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迷惑電話「ロボコール」の未来を想起させる「電話をかけるGoogleアシスタント」

松村太郎ジャーナリスト/iU 専任教員
機械音声による迷惑電話、ロボコールがAIで進化すると……(筆者作成)

Googleの開発者会議、Google I/O 18の基調講演では同社が取り組む機械学習や人工知能の最新技術が披露されました。開発者がエコシステムでビジネスをする上でどんな可能性があるか?という情報共有の場であるべきですが、どちらかというと、不足している技術者の勧誘のためのアピールの場にも映りました。

それだけ、AIが実生活で活用される姿を鮮やかに描いた、ということの表れでもあります。そんな数々の技術の中で最も鳥肌が立ったのが、Google Duplexのデモ。以下でその様子を見ることができます。またGoogleのAIブログで詳しい解説を読む事ができます。

これはAIアシスタント「Googleアシスタント」が、オンライン予約に対応していない理髪店や飲食店に電話をかけ、予約を入れたり営業時間や混雑状況を聞く、というものです。ここには、自然言語の音声合成、相手の声を聞き取って理解すること、状況に合わせて電話をかけさせたユーザーの意志を伝えることなどが組み合わせてあります。

このデモを聞いていると、おそらく電話口の相手は機械と話しているとは思わないでしょう。それだけ人間に似せた相づちや、伝えたいことを言い直すといった「自然な電話口での会話」が再現されていたわけです。

この技術は確かに人工知能の凄みを感じます。確実に未来だと思う。同時に、米国の人々は、最近増えつつある迷惑行為と瞬時に結びつきました。それが「ロボコール」です。

ロボコールとは、営業や勧誘の電話を機械がかけてくる行為です。最近私の番号にも非常に多くかかってきます。留守番電話にも音声を吹き込んできます。

半分以上は中国語で、心得のない私には理解できませんでした。そこでGoogle翻訳に留守番電話の録音を聞き取らせてみると、保険や投資の勧誘であることが分かりました。しかし、Twitterでそのことを投稿すると、「詐欺である可能性が高い」と返信を頂きました。

Google Duplexは、このロボコールと結びついて、明るくない未来を想起させたのです。

【目次】

  • 人工知能が電話をかけまくる?
  • 目の前に現れた、ちょっと先の未来
  • どのふるまいが正しいか?
  • 人間が電話をしなくなる?

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ジャーナリスト/iU 専任教員

1980年東京生まれ。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。2020年よりiU 情報経営イノベーション専門職大学で、デザイン思考、ビジネスフレームワーク、ケーススタディ、クリエイティブの教鞭を執る。

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