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野性爆弾くっきー! 原宿で“未来”を遊ぶ。「お笑いも全部“何なん?これ”って気持ちになって欲しい」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ポニーキャニオン

トップクリエイター7組が原宿を“遊ぶ”「Creator’s Power Spot 原宿」。そのプロジェクト第1弾「Play原宿1」で野性爆弾くっきー!が無料アート展を開催

東急不動産とポニーキャニオンがタッグを組み、トップクリエイターが原宿を題材に作品を制作し、原宿に仕掛けて“遊ぶ”「Creator’s Power Spot 原宿」。そのプロジェクト第1弾の「Play原宿1」、野性爆弾くっきー!の入場無料のアート展『野性爆弾くっきー!の真相未来館』が、4月28日~5月28日までアンノン原宿で開催中だ。

トップクリエイター7組が、新たなカルチャー・トレンドを創出し、原宿・神宮前エリアを今以上にワクワクする、新しいカルチャーの発信源にしていくこのプロジェクト。そのトップバッターとして登場するのが、お笑い芸人としてだけではなく、音楽、絵画、デザイン、小説など幅広い分野でアーティスト&クリエイターとして才能を発揮している野性爆弾くっきー!だ。

『野性爆弾くっきー!の真相未来館』は、くっきー!が“2306年の団欒”をイメージして制作した映像やオブジェを展示するイベント。原宿の路地裏の古民家をリノベした「アンノン原宿」を舞台に3つのエリアで構成される、くっきー!の頭の中がのぞけるアート展だ。このアート展について本人にインタビューした。

まずこのプロジェクトへの参画の打診が会った時はまずどんな思いで受け止めたのだろうか。

「“原宿の”とか“原宿で”という言葉を聞いた時に『重いな…俺で対応できるのかな』って思って、一旦考えさせてほしいと伝えました。自治体や街と組むのって『超くっきー!ランド』をやる時のように気軽な感じではないので…。でも一旦咀嚼して飲み込んで、『大いにやらせていただきます!』と返事しました」。

「原宿は『超くっきー!ランド』第1回目を開催した、一番気持ちがこもっている場所」

くっきー!が原宿に抱くイメージとは?

「おしゃれとカワイイの元祖、みたいな感じで、高校の修学旅行で来たこともありますし、当時アイドル雑誌で見た、西村知美さんがGジャン着てクレープを食べてるイメージです(笑)。裏原に行きつけの洋服屋さんもあるし、なにより「超くっきー!ランド」の第1回目はラフォーレ原宿でやったので、一番気持ちがこもっている場所でもあります」。

テーマは“2306年の団欒”。「人間の未来はここで表現していることが正解(笑)」

原宿の路地裏の、剥き出しになった梁がそのまま使われ、いい味を出している古民家をリノベした「アンノン原宿」で、“2306年の団欒”というテーマで仕掛けた理由を聞かせてもらった。

「いくつか場所の候補があった中で、ここに来て見た瞬間『ここだ』と思いました。僕はドバイの「未来博物館」にもできてすぐに行ったくらい元々“未来”好きで、興味があるので、すぐに“2306年の団欒”というテーマが浮かびました。自分なりというか、人類の未来は、ここで表現していることが正解なので(笑)、それをもう早く見せてあげようと。進化していく過程を観るのってちょっと怖いじゃないですか。だから先に教えてあげたら、怖くなくなると思うので。今回は展示している個体がより際立つようにしたかったので、普通の家の中で未来人が団欒しているという“異質感”を出したかったんです」。

「『お祈りエリア』『日常エリア』ではポカーン、『答え合わせエリア』でスッキリしていただきたい」

場内は「お祈りエリア」「日常エリア」「答え合わせエリア」の3つのエリアで構成され、テーマごとに展示されている。3エリア合わせてもそんなに広くなく、短時間で全てを観て回れるが、だから余計に濃厚で濃密なエネルギーを感じる。「日常エリア」で観ることができる人気番組『秘密のケンミンSHOW極』(読売テレビ・日本テレビ系)の未来版にも注目だ。

「そうでしょ!最初の『お祈りエリア』は“未来神”がドーンと正面に鎮座しているので、思わずお祈りしたくなると思うので、お賽銭かわりにガチャガチャを楽しんでいただきます(笑)。無料のアート展なので、これで東急不動産さんとポニーキャニオンさんに少しでも儲けていただいて(笑)。そこから『日常エリア』に行って、日本の団欒には「ケンミンSHOW」は欠かせないのでその未来版を楽しんでもらって。最初は『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』とどっちを観せるか悩みました(笑)」。

「でもここまで観ても、たぶんみなさんポカーンとしてしまうと思うので、最後に伏線回収というか、種明かしをする『答え合わせエリア』で映像を観てもらって、スッキリしていただく、と。この映像は一番最後に仕上げたので、たぶんスタッフもみんな、このアート展は一体何がやりたいんだろうって、ずっと腑に落ちないまま作業していたはずです(笑)。完成したものを観た時は率直に嬉しかったです。フラットな状態で最初から観て回ってみて、入った瞬間にまず『怖っ』と思いました(笑)。それでやっぱり最後の映像を観て、自分でも納得できました」。

「真ん中にお笑いというぶっとい幹があるので、その枝としてアートや音楽ができる」

ネタも作品もくっきー!から出てくるものは、観る側の想像力を試したり、いい意味でもて遊ぶ、そんな印象が強い。

「そうなんです、なるべく脳を使わせたいんです。なので最後のエリアで納得していただいたら、もう一周して欲しいです(笑)。自分がやることは、真ん中にお笑いというぶっとい幹があるので、その枝としてアートや音楽ができる。だからカッコいいものはできないんです(笑)。なにをやっても“とろみ”がついてるものができあがるというか、狂気を感じるもの、シリアルキラーっぽいというか、そういうものが好きなんです。笑わせたい、喜ばせたいというより『何なん?これ』っていう気持ちになってもらえたら嬉しいんです」。

「このアート展に来て、未来ってこうなるんだってワクワクするか、こうなりたくないと思うか(笑)」

このアート展もギリギリまで調整し、前日にようやく納得いくものができたという。その息遣いが感じられるような生々しく迫ってくる感覚だ。

「モノを作る時はなんでもそうなんですが、じっくり考えて作り出すより、瞬発力タイプで、小説も書いていますが、締め切り当日に書くタイプです。だから今回の展示物も息している感じがしますよね。そこが狙いでもあるし、自分の中で鮮度がなくなったら終わりだと思っています。自分なりの鮮度を保ちたいんです」。

「ここに来て、未来ってこうなるんだってワクワクするか、こうなりたくないと思うか(笑)、不安になるか、楽しくなるか、楽しみにして来て欲しい」と語ってくれた。

場内では写真撮影も楽しめ、展示作品に関連したオリジナルグッズも発売されている。表現者・くっきー!の頭の中を存分に楽しめ、でも『何なん?これ』と心がザワザワするはずだ。

「Creator’s Power Spot 原宿」オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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