうか。

そうそう、『BLUESETTE』は“ブルーゼット”と読みます。彼女がローティーンのころに聴いて衝撃を受けた“ハーモニカおじさん”ことトゥーツ・シールマンスが、1962年に作った彼の代表曲。

つまりこのアルバムは、長いあいだ恋焦がれていたアーティストにようやく会えて、ゲストに迎えて自分の作品として残すことができたという、1人のヴォーカリストの半生をかけた“執念”とも呼ぶべき想いが結実したものなのです。

“執念”というあまり美しいイメージのない言葉を使いましたが、なぜならばこのトゥーツ・シールマンスとの共演は何度もダメになりかけて、その都度、斉田佳子が不屈の闘志で録音の実現までこぎ着けたから。そのあたりの話もきっとMCで語ってくれるでしょうから、楽しみにしたいですね。

ところで斉田佳子とボクの出逢いはかなり前で、コンテンポラリー・プログレッシヴ・ジャズというユニークな団体のライヴにヴォーカリストとして参加していたのを観たのが最初でした。複雑な和音もさることながら、5連符の1つ抜きだとか11連符だとかといった人間のリズム感覚の限界を超えてしまった音楽に挑戦しようという人たちが集まっているなかで、平気な顔をして歌っている彼女を見てびっくりしてしまったのを記憶しています。

ところがその後に、別のライヴハウスでスタンダードをシットリとフツーに歌う彼女を観る機会があって、なんてオールマイティな歌手なんだと、またまたびっくりしてしまったのです。

そんな彼女が、ある意味で自分をジャズや歌の道へと誘(いざな)ってくれた憧れの人との共演を収めたアルバムを完成させたのですから、また1つ“ヴォーカリスト斉田佳子の抽斗(ひきだし)”は増えているに違いありません。

世界的有名なハーモニカ奏者Toots Thielemans参加。待望のニューアルバム!Kenny Werner(p)Oscar Castro-Neves(g)他、強力なミュージシャンがレコーディングのみならず、アレンジも担当。今回のJZ Bratでのライブは過去にトゥーツとレコーディングした三好"3吉"功郎はじめ、世界的に活躍する日本ジャズ界トップレベルミュージシャンが勢揃い!ミュージシャンの素晴らしい演奏、ヴォーカリスト斉田佳子のハートウォームな歌声とともに心温まる夜をお楽しみください。

出典:JZ Brat

横浜市生まれ。

父親の転勤で幼稚園時に神戸へ転居。

6歳から『小曽根音楽教室』でハモンドオルガンを始める。

8歳の頃から小曽根実、小曽根真親子のディナーショーの前座で歌う。

10歳の頃、サラ・ヴォーンのアルバムに出会い、今まで聴いたことも無いDeepな歌声に衝撃を受け、ジャズヴォーカルを聴き始める。

また、その頃流行っていたクインシー・ジョーンズ「愛のコリーダ」のアルバムを聴き、「Velas」という曲を演奏していたハーモニカ奏者、トゥーツ・シールマンスのセクシーで哀愁をおびたサウンドに強く惹かれる。

16歳でアメリカ・マサチューセッツ州の交換留学生として渡米。

米国バークリー音楽大学ピアノ科入学。

子供の頃に人前で歌った快感が忘れられず、在学中3年目にヴォーカル科に転向、

Orville Wright,Dennis Montgomery III率いるReverence Gospel ChoirやRobert Stoloff率いるVocal Summitのメンバーとして、アメリカ東海岸をツアー。そして卒業。

卒業と同時に帰国し、ジャズライブハウスでの活動を始動。

またスタジオミュージシャンとしてテレビ歌番組のバックコーラス、Disney Video、CMソング、ドラマ挿入歌のソロヴォーカル他、コーラスアレンジング、英語作詩なども手掛ける。

1年半ほど、Music Bird コミュニティーFM「Smooth Jazz Paradise」パーソナリティを務めたこともあった。

出典:Profile|斉田佳子 Official Website

♪My Foolish Heart by 斉田佳子

では、行ってきます!

音楽ライター/ジャズ評論家

東京生まれ。学生時代に専門誌「ジャズライフ」などでライター活動を開始、ミュージシャンのインタビューやライヴ取材に明け暮れる。専門誌以外にもファッション誌や一般情報誌のジャズ企画で構成や執筆を担当するなど、トレンドとしてのジャズの紹介や分析にも数多く関わる。2004年『ジャズを読む事典』(NHK出版生活人新書)、2012年『頑張らないジャズの聴き方』(ヤマハミュージックメディア)、を上梓。2012年からYahoo!ニュース個人のオーサーとして記事を提供中。2022年文庫版『ジャズの聴き方を見つける本』(ヤマハミュージックHD)。

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