Yahoo!ニュース

PlayStation 5 Pro(仮)は2024年発売、性能はPS5の2倍?これまでの噂まとめ

多根清史アニメライター/ゲームライター
(写真:ロイター/アフロ)

いまだにPlayStation 5の品不足が(少なくとも日本では)解消されないなか、そろそろ強化モデル「PS5 Pro」の噂が本格化しつつあります。「少なくとも」と但し書きを付けたのは、ソニーグループが日本市場を軽視しているのが事業説明会から明らかになったんじゃないか?との指摘もあったためですが。

驚異の次世代機と騒がれたPS5も、発売から2年近く経っており、日進月歩のハイテク機器のなかではすでに陳腐化が進んでいます。ゲーム映像技術の検証で知られるDigital Foundyr社によれば、そのグラフィック性能はRTX 2060Super並みかそれ以下とのこと。

このGPU価格は現状では3~4万円であり、PS5はコスパ的には非常に優秀ではあります。が、ハイエンドGPUの1つRTX 3090Tiは演算性能が40TFLOPSとされ、およそ10.3TFLOPSと見られるPS5の4倍近く。とはいえ、価格もPS5の約4倍しますけれど。

つまり現在のPS5は、激安でミドルレンジのゲーミングPC性能が手に入れられる。ただしPCにできる動画編集なりデスクワークはできず……ということで、微妙な立ち位置になりつつあります。

PS5は昔のゲーム機のように「安くてほどほどのゲームが遊べる」ではなく「最新のリッチなゲームがバリバリ遊べる」ことが売りのため、数年でハードウェアの強化が求められてもおかしくはありません。またソニーは2013年にPS4を発売した3年後に、PS4 Proを投入した前例もあり、PS5発売直後にProモデル開発も始めている可能性も高いはず。

では、PS5 Proはいつ発売されて、どの程度の性能となるのか? これまでの噂をざっと整理してみましょう。

■発売は2023~2024年?

いつ頃発売されるのか? それは5月末、中国の大手電機メーカーTCLが大きなヒントを出していました。新型テレビの発表会 にて、なぜか「ゲーム専用機の世代」なるスライドを披露。そこでマイクロソフトのXbox Series X|SおよびPS5の「中世代機」、すなわち完全な次世代機までのつなぎとなる強化発展モデルに触れていたのです。

それによれば「新型Xboxシリーズ」と「PS5 Pro」ともに2023年~2024年に発売されるとのこと。これらが4Kないし8K/60 – 120fps表示が実現できることを前提に、自社のテレビはそれに対応していくとアピールしているわけです。小さな画面のスマホが全盛期のいま、据え置きゲーム機のプレイヤーは大型テレビにとって大事な顧客ですからね。

このうち2024年説は、後述のように複数の情報源から届けられています。PS5の発売から4年後とすれば、むしろギリギリといえるでしょう。またTCLほどの大手メーカーであれば、独自のソースに基づいているとも推測され、しかも主力製品のテレビについて迂闊なことは言わない……はず。

■グラフィック性能は次期「Radeon RX 7700 XT」と同等かも

今年3月頃、YouTubeチャンネルRedGamingTechが「PS5の新型機」が2023年末~2024年のある時期に発売され、「通常時で2倍、レイトレーシングで2.5倍の性能」という豪勢な予想を伝えていました。

さらには高度な「再構成技術」(おそらく超解像技術=低解像度でレンダリングした画像を高画質にアップスケールして出力する)が使われていると述べられていました。これはAMDのFSR(FidelityFX Super Resolution) 2.0と同じではなく、ソニー独自の研究に基づいているとのことです

ちなみに超解像技術は、うわさの「Nintendo Switch Pro(仮)」にも搭載が予想されています。そちらはNVIDIAから流出した(らしい)ソースコードから手がかりが見つかったこともあり。コスト的にも熱設計的にも、素の性能を劇的に底上げできないゲーム専用機の都合上、今後は「内部の処理は軽く、見かけはリッチ」になりやすい超解像技術は普及していきそうです。

また5月には、ソニーやMSにプロセッサを供給するAMDが「次世代RNDNAファミリー」のグラフィックチップを開発するスタッフを募集 。ここでいう「RDNA」とは、PS5およびXbox Series X/Sに採用されたGPUアーキテクチャのことで、そこからAMDが両社の強化発展モデル向けチップに取り組んでいる可能性が窺われたしだいです。

同じく5月末、上記したようにTCLがテレビ新製品の発表会でMSやソニーの中世代機に言及。それらのグラフィック性能が、AMDのRDNA第3世代ミッドレンジGPU「Radeon RX 7700 XT」相当だとしていました。

このRadeon RX 7700 XTはまだ噂レベルにすぎませんが、先代であり現行モデルのRadeon RX 6700 XTはPS5やXbox Series Xと(ざっくり言えば)同等とのこと。つまり、強化されたProモデルはそのぐらい性能が向上する、ということでしょう。

■先にPS5 Slimが発売される?

さてゲーム機の中核となるのがCPUとGPUチップ(製造を手がけるAMD的には総合して「APU」)。その性能を大きく左右するのが、半導体の回路線幅である「プロセスルール」です。たとえばiPhone XS(2020年発売)のA12 Bionicチップは7nmだったが、iPhone 13(2021年発売)のA15は5nmという風に、数字が小さくなるほど一般的に処理能力が向上し、消費電力は小さくなる傾向があります。

現行のPS5もXbox Series X|Sも、ともにプロセッサは台湾TSMCによる7nm製造。これが6nmになるとのサプライチェーン情報や、いや5nmになるんだとのうわさ話も飛びかっています。

しかし、一口に「改良型PS5」といっても、性能が高くなることを目指しているとは限りません。薄く小さくした、つまり発熱を低く抑えることを前提としたPS Slimが2022年末に発売との噂もあり、まずはそちらを投入。その売れ行きを見てからProモデルの投入を検討する……という展開もあり得るのかもしれません。

アニメライター/ゲームライター

京都大学法学部大学院修士課程卒。著書に『宇宙政治の政治経済学』(宝島社)、『ガンダムと日本人』(文春新書)、『教養としてのゲーム史』(ちくま新書)、『PS3はなぜ失敗したのか』(晋遊舎)、共著に『超クソゲー2』『超アーケード』『超ファミコン』『PCエンジン大全』(以上、太田出版)、『ゲーム制作 現場の新戦略 企画と運営のノウハウ』(MdN)など。現在はGadget GateやGet Navi Web、TechnoEdgeで記事を執筆中。

多根清史の最近の記事