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生田絵梨花 グループ卒業後初の音楽番組で何を歌い、何を語るのか。“ひとり”になって感じたこととは?

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/BS-TBS

グループ卒業後初の音楽番組で歌いたかった3曲

“時を超えた、ここでしか聴くことができないサウンド”がコンセプトの音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)の2月19日(土)放送回に、昨年末で乃木坂46を卒業した生田絵梨花が登場。女優として歌手として第2章を迎えた彼女は、卒業後初の音楽番組で何を語り、歌うのだろうか――。

河野圭
河野圭

収録日当日、本番2時間前にスタジオに現れた生田は、ピアノで聴き慣れたメロディを弾き始めた。エルトン・ジョンの名曲「Your Song」だ。アレンジを手がけた河野圭が「難しい曲」と語るほどの難易度だが、彼女は「素敵なアレンジなので完璧に表現したい」と本番当日まで自主練を重ね、この日も2時間も前にスタジオに入り、ピアノに向かった。

迎えた本番、弾き語りでひと言ひと言、一音一音を丁寧に表現する優しくも強いピアノの音色と生田の歌が響き渡る。ストリングスが彩りを与え、メロディの美しさをより際立たせる。セッションが終わると破顔一笑。緊張から解き放たれた美しい笑顔が印象的だ。

第2章のスタートに、人生を変えた曲を歌う

笹路正徳
笹路正徳

2曲目は「新たなスタートに立つ時に歌ってみたいと思った」という、10年前に生田の人生を変えた一曲、I WiSHの「明日への扉」をカバー。アレンジを手がけたのは笹路正徳。この曲は乃木坂46のオーディションを受けた時に「キーがピッタリなので」選び、歌った思い出の曲だ。当時14歳、そこから10年間、乃木坂46の中心メンバーとして全力疾走した。そして2022年の幕開けと共に表現者としての第2章をスタートさせ、気持ちを新たにもう一度この曲を歌いたいと思った。フルートの優しい音色のイントロから始まり、間奏のホーンは、まるで彼女の第2章のスタートを祝福しているファンファーレのように聴こえる。

中島みゆき「誕生」は、「難しい曲なので、今日歌わなかったらもう歌うことがないかもしれないと思った」

斎藤ネコ
斎藤ネコ

3曲目に選んだのは敬愛する中島みゆきの「誕生」を、斎藤ネコのアレンジで披露。気持ちが落ちた時や悩んだ時には、中島みゆきの詩集を読み、エネルギーをもらっているという生田にとって、中島みゆきの歌は特別な存在だ。「すごく難しい曲で、でも今日歌わなかったらもう歌うことがないかもしれないと思い、向き合ってみようと思った」と語る彼女の、そんな思いに寄り添うような厚く美しいストリングスが、言葉とメロディと歌に光を当て、輝かせる。間奏の“泣き”のギターソロは名手、佐々木“コジロー”貴之。そこにストリングスが絡み、生田絵梨花というアーティストに感じる“凛とした強さと美しさ”を、音で表現しているような感覚を与えてくれる。ドラマ、映画、ミュージカルシーンでも活躍する生田は、作り手が作品に込めた思いをきちんと掬いあげ、観る者、聴く者の心に真っすぐに届ける表現力に長けている。素晴らしいセッションが生まれた。

「改めて、歌える機会が貴重だということを感じました」

“ひとり”になって感じることがあると生田は吐露する。それは「グループにいる時は、CDを出して音楽番組に出て、コンサートをやって、いつも音楽が身近にあった。でも一人になるとそういう場面も少なくなる。歌える機会が貴重だということを再認識できました」と、この日も楽しみながら、全力で歌を届けていた。3人の名アレンジャーとスーパーバンドとのセッションを終え「やりきりました」と満足げな表情を見せ、そして「世界が広がりました。心から届けたいと思っている音楽はどんな音楽なのか、それを見極めるためにこれからも色々なジャンルの音楽に挑戦したい」と決意を新たにしていた。

生田絵梨花が出演する『Sound Inn S』(BS-TBS)は、2月19日(土)18時30分からオンエアされ、番組放送終了と同時に「Paravi」で未公開映像と共に独占配信される。

『Sound Inn S』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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