Tesla は「Motors」の名前を捨てた

Tesla Model X(前)とModel S(後)、筆者撮影

Teslaは同社の名前から「Motors」を取り去りました。

電気自動車の企業として知られているTeslaですが、2017年に稼動を開始したメガファクトリーでのリチウムイオン電池の製造、自宅用の蓄電池、太陽電池企業のSolar City買収などから、自動車メーカーではないアイデンティティを獲得しつつあります。

Teslaが「Motors」を社名から取り去ったことは、Teslaが、ライフスタイル全般に対して変革を与える存在へと成長していくことになる、そんな瞬間になるかどうか、これから先の10年、楽しみに見ていきたいところです。

電気自動車がある生活は、ガソリンで走る自動車のそれとは若干異なります。

ガソリンスタンドでの給油の代わりに、普段であれば夜に家で充電すれば良い、ということになります。また、旅行に行く際には、ガソリン車のように無計画では途中で動けなくなる可能性もあります。

航続距離以内で急速充電器の場所を確保したり、宿泊先も充電できる施設を選ぶようになります。充電には時間がかかる点も、ガソリンスタンドでの体験と異なります。給油は5分で済みますが、充電は30~1時間ほどの時間をかけます。そのため、クルマを充電している間に食事をしたり、買い物をしたり、という時間の有効活用が必要になりますし、そうした有効活用ができる場所で充電することも、習慣になります。

電気自動車はまだまだ放浪の旅の相棒とはなり得ませんが、他方で、より計画的な行動を心がけたり、新しいクルマとの関係性が生み出されつつあります。そしてそれは、体験すると、とても楽しいものです。

思い出すのは10年前に社名を変えたあの会社

2017年、Teslaは社名をシンプルに変更しました。ちょうど10年前、今日大成功している企業も、同じことをしました。それはAppleです。

2007年1月、ちょうどiPhoneを発表したステージで、Steve Jobs氏は、Apple Computerという社名をAppleに改めました。

今日、iPhoneは実質的にはポケットに入るパワフルなコンピュータで、単一のブランドとしては世界で最も多く販売されているスマートフォンです。これとアプリによる用途の拡大は、生活全般を変える原動力になっているます。そうした将来像を見据えたとき、当時のコンピュータのイメージとは合わないものだった、と振り返ることができます。

2007年から10年たって、我々の生活にスマートフォンは組み込まれています。

例えば、毎日夜充電して、昼間途中で足りなくなりそうなら、オフィスやモバイルバッテリーで充電する、といった「スマホの(電池の)面倒を見る」ことは、当たり前になりました。同じようにバッテリーで動作するTeslaの予行演習にはぴったりだったかもしれません。

2017年から10年後、2027年に、電気自動車は我々の生活に組み込まれているでしょうか。

Teslaのクルマは、これまでは高級セダンと高級SUVというラインアップでしたが、2017年、約400万円の電気自動車のセダン、Model 3の出荷を開始します。既に50万台ものの予約が入っていて、今オーダーしても届くのは2018年に入ってから、という人気ぶりです。

Teslaはより広い人々に電気自動車を届けると同時に、自宅に電気自動車を向かい入れる環境、そして電気自動車を快適に利用できる社会インフラ作りに乗り出していきます。

コミュニケーションと移動は、人々が生活していく上でなくならない要素。iPhoneはコミュニケーションツールとして出発し、10年でその意義を拡げていきました。今度の10年は、移動のツールである電気自動車が、生活の中でカバーする領域を押し広げていくかもしれません。

1980年東京生まれ。現在、米国カリフォルニア州バークレー在住。モバイル・ソーシャルを中心とした新しいメディアとライフスタイル・ワークスタイルの関係をテーマに取材・執筆を行う他、企業のアドバイザリーや企画を手がける。テクノロジーを活用した新しい学びを研究・ビジネス化するキャスタリア株式会社取締役。

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米国カリフォルニア州バークレー在住の松村太郎が、東京・米国西海岸の2つの視点から、テクノロジーやカルチャーの今とこれからを分かりやすく読み解きます。毎回のテーマは、モバイル、ソーシャルなどのテクノロジービジネス、日本と米国西海岸が関係するカルチャー、これらが多面的に関連するライフスタイルなど、双方の生活者の視点でご紹介します。テーマのリクエストも受け付けています。

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