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小田和正『クリスマスの約束2019』 人と歌が紡ぐストーリーから生まれる、感動セッション

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/TBS

今年で18回目となる小田和正『クリスマスの約束』

今年で18回目、この時期の風物詩といっていい、小田和正が様々なゲストアーティストとセッションを繰り広げる音楽番組『クリスマスの約束2019』(TBS系)が、12月25日(深夜24時10分~)にオンエアされる。2018年はオンエアが延期され、それがニュースになるほど誰もが心待ちにしている番組だ。延期されたが今年3月29日に小田の初レギュラー音楽番組(2004年10月~12月/TBS系)『風のようにうたが流れていた』としてオンエアされ、待っていたファンを喜ばせた。

12月3日、今年の『クリスマスの約束』の舞台に選ばれた横須賀芸術劇場に足を運んだ。3万通を超える応募、のべ10万人の中から選ばれた、ラッキーな1600人のワクワク感で充ちている会場は、すでに温かなムード。いつものようにステージ上にも客席を作り、後は小田とゲストの登場を待つばかり。

松崎ナオ、KANが初参加

小田和正
小田和正

そして客席の間を通り、大きな拍手に迎えられ小田が登場した。「マイホームタウンを突き抜けて横須賀にやってまいりました。2年ぶりの『クリスマスの約束』ということで、楽しくやっていきたいと思います!」と語り、収録がスタート。そしてJUJU、スキマスイッチ、根本要(スターダスト☆レビュー)、水野良樹(いきものがかり)、和田唱(TRICERATOPS)ら、おなじみのメンバーが次々とステージに登場する。熊木杏里、矢井田瞳は『風のように~』に続いての出演だ。5年ぶり3度目の登場となる清水翔太が現れると、客席からどよめきが起こった。そして初参加となるKAN、松崎ナオと、11組の豪華な顔ぶれが揃い、ステージ上が一気に華やかになる。誰がゲストなのかは収録当日まで明かされないため、客席はすでに興奮状態だ。オープニングナンバーは美しいストリングスが鳴り響く「きよしこの夜」。スタンドマイク1本を二人で使い、見事なハーモニーを聴かせてくれる。

松崎ナオ
松崎ナオ

小田がある番組で聴いて以来、ずっといい歌、声だなと思っていたという松崎ナオは、小田が「なんとなく縁がありまして…」と、実は彼女の父親と一緒に仕事をしていたことがあるという裏話を披露。そして母親の影響でオフコースが好きだという松崎は、小田のリクエストで「誇れるのはたゞ」を歌った。ひと声発した瞬間、聴き手をその世界に引き込む力を持つ彼女の歌声に、客席は聴き入っている。初参加が意外という感じさえするKANは、作詞する際のこだわりや小田のリクエストで「愛は勝つ」などを披露。笑わせ、歌で感動させ、短い時間ながら、しっかりと“ショウ”を作り上げるところはさすがだ。

小田、スキマスイッチ、根本要、水野良樹による“委員会バンド”が、新曲を披露。その場でタイトルを決定!?

「“クリ約”の箸休めと言われております」(根本)と登場した、おなじみの“委員会バンド”(小田、スキマスイッチ、根本、水野) は、チューリップの1973年の名曲「心の旅」をカバー。小田は、盟友・財津和夫が作ったこのスタンダードナンバーを「当時、チューリップのヒットをオフコースは横目で見ていた」と振り返りつつ、「でもこの曲が好きすぎて、自分と同化していて、自分の歌のような感じ」と、この曲への愛情をしみじみと語っていたのが印象的だった。委員会バンドは「小田が作ったメロディがきっかけとなって完成した」(水野)タイトル未定の新曲も披露。その場で作者の水野がいくつかの候補からタイトルを決めるという、なかなかお目にかかれないシーンに、客席のファンは前のめりになっていた。

小田と和田唱とのムービーメドレーに、客席も口笛とコーラスで参加

和田唱
和田唱

今回で3回目となる和田唱との「ムービーメドレー」は、誰もが一度は耳にしたことがあるおなじみの映画音楽の数々をつないでいく。小田と和田の声が重なると、抜群の肌触りの歌が生まれ、いつまでも聴いていたくなる。それはファンも同じだろう。そんな期待に応えてか?撮り直しになり、客席は大喜びだった。これも公開収録ならではだ。客席参加型のこのコーナー、今年は口笛の合奏で、和田と小田のセッションに参加した。JUJUは、矢井田、熊木と共にキャロル・キングのスタンダードナンバーをカバー。その圧巻の表現力の歌が胸に響く。

清水翔太と「この日のこと」

今回の“クリ約”は、清水翔太と小田のストーリーが、“想い”、大きな幹となって、温かな空気を作り出しているんだなと感じさせてくれたは、最後の歌「この日のこと」だった。小田が「今年はぜひ翔太を呼んで、この曲で締めくくりたいと思った」と、清水をステージのセンターに招き入れる。この曲は番組がスタートした2001年に制作されたテーマソングで、“神回”といわれている2009年の、伝説の“22分50秒”と呼ばれる錚々たるアーティストが持ち歌をメドレーで繋ぐコーナーのリード曲だった。当時デビュー2年目の清水も出演し「Home」を歌うと共に、この曲と向き合った。「右も左もわからない状況の中で、すごく光栄な分、一番若手の自分が失敗できないというすごいプレッシャーもあって。毎日、必死に練習している中で、すごく刺さる曲でした」と振り返っていた。

2人は2012年に「清水翔太feat.小田和正」名義で、シングル「君さえいれば」をリリースした。この番組のこと、小田のことをリスペクトし続けている清水が、今年8月に自身のSNSで「僕が歌うのはおこがましい美しい曲ですが、未発表曲という事もあり、皆さんに聴いてもらいたいと感じて歌いました。良かったら聴いてみてください。」というコメントと共に、「この日のこと」の弾き語りを公開した。その映像を見た小田が「“クリ約”は、この歌で始まったなということを改めて思い出した」と、まさに“この日”につながっている。

「また小田さんやメンバーに会えるように、という思いが自分の活動を支えていた」(清水)

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清水は「また小田さんに、あの時(09年)のメンバーに会えるように、そういう思いが今の自分の活動を支えている」と語り、あの時の経験、そしてこの歌を忘れることなく活動を続けていることを吐露し、さらに「今でも孤独な時や不安な時とか、すごく助けていただいている曲です」と、オールキャストで「この日のこと」を歌った。力強く、優しい歌声が会場を包み、感動が広がっていく。

以前にもこの番組について<小田と出演者たちの信頼や絆と、互いへのリスペクトが大きなテーマとして流れている。そして音楽への愛情。小田を始め、どんなにキャリアを重ねようと、音楽と常に真摯に向き合い、歌を心から愛するアーティストが集まる>と書いたが、今回はそんな番組の原点を、より感じさせてくれる内容になっている。クリスマスの夜、人と歌が紡ぐストーリーが、心を温めてくれる。

『クリスマスの約束』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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