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本州でもついに梅雨本番 今一度備えの見直しを

冨永幸気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属
冨永撮影 アジサイ

 気象庁は、6月25日に沖縄地方で、6月26日に奄美地方で梅雨明けしたとみられると発表しました。南から真夏の到来です。太平洋高気圧が西へ張り出して沖縄・奄美地方を覆うため、晴れる日が多くなる見込みです。一方、梅雨前線は北へ押し上げられる形になり本州付近に停滞しやすくなります。そのため東海地方でもついに梅雨本番となるわけです。

気象庁HPより天気図 (筆者加工)
気象庁HPより天気図 (筆者加工)

 名古屋の天気と気温の傾向を見ると、ほとんどの日が雨で気温は30度前後まで上がる見込みです。かなり蒸し暑く、熱中症のリスクは上がります。また、一週間前と比べると、最低気温も高くなるため寝苦しく感じる日も増えてきそうです。そうなると食中毒にも注意が必要です。

ウェザーマップ
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 梅雨本番を迎えて心配になるのは「梅雨末期の大雨」です。奄美地方では梅雨明け前の6月19日と20日、2日連続で線状降水帯発生の情報が発表され、大雨になりました。本州でも“西日本豪雨”と言われた「平成30年7月豪雨」では、2018年6月28日~7月8日にかけて多いところで積算雨量が1000ミリを超える大雨になった後、7月9日に九州南部・北部・中国・四国・近畿・東海・北陸で梅雨明けとなっています。梅雨が明ける前には大雨になることが珍しくないのです。

 梅雨前線が本州付近に“ある”だけではそこまで大雨になりません。梅雨前線が半日以上同じ地域に停滞するような場合は要警戒です。局地的に線状降水帯の発生する可能性も高まり大雨になる恐れがあります。

 ただ、梅雨前線の地方単位での位置や細かな動向については、数日前の時点での予報精度はそれほど高くはありません。気象予報士として前線の様子を見張っていても、“寝て起きれば予報が変わっている”ことはこの時期珍しくないため、5日前から警鐘を鳴らせる台風とは違い、梅雨前線の大雨は急にやってくると思われることがあります。だからこそ「あらかじめ備えておく」というのが大切なのです。

 梅雨入り前後にすでに備えた方も最新の気象情報のチェックなど、いつもより身構えておいて損はないと思います。

気象予報士/防災士/ウェザーマップ所属

奈良県出身。学生時代に最先端の科学授業を受講したことで、地球温暖化などの環境問題を入口に気象に興味を持つようになる。一度就職したものの「やはり気象の仕事がしたい」と思うようになり、2016年3月に気象予報士を取得。2017年からは宮城県、2019年からは愛知県で気象キャスターを務める。現在は名古屋テレビ放送の「ドデスカ+」と「ドデスカ!」で東海3県の天気予報を伝えている。テレビでは伝えきれない天気や季節の話を発信していきます。

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