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ブログをお金儲けのために始めるのは、正直オススメできない3つの理由

徳力基彦noteプロデューサー/ブロガー
(写真:アフロ)

9月末に、ネット上で、大学に通うのと、ブログを書いたりオンラインサロンに通うことが、なぜか天秤にかけられて議論されていたそうです。

参考:「大学に行くよりオンラインサロン」論争から学ぶネットの不毛なすれ違い

まぁ、大抵この手の議論は、自分の経験を軸にした極端な議論だと思いますし、大学を出た人だから言えるコメントだったりするので、普通の高校生や大学生は、そういう人もいるんだな、ぐらいの話半分に聞いとく方が良いと思いますし。

西野さんがその辺はわかりやすい記事を書いてるのでそっちを読んでもらえればと思いますが。

参考:西野亮廣『キンコン西野「大学にいくか?オンラインサロンに入るか?」』

個人的に最近気になってるのが、ブログを書けば楽にお金が稼げると思い込んでる若い人が、一部でチラホラ散見されること。

まぁ、確かにブログを書くことで生計を立てている人も沢山いるのは事実ですし、それをこれから若い世代が目指すのは個人的にも応援したいと思ってる側ですが。

もし、普通の仕事に就くか、ブログを書くか、といきなりお金を稼ぐ方法として二択で考えているとしたら、正直オススメはしません。

理由は3つあります。

■ブログを書くために仕事や大学を辞める必要は全く無い

■ブログはお金儲けに向いてない

■好きじゃないと続かない

一つずつ説明しましょう。

ブログを書くために仕事や大学を辞める必要は全く無い

まず、そもそもブログは、仕事とか大学とか並行してやれますからね。

もう仕事とか大学やめて、起業するとか、専業ライターでやってく、という覚悟があるなら別として、そうでないなら別に仕事も大学も辞めずに両方やってみれば、という話です。

今や、本田圭佑選手みたいにプロのサッカー選手が、経営とか投資家とか並行してやれる時代で。

しかも本田選手はカンボジア代表監督も並行してやるんですよ。

参考:本田圭佑と中田英寿が映すキャリア観の変化

技術の進歩のおかげで、何もかも捨て去るという大きなリスクとって新しい挑戦始めなくても、同時に挑戦できる時代なんですよね。

1つしか選べないという考え方はもう古いです。

ブログはお金儲けに向いてない

また、ブログは、そもそもお金儲け向きではないということも、知らない人が多いようです。

ユーチューバーのHIKAKINさんが、年収8億とか10億とかって、話題になってましたけど。

これはやはり動画の世界ならでは。

文字の世界は、広告の単価も安いので大変です。ネットメディアの売り上げ見れば分かると思いますけど。

給与並の収入を得られるようになるまで、ユーチューバーでも結構大変らしいのに、ブログだとさらに大変です。

とか書いてたら丁度、良いデータが週刊ダイヤモンドで公開されてました。

現時点での多くのネットメディアの収益性の低さが、残念ながらよく分かる記事だと思います。

参考:新旧メディアの「年収格差」、デジタル記者がエリートになれない理由

好きじゃないと続かない

さらに、個人的に最も重要だと思うのが、実はブロガーにしてもユーチューバーにしても、成功してる人の多くは、最初の頃はお金が儲からないのに情報発信してた人たちが多いという点です。

そもそも昔は個人向けの広告メニューとか、企業スポンサーとか存在せず、それでもブログや動画での発信が好きだから、読者や視聴者の反応が嬉しいから続けてた、という人が、長い時間続けてたら、ファンが増えていつのまにか仕事になってた、みたいなケースの方が多いんですよね。

HIKAKINさんもそうですし、先日18年続けたブログの更新を停止した百式の田口さんもそうですし、プロブロガー本を書いたことで有名なネタフルのコグレさんもそうなんです。

参考:200円の定食を4年間食べつづけた。ヒカキンが語るストイックなサラリーマン時代(前編)

参考:100SHIKI〜世界のアイディアを日替わりで / 田口 元

参考:ネタフル的ブログ生存戦略 〜15周年に寄せて

禅問答みたいな話ですが。

好きじゃないことをお金のためにやると、上手くいかないと簡単に挫折するし、そもそも長く続かない。

好きなことだから他の人が続けられないことでも長くやり続けられて、その結果100人に1人の存在になり、1万人に1人の存在になり、1億人に1人の存在になるんですよね。

その方が、実は最終的にお金や名声も得られるケースが多いのがネットの面白いところ。

これが、最初からお金のためにやると、他の人もお金のために似たようなことをやってるから、それはそれで超大変な競争の中に放り込まれる羽目になるんですよね。

それでもやりたいという覚悟があるなら止めませんし、応援しますけど。

でも、決して楽に稼げる世界ではないんです。

結局、ゴールドラッシュの時に、金を掘るために頑張った人よりも、金を掘るための道具を売る人が1番儲かった、という逸話と同じパターンにハマる気がします。

とか何とか言いつつも、私自身もブログ書き始めた頃は、転職したソフトウェアベンチャーの仕事が、いつかクビになるんじゃないかとビビっていた頃で、ブログでお金稼げたら良いな、と思ってたことがあるのは事実です。

それが自分には向いてないのは、早々に結論が出るんですが。

でもお金は大して稼げなかった代わりに、ブログのおかげで、いろんな人に出会えたし、いろんなチャンスにも巡り会えたし、仕事にもプライベートにも良いことがいっぱいあるんですよね。

もちろん、それでメディアに記事寄稿してお金もらえるようにもなったのも事実ですが、それってあくまで後からついてくるんですよ。

個人がメディア作れるって凄いことなんですよね。

ある意味、自分のコピーロボットが自分が知らない間に他の人と会話してくれてるわけで。

ブログができるまで普通の個人がこんなこと不可能だったわけで。

先日、百式の田口さんとネタフルのコグレさんと飲んだ時にも、2人が「ブログ始めたばかりの頃って、読者に感謝してもらえるのがエネルギーだったよね。」と、シミジミ話してたのがとても印象的でした。

その感謝の価値とか出会いとかお金に換えられない可能性を、全部現金に置き換えて計算するのって、実はとてももったいないことなんじゃないかなと思ったりする今日この頃です。

是非、お金目当てで最近ブログを始めたという方も、同じ様にお金以外のブログのメリットを早く見つけられる事を祈っております。

noteプロデューサー/ブロガー

新卒で入社したNTTを若気の至りで飛び出して、仕事が上手くいかずに路頭に迷いかけたところ、ブログを書きはじめたおかげで人生が救われる。現在は書籍「普通の人のためのSNSの教科書」を出版するなど、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるnoteやSNSの活用についてのサポートを行っている。

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