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PS5 Pro(仮)や着脱式ドライブ対応の新型、リモートプレイ専用機「Q Lite」が開発中かも?

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

ようやくPlayStation 5の品薄が解消され、転売屋の方々も在庫を処分できず大変なことになっているとの朗報が相次いでいます。彼らの販売している旧型は新型よりも消費電力・発熱・静音性すべての面で改善前であり、なにより適切に管理されずに故障している可能性が高いもの。多少安いからといって、絶対に買わないようにしましょう

さておき、第2のローンチ時期ともいえるPS5は日本でも絶好調。その波に乗るように、強化型の「PlayStation 5 Pro」や薄型・着脱式ドライブ対応の新型PS5、および携帯ゲーム機「Q Lite」が準備中との有力情報が届けられています。

PS5 Pro(仮)が開発中であることは100%確実?

写真:ロイター/アフロ

まずPS5 Pro(仮)については、昨年夏頃に噂がささやかれていました。その後も業界通が「ほとんどのAAA(大作ゲーム開発)スタジオは、中世代アップグレードの開発キットを受け取っているか、年明けまでに受け取るはずだ」と述べたこともあり。中世代アップグレードとは「完全に次世代じゃない、中継ぎの強化型」という意味です。

が、今年初めに有名リーカーTom Henerson氏が「PS5 ProよりもPS6(次世代機)について多くのことを聞いた」と発言。さらにソニーが生産と出荷のコストを減らすため、PS5のモデル数を減らすことを目指している……という、着脱式ドライブ対応の新型PS5(後述)に繋がる趣旨を述べたことで、いったんPS5 Pro熱は沈静化していました。

しかし、数ヶ月後に風向きが変わります。まずHenderson氏が自ら「PS5 Proが開発中であり、2024年後半にリリースされる可能性がある」ことを確認

さらに5月2日、「PlayStation 5 Proが現在開発中であることを100%の確度で報告することができます」と書いた次第です。最初の開発キット試作機は、今後数ヶ月のうちにファーストパーティ(ソニー傘下の開発スタジオ)に配布され、サードパーティには年末までに届けられる予定だそうです。

そしてPS5 Pro製品版の発売は、2024年末とのこと。ファーストパーティが開発を始めて1年と数ヶ月は、AAAタイトルの開発には厳しいかもですが、既存タイトルの強化版であれば間に合いそうです。

着脱式ドライブ対応の新型PS5でコストダウンか

次に着脱式ドライブ対応の新型PS5とは、現在のPS5と性能は全く同じながら、Blu-rayドライブだけを取り外しおよび装着できる改訂モデルのこと。こちらは昨年末から「2人の開発者から話を聞いた」として可能性が浮上していました。

このモデルチェンジは、主にソニーの都合によるものと推測されています。現行モデルではドライブありの通常版とドライブなしのデジタル版は別々のハードであり、専用の生産ラインを用意する必要があります。しかし着脱式ドライブであれば、ゲーム機本体は1種類となり、製造コストが抑えられる。通常版はドライブ同梱、デジタル版はドライブ別売りにすればいいわけです。

これはユーザーにとっても、悪い話ではありません。今までドライブが故障すれば本体ごと修理に出す必要がありましたが、着脱式なら新品のドライブを用意してやればいい。また物理的に駆動する部分があるドライブは経年劣化しやすいですが、数年後にドライブを交換して延命できる可能性もあるはず。

これら2つの新型モデル、PS5 Proと着脱式ドライブ対応PS5は、「初代モデルが登場した数年後に、強化型と改良型を投入」という意味で、PS4 ProとPS4 Slim(2016年に同時発表)を彷彿させるものでしょう。もっとも、ドライブ着脱式モデルは今後数ヶ月のうちに発表されるとの観測もあり、PS5 Proよりも早く何らかの動きがあるかもしれません。

PS5リモートプレイ専用機「Q Lite」も登場?

写真:ロイター/アフロ

最後に、次期PlayStation携帯機「Q Lite」(開発コード名)の噂話です。

ソニーの携帯ゲーム機と言えばPSPやPS Vitaの後継モデルを期待してしまいますが、Insider Gamingによれば「PS5を必要とするハードウェア」を目指しているとのこと。

では、ソニーのクラウドゲームサービスを単体で遊べるゲーム機?というわけでもなく、PS5のリモートプレイを利用するものだそうです。要はPS5本体を持っている人が、iPadやiPhoneを使わずにリモートプレイが遊べる専用ハード、ということです。

Q-Liteは、最大1080p、60fpsのアダプティブ・ストリーミング機能(ネットワークの状況に応じて画質を調整)を搭載し、常時インターネット接続が必要とのこと。初期の試作機は、DualSenseコントローラーにソックリながら、中央には大きな画面が付いてアダプティブトリガー(ボタンから感じる抵抗力が変化)にも対応しているそうです。

以上をザックリまとめると、コアゲーマーには強化型のPS5 Proにより訴求し、製造コスト(おそらく価格も)を下げた着脱式ドライブ対応PS5でユーザー人口のすそ野を拡大。そして現行のPS5を持っている人にはQ Liteを買い足して「どこでもPS5体験」を提供する、と言ったところでしょう。

これらは噂話に過ぎず、ソニーの正式発表があるまでは幻と終わる可能性もありますが、どれもメーカーとユーザー双方にとって良い展開となるはず。そしてPS5ファミリーのユーザー数が増えれば、サードパーティもより面白いタイトルを投入する……という流れになることを期待したいところです

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

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