Yahoo!ニュース

春の富士山で花火師BIG4が奇跡の競演 “極上の特別”が味わえる春エンタメ「The絶景花火」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/The 絶景花火実行委員会

“日本を代表する絶景ポイントで、最高の花火を”というコンセプトで、昨年第1回目が開催された注目の“春エンタメ”『The 絶景花火 シリーズ「Mt.Fuji 2023」』(絶景花火)が、今年も4月22日(土)「ふじてんリゾート特設会場」で開催された。

約3割がインバウンド。海外からも注目を集める、絶景と世界最高峰の花火が織りなすエンタメ

舞台は、今年世界遺産登録10周年の富士山の一合目に位置する「ふじてんリゾート」。『フジロックフェスティバル』の第1回目が開催された会場(当時は「富士天神山スキー場」)に約2000人の観客が集まった。全てが特別席、全てがベストビューポイントになっている会場で、絶景と世界最高峰の花火を最高のサービスでゆっくり楽しんでもらうために、チケットの最高価格を10万円(VIP席)に設定し(専用駐車場・エリア有り)、1万人収容可能の会場に限定2000人が参加可能という、ラグジュアリーな花火大会だ。今年は約3割が海外からの観客で「富士山」「花火」「桜」という、まさに“ザ・日本”を一挙に楽しめるエンタメショウに目を輝かせていた。

4月22日当日。昼間は青空に富士山が映えていたが、変わりやすい山の天気、再び厚い雲が富士山を覆う。しかし開演時間が近づくと、その雄大な姿を集まった観客の前に表した。昨年この大会を観てファンになったという女優・室井滋が味わいのあるナビゲーションで大会を盛り上げる。

紅屋青木煙火店、磯谷煙火店、齋木煙火本店、菊屋小幡花火店、100年以上の歴史を持つ花火師BIG4の、技巧の限りを尽くした美しい花火

18時35分、標高1500mの空気はグッと冷え込む。黄昏時を迎え、より幻想的な姿が感動的な富士山を背景に、プロローグ花火が打ち揚がり、歓声が沸く。文字通りの絶景花火がスタート。プロローグ花火は「黄昏の富士」だ。大きな花火が一発ずつ富士山を照らすように揚がり、拍手が起こる。

紅屋青木煙火店、磯谷煙火店、齋木煙火本店、菊屋小幡花火店といういずれも100年以上の歴史を持つ、日本を代表する花火師BIG4の、技巧の限りを尽くした美しい花火の競演がこの花火大会の最大の売りだが、4社のコラボが早くもプロローグから実現。国内でこの4社の花火師のオールスターたちが揃うのは、「絶景花火」だけだ。花火大会というと各地域と密着した大会が多いの中で、この「絶景花火」はあくまで花火を主体に組み立てているところも、花火師の気持ちに“火をつける”。各社が最強の花火を用意し、臨む。

音楽花火が百花繚乱の昨今、敢えて音楽は使わず花火の光、響き、匂いだけで感動を演出

完全に暗くなるを待ち、オープニング花火「霊峰富士と織りなす神秘の光」で本編がスタート。光とそして肚に響いてくる轟音。昨今増えた、音楽に合わせて打ち揚げる花火とは違い、花火の音が最高のBGMになる。見事なスターマインに歓声が上がる。大玉花火の競演も見どころのひとつだ。最大の花火・10号玉の競技会で優勝経験がある煙火店が揃い、それぞれが一発で全ての人の心を打ち抜く“必殺玉”を持っている。ひと玉ひと玉丁寧に作られた5号玉20発、8号玉8発、そして10号玉4発が打ち揚げられ、一瞬夜空が昼間のように明るくなる。

それぞれの煙火店が、色彩と造形美にこだわり、個性を発揮しながら切磋琢磨し、世界一の日本花火を作り上げている。そのコラボで打ち揚がる花火は、得も言われぬ感動を連れてくる。さらに気温が下がってきた後半は、前半とは一転、温もりある和火の炎の演出で、心に訴えかけてくる。ラストはBIG4“協演”のスターマイン「富嶽夢景」。言葉も音楽もいらない、富士の裾野を花火で埋め尽くす圧巻の光景。BIG4が描く、唯一無二の花火スペクタクルショウだ。

絶景と花火と美食

この花火をロマンスリフト頂上に設置した、日本最高峰の場所にある特別席で観覧した観客もいた(富士山天空チケット)。カメラマンにもVIPカメラ席を用意するなど、様々なニーズに応えチケットが用意されているのもこの大会の特徴だ。さらに今年から加わったのが美食サービスだ。開演前にVIP向けにまぐろの解体ショウで楽しませ、切っていくそばから寿司を提供。他にも天ぷら、焼鳥、たこ焼き、様々なドリンク類が用意されていた。最高のおもてなしもこの花火大会の魅力だ。

身障者用のトイレも用意され、バリアフリーが万全なところも嬉しい。駐車場から客席までがフラットで数分で移動することができ、受け入れ態勢が整っている。入場時に段ボール製の椅子が配布されるが、これもSDGsを意識したもので折りたたんで持ち帰ると普段使いもでき、ゴミも出ない。

「どんどん新しいことをやり続けていきつつ、伝統の花火という肝の部分は守っていきたい」

実行委員は「どんどん新しいことをやり続けていきつつ、伝統の花火という肝の部分は守っていきたい。3~4年後には世界的に有名なイタリア、スペイン、ドイツ、マルタ、アメリカの花火師さんも招聘して、BIG4とWBCのような花火のオリンピックを開催したい。世界中からたくさんの人が集まってくれるはずです」と語ってくれた。来年4 月20 日(土)に開催されることが発表された。「極上の特別」を感じようと、国内外から多くの観客が集まりそうだ。

『The絶景花火Mt.Fuji』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事