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access初の配信ライブは「新しい形でアクセスできて繋がっているから出せる音、テンションだった」

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/ソニー・ミュージックダイレクト

初の配信ライブ。「今までのaccessはオフライン、今日は初めてオンライン」

accessが7月7日に「【access無観客LIVE生中継】accessスペシャル☆配信ライブ」をニコニコ生放送で生配信し、ファンを熱狂させた。accessは5月から毎春恒例の全国ツアー『access ELECTRIC NIGHT 2020』を開催予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け延期となり、楽しみにしていたファンのために「今までのaccessはオフライン、今日は初めてオンライン」(浅倉)と、初の配信ライブを企画した。

最近多い“無観客ライブ”という打ち出し方だが、当然カメラの向こう側、スマホ、PC等の画面の前で声援を贈る、本当に多くのファンが存在しているわけで、今回の配信ライブでのファンのコメントを通じての熱狂ぶりを見て、あえて“無観客”という言い方はしなくてもいいのでは?と改めて感じた。

ライブを待ちに待っていたファンの熱気は、開演前からコメントでのメッセージにも表れていた。そしてそれに応えるようにaccessの二人はファンも認める“神セットリスト”で臨んだ。その日限りのエレクトロニック・セッションが魅力の、春の恒例ツアー“エレナイ”だが、この日は「初めてaccessを聴いてもらった時の新鮮な気持ちを、オンラインで感じてもらいたくて選曲した」(浅倉)と、初期の楽曲、ヒットナンバーをオリジナルアレンジで披露したり、全く違うアレンジで違う表情に仕立て、2時間半圧巻のパフォーマンスを見せてくれた。

「(みんな)なんで(ここに)来ない?」(貴水)、「そりゃ来れないよ、(場所)教えられてないし、コロナのせいだし」(浅倉)

オープニングナンバーは、夏の空気を運んできてくれるデビュー曲「VIRGIN EMOTION」。<みんなが最前列>というコメントが次々と流れてくる。浅倉のシンセサイザーを弾く手がアップになり、生演奏の音がより耳に飛び込んでくる感覚になる。続く「CATCH THE RAINBOW」では貴水が「みんな元気でしたか~」とファンとの“再会”を喜び、カメラに向かいコール&レスポンスをリクエスト。当然コメントで返すファン。「Only the love survive」「Doubt & Trust」と熱を帯びていく貴水のボーカル。時間も空間も軽く飛び越えて、accessとファンが熱狂の時間を作り出す。雨の季節に似合うバラード「PALE BLUE RAIN」を、ひと言ひと言をかみしめるように歌い、最初のMCへ。「今年最初のaccessのライブがこんなことになろうとは」と浅倉が、ファンも感じているであろうことを言葉にすると、貴水は「なんで(ここに)来ない?」とファンに訴えかける。「そりゃ来れないよ、(場所)教えられてないし、コロナのせいだし」(浅倉)というやりとりをしているうちに、どうしても距離が近くなってしまう二人。ソーシャルディスタンスを取りながらのライブであることを、つい忘れてしまい近づいてしまう二人を、コメントでほほえましく見守るファン。

「初めてaccessを聴いてもらった時の新鮮な気持ちを感じて欲しい」(浅倉)

「NAKED DESIRE」では貴水が迫力あるボーカルを響かせ、「JEWELRY ANGEL」では浅倉がステージ前方にセッティングされたシンセサイザーに移動しプレイ。この日はこの曲を含めて初期のシングルを多く披露し、浅倉の言葉通り「初めてaccessを聴いてもらった時の新鮮な気持ちを感じて欲しい」という気持ちと、今回初めてaccessのライブに触れた人にも自分達の“初期衝動”を伝えていた。新旧の楽曲が同列に並んでもどの曲も瑞々しく感じるのが、accessが作る音楽の強さであり、そこに込められた熱量の高さを証明している。ファンが気になっているそれぞれの近況報告では、貴水は「曲を作っていた。それと料理、掃除、洗濯」と報告すると、大勢の声を代表して浅倉が「主婦じゃん」と返す。浅倉は「ステイホーム中に太ってしまい、クロスバイクを始めた」ことを伝えた。さらにこの日、同じくニコ生でライブ配信を行なっていた、宇都宮 隆の『LIVE UTSU BAR「それゆけ歌謡曲」“ニコ生スペシャル4”』の中継を観るひと幕も。

「早くみんなに会いたい。これしかないでしょ」(貴水)

バラードアレンジの「Heart Mining」では、向き合って演奏する「普段しないスタイル」(浅倉)で、まるでスタジオセッションのようなパフォーマンス。浅倉のエレピの音色と貴水の情感豊かな歌とが絡む。タイトルに込められた、リアルなつながりだけではなく、ネットを介してのアクセスで繋がるという心の持ち方や精神性という意味は、まさにこの日のライブのことだ。「SCANDALOUS BLUE」は貴水がソファに座って歌い、会場に充満するせつなさが画面を通して伝わってくる。「アオイナミ」は再び向きあうスタイルで、貴水はアコースティックギターを爪弾きながら歌い、浅倉のローズの音と共鳴し合い、ファルセットボイスが心地よく響く。

七夕ならではの、“願い事”を短冊に書くコーナでは浅倉は「早くリアルでライブしたい、というのと個人的にはディズニーのチケットが当たりますように」、貴水は「早くみんなに会いたい。これしかないでしょ」というとコメント欄が<早く会いたい>の文字で埋め尽くされる。

それぞれの等身大のパネルと絡む“新たな形”の「MOONSHINE DANCE」にファンは、<access史上に残る名プレイだった>

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希望を与えてくれる「夢を見たいから」は、このライブを観終わったファンの多くが感じたであろう「多幸感」であふれている一曲だ。「MOONSHINE DANCE」では、それぞれのパネルが登場し、パネルと絡むという“新たな形”が生まれ、コメントに<パネルプレイ>というワードが“乱舞”する。一緒に大合唱したであろうファンは、<access史上に残る名プレイだった>と大満足していた。「Share The Love」では弾幕状態の画面に、10画面に分割されたスイッチャー風の映像が表れ、ニコ生ライブならではの演出。浅倉の情熱的なシンセソロが印象的だ。「Virgin Emotion 2020」は、昨秋行われた宇都宮 隆の全国ツアー『Dragon The Carnival』に浅倉がキーボーディストとして参加し、ソロコーナーで披露した時のアレンジがベースとなって、「Virgin Emotion DTC MIX ver. 2020」として6月11日に配信リリースされたばかりだ。今回そのバージョンに、さらに貴水の生歌が乗ったことで<音源化希望>のコメントが殺到していた。

エモーショナルさと切なさが重なる「Vertical Innocence」、開放的でポジティブな、大合唱ナンバー「S-MILE GENERATION」では、貴水がカメラ=画面の向こうにマイクを向ける。“不安抱いた夜こそ 僕達のこと思い出し 一人じゃないと気付いて>”と、一人ひとりにメッセージを届けるように歌う。コロナ禍で不安な時を過ごす多くの人へ、そして七夕の日に、最高のプレゼントになったはずだ。

秋のツアー『access 2020 LIMITED CONCERT SYNC-STR』の開催を発表

「新しい形でアクセスできてつながっているから出せる音、テンションだった。みんなの顔もちゃんと伝わってきました」(浅倉)、「僕らも辛かった、どうなっちゃうんだろうって。今日は心を通わすことができてよかった」(貴水)と、ファン同様、不安に苛まれていた二人の素直な言葉だ。二人もファンとちゃんと“繋がっている”ことを確認したかった。そして確認できた二人は「みんなにリアルで楽しんでもらいつつもaccessらしいことができたらいいなって」と、秋のツアー『access 2020 LIMITED CONCERT SYNC-STR』を行うことを発表した。その瞬間、ファンの大歓声が聞こえてくるようだった。

“アンコール”は「ENDLESS SUMMER」から。切々と歌う貴水、浅倉のせつないエレピ、背中合わせというスタイルで、この日最接近した二人のあうんの呼吸が作り上げる、“二人だけの世界”を届けてくれる。ラストは「Grateful Circle」。最後の最後までポジティブパワーをファンに届けようとする二人。どんなスタイルでもaccessはaccessのまま、どこにいても目一杯の感動を届けてくれる――この配信ライブを観た多くのファンは改めてそう感じたのではないだろうか。

7月15日、ライブアーカイブ映像集第2弾『LIVE ARCHIVES BOX Vol.2』が発売され、好調

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7月15日には、昨年6月にリリースされた『LIVE ARCHIVES BOX Vol.1』に続く、ライブアーカイブ映像集第2弾『LIVE ARCHIVES BOX Vol.2』が発売(BD、DVD)され、好調だ。【Disc 1】には、 1993年11月のデビューからわずか340日で実現した初の日本武道館のライブ映像『LIVE REFLEXIONS SYNC-ACROSS JAPAN TOUR'93 ACCESS TO SECOND』と、ゲネプロ、 リハーサル時のメンバーやスタッフのコメントも加え、編集されたビデオコンサート『LIVE REFLEXIONS ACCESS TO SECOND~REWIND~』の映像が初商品化され、収録される。

『LIVE ARCHIVES BOX Vol.2』(7月15日発売/BD))
『LIVE ARCHIVES BOX Vol.2』(7月15日発売/BD))
『LIVE ARCHIVES BOX Vol.2』(7月15日発売/DVD))
『LIVE ARCHIVES BOX Vol.2』(7月15日発売/DVD))

【Disc 2】には、デビューから2年間の活動の集大成ともいえるアリーナツアーの最終公演、 横浜アリーナのライヴブ映像『LIVE REFLEXIONSII SYNC-ACROSS JAPAN TOUR'94 DELICATE PLANET ARENA STYLE』と、その後、全国各地で上映されたビデオコンサートの映像が初商品化される。徹底的に音にこだわり、立体的な音が交錯し、アリーナとは思えない臨場感を作り出し、誰もが驚いた貴重な映像&音源だ。

さらに【Disc 3】(BDのみ)には、 同様に初商品化となる3度目の全国ツアー『SYNC-ACROSS JAPAN TOUR'94 DELICATE PLANET』の最終公演、日本武道館のライブ映像が収録される。この映像は、同年にNHK BS2で放送されて以降、一切公開されていない貴重なライブ映像だ。そしてこれらの貴重な映像をにすべてレストア・リマスタリングを行ない、画質、音質ともに格段にアップした映像で楽しむことができる(DVDには今回ブラッシュアップされた映像と音声を収録)。DVD、BD共にライブ写真を満載したスペシャルブックとフォトカードも封入され、完全生産限定盤での発売となる。

access オフィシャルサイト

otonano access『LIVE ARCHIVES BOX Vol.2』特設ページ

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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