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DISH// 初のウェディングソングが好調。ドラム泉大智が語る、10周年を迎えたバンドの現在地

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックレーベルズ(全て)

ドラム泉大智が作詞・作曲した初のウェディングソングの「ウェディングソング」

DISH//の5thアルバム『TRIANGLE』を引っ提げた全国ホールツアー(16ヶ所18公演)『DISH// HALL TOUR 2023 “TRIANGLE”』が6月29日、東京ガーデンシアターでファイナルを迎えた。この日、前日6月28日に配信リリースした新曲「ウェディングソング」を初披露。6月20日の埼玉・大宮ソニックシティ公演で、この曲をリリースすることをサプライズ発表していた。バンドの要・ドラムの泉大智が作詞・作曲を手がけた、メロディからも歌詞からも、優しさと温もりが伝わってくるDISH//としては初のウェディングソングだ。泉にこの曲について、そして結成12年、メジャーデビュー10周年を迎え、新しいフェーズに突入したDISH//というバンドについてインタビューした。

泉大智(Dr) ライヴPhoto/Ray Otabe(以下同)
泉大智(Dr) ライヴPhoto/Ray Otabe(以下同)

「結婚する親友に向けストレートな言葉で書いた」

「この曲は、親友が結婚するという話を聞いて書いたものです。元々頭サビのフレーズだけはあって『結婚式ぽいな』って思っていたので、タイミングがハマってできあがりました。歌詞は自分がストレートにしか書けないということもありますが、長い付き合いの友人ということもあって、よりストレートな言葉になりました。タイトルからしてストレートですよね。完成したものをその友人に聴かせたら感動してくれたので、作ってよかったです(笑)」。

「『ウェディングソング』のイメージは、ビートルズ」

飾り気のない言葉で友情を描くと共に、結婚する二人の前途を祝したポジティブなワードが幸せな空気を作り出している。イントロのメロトロンから柔らかな温もりのある世界へといざなってくれる。

「イメージはビートルズです。『Let It Be』のようなストレートなものを作りたくて、メロトロンはビートルズが「Strawberry Fields Forever」で使っていて、あの音色は結婚式っぽいイメージがあったので入れました」。

北村匠海(Vo/G)
北村匠海(Vo/G)

この曲の歌入れの時、泉は改めて北村匠海のボーカルに感動したという。

「匠海は役者をやっていることもあって、言葉の乗り方が違うというか、人が書いた言葉をそこに込められた思いも含めて歌えて、伝えることができるのは、やっぱりすごいなって今回改めて思いました。ただうまいだけでなく、人間臭いところがすごくあるので、そこが匠海の強さだし唯一無二のボーカルだと思います。だから『匠海だったらなんでも歌えるだろう』ってメンバーは難しい曲を作ってしまいがちです(笑)」。

「一人ひとりが楽曲を作るというより、“みんなで作る”感覚を大切にしたい」

北村匠海というボーカルを擁してることがDISH//の強みであり、これまで様々なアーティストから楽曲提供を受けつつ、全員が曲を書き切磋琢磨していることもバンドの進化に繋がっている。

「本当に色々な人に曲を書いてもらって、普通のバンドだったらまずあり得ないことだし、でもそれもすごい面白い経験というか、DISH//の強みでもあると思います。逆にいうとDISH//って色があまり決まっていなくて、自由度が高いというかこのバンドはどんな曲でもできるんだっていう可能性は感じています。メンバー全員でシングル、アルバム候補曲を書いて、自分が自信を持って提出した曲が採用されなかったり、そうやってある種みんなで高め合っている部分もあると思います。でももっといい方法がないか、8月9日に発売する初めてのEP『HAPPY』の制作の前に話し合いました。一人ひとりではなくて“みんなで作る”感覚を大切にしたいというか、その流れで『ウェディングソング』もできたのでいい方向に転がったなって。まず僕が歌詞を書くっていうことも、以前の作り方だったら匠海が書いていたと思いますが、任せるところは任せるという振り分けができるようになりました。『HAPPY』は色々な発見があったEPになりました』。

バンドが変化していく中、2017年に加入。「最初はアウェーで、悩み、葛藤があった。でも自分がいいスパイスになればいいと思った」

橘柊生(DJ/Key)
橘柊生(DJ/Key)

DISH//はダンスロックバンドとして2011年に結成された。楽器に触れたことがなかったメンバーが一作ごとに力をつけ、2015年には日本武道館公演も成功させる。そして2017年にドラムの泉が加入。しかし加入当初、泉はずっと悩み、葛藤していたという。

「変化の中だったので、最初はアウェーだったというか。でも僕が入る前からメンバーはむちゃくちゃハングリーだったし、本格的なバンドになるんだというメンバーの強い意思を尊重したかったんです。僕がいいスパイスになればいいなって思いました。DISH//に加入する時も肚を括りました。でもコロナ禍で自分と向き合う時間が増える中で、“DISH//として”肚を括らないとダメだと思った瞬間が改めてあって。2019年くらいまではずっと悩んでいたというか、自分は何をしているんだろうって思っていた時期がすごく長くて、でもコロナ禍でガラッと意識が変わりました」。

泉が加入し、バンドに明らかな変化が

矢部昌暉(Cho/G)
矢部昌暉(Cho/G)

泉が加入してからバンドが変わったとメンバーはインタビュー等でも語っている。メンバー一人ひとりの意識改革が急速にバンドを進化させていく。

「(矢部)昌暉はそもそもギターを好きじゃなかったらしくて(笑)、でもリハーサルで音を合わせて重ねていく中で、どんどん演奏が楽しくなってきたと言ってくれて、それが嬉しかったし、DISH//に入ってよかったと思えた瞬間でした。でもそんな一気に変わることは無理だし、DISH//を信じながらちゃんと時間をかけてやらないといいものは作れないと思っていたので、これでよかったんだと思えたのは『TRIANGLE』というアルバムを完成させた時でした」。

「まだまだ発展途上。でもそれはバンドを更新していってるということ」

3rdアルバム『Junkfood Junction』(2018年)には BiSHのアイナ・ジ・エンドやUNISON SQUARE GARDENの田淵智也、あいみょんが楽曲提供、2020年に発表したミニアルバム『CIRCLE』には、BOOM BOOM SATELLITESの中野雅之や、さかいゆう、水曜日のカンパネラのケンモチヒデフミらが楽曲提供するなど、様々なアーティストとのコラボで刺激を受けつつ、メンバーで全曲を手がけるという思いを強くしていく。

「まだまだみんなハングリーだし、自分たちの楽曲だけでアルバムを作るんだという強い気持ちは変わらない。ずっと変わり続けているバンドだし、最近みんなで話しているのは、リンキン・パークが毎回アルバムを出すごとに全然方向性が違って、それって俺らっぽいよねって(笑)。でも毎回バンドを更新していっているということだと思うし、進化していくために必要なことなので、悪くないことだと思う。そこは大事にしたいです。僕らまだ全然発展途中というか、ゴールは見えていないので、これからも色々なことにチャレンジしていきたいです」。

「メンバー内で言いたいことを言い合う。その時間がすごく大事」

バンドで話し合う時間をとても大切にしている。折を見ては言いたい事を言い合い、ぶつかりながら、理想とするバンドの形に向かっている。

「メンバー内で話しをする時は遠慮しないで言いたいこと言うようにしています。辛辣な事を言われても、そこはちゃんと受け入れようって。その時間がすごく大事だと思います」。

8月9日初のEP『HAPPY』を発売&12月2,3日にぴあアリーナMMでライヴを発表

EP『HAPPY』(8月9日j発売/初回生産限定盤(CD+Blu-ray) )
EP『HAPPY』(8月9日j発売/初回生産限定盤(CD+Blu-ray) )

全国ホールツアーのファイナルのステージでは、8月9日にメンバーが書き下ろした5曲が収録された初のEP『HAPPY』をリリースすることと併せて12月2、3日にぴあアリーナMMでワンマンライヴ『DISH// ARENA LIVE 2023「HAPPY?」』を開催することも発表した。ハングリー精神を推進力に変え、前へ前へと進むDISH//の進化は止まらない。

DISH//オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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