宮内庁、お前もか! 宮内庁が開示を拒む陵墓の記録

開示された陵墓の記録(筆者撮影)

歴代天皇・皇后、そして皇族らの埋葬されている陵墓の記録について開示を求めた弁護士に対して、宮内庁が一部の記録を不開示とした。その理由は「不存在」だった。つまり、存在しないということだ。しかし法律で記録を登録することとなっており、弁護士は、その決定の取り消しを求める訴えを裁判所に起こした。弁護士は、「本当に不存在ならそれはそれで問題だが、なぜ不存在なのかの理由も明らかにしたい」と話している。

不開示とした宮内庁の通知
不開示とした宮内庁の通知

訴えを起こしたのは大阪弁護士会所属の徳井義幸弁護士。12月16日、訴状を大阪地方裁判所に提出した。

大阪地裁に提訴に向かう原告・弁護団(筆者撮影)
大阪地裁に提訴に向かう原告・弁護団(筆者撮影)

皇室典範27条には、「天皇、皇后、太皇太后及び皇太后を葬るところを陵、その他の皇族を葬る所を墓とし、陵及び墓に関する事項は、これを陵籍及び墓籍に登録する」と定められている。つまり、天皇、皇后らが埋葬されている陵とその他の皇族が埋葬されている墓について記録を残さなければならない。具体的には、天皇との関係、埋葬された場所、埋葬した日などが記録されることになっている。

ところが、徳井弁護士が、51代の平城天皇までに関わる陵籍、墓籍の記録の開示を求めたところ、宮内庁は、陵については開示したものの、皇族を埋葬している墓については不開示とし、その理由を、「不存在(作成又は取得していないため)」としていた。

その一方で、徳井弁護士が平城天皇の次の嵯峨天皇から昭和天皇までの墓籍の開示を求めたところ、それは開示された。その内容を見ると、埋葬された皇族の名、墓所名、造営年や墓の形状が書かれている。隠さなければいけない内容ではない。

開示された墓籍(筆者撮影)
開示された墓籍(筆者撮影)

これにつて徳井弁護士は、「例えば、卑弥呼の墓として論争の対象となっている箸墓古墳に行ってみれば、そこには、皇族の墓であることを明示する宮内庁の看板を立てている。最低でもその程度の記録は書き込める筈で、その記録が無いというのは理解に苦しむ」と話している。

開示された陵墓籍を前に説明する徳井弁護士(筆者撮影)
開示された陵墓籍を前に説明する徳井弁護士(筆者撮影)

因みに開示された31代用明天皇の陵籍を見てみた。繰り返しになるが天皇陵については宮内庁は開示している。

開示された用明天皇の陵籍(筆者撮影)
開示された用明天皇の陵籍(筆者撮影)

そこには、墓籍と同じで、御名、陵の住所、陵の名称、崩御や埋葬の年月日、陵の形、面積などが書かれている。

徳井弁護士は次の様に話す。

「勿論、不明な登録事項は省略して作成すれば良いわけです。記録が無いで済ませる話ではありません。本当に不存在ならそれはそれで問題だが、なぜ不存在なのかの理由も明らかにしたい」。

徳井弁護士は提訴の後、弁護団とともに記者会見を開いた。その場で記者の一人から、「わからないのも古代史のロマンですから・・・」との発言が漏れた。勿論、歴史のロマンは否定しない。しかし、同時に、古代史は研究の対象でもあり様々な制約を受けながらも事実の解明が行われていることも事実だ。

記者会見 弁護団と会見する徳井弁護士(中央)、手前は阪口徳雄弁護団長(筆者撮影)
記者会見 弁護団と会見する徳井弁護士(中央)、手前は阪口徳雄弁護団長(筆者撮影)

弁護団長の阪口徳雄弁護士は次の様に話している。

「憲法で『全ての皇室財産は国に帰属する』となっている。だから、記録は開示されるのが当然のことだ。古代史の専門家からは、『陵籍及び墓籍は現在まで公開されたことがない』との指摘がされているが、それは記録が有ることが前提となっている。仮に、記録が無いのであれば、なぜ無いのか、宮内庁は説明する責任が有る」。

宮内庁が管理する歴代天皇、皇后の陵の数は約190、皇族らの墓は約550にのぼる。この他に、陵墓の可能性があるとされる陵墓参考地もある。このうち陵と墓は皇室典範で登録が定められているが、陵墓参考地については登録の定めは無い。

※当初、「陵墓参考地も登録が定められている」としていましたが指摘を受けて修正しています。