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Qyoto アニメ『MIX』のEDテーマを歌う、関西発の6人組バンドに集まる注目

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
写真提供/アリオラジャパン
中園勇樹(Vo)
中園勇樹(Vo)
HIROKI(Vn)
HIROKI(Vn)
TSUCHIYA(Gt)
TSUCHIYA(Gt)
TAKUYA(Ba)
TAKUYA(Ba)
KENSUKE(Dr)
KENSUKE(Dr)
RYOTA.(Key,Sax)
RYOTA.(Key,Sax)

関西を中心に活動をする、注目の6人組バンド・Qyotoが4thシングル「君に伝えたストーリー」を7月31日に発売し、好調だ。同曲はあだち充原作の人気アニメ『MIX』(読売テレビ・日本テレビ系)のエンディングテーマに起用されている。『MIX』はあだちの代表作『タッチ』の舞台、明青学園の約30年後を描いた作品で、幅広いファンから支持されている。現役大学生バンドとしてデビュー以来、一貫して“青春”をテーマに掲げ、「等身大で背伸びしすぎないもの」(中園勇樹(Vo))を作り続けているQyotoの感性と『MIX』とが、どんな化学反応を起こすのか、楽しみだ。ボーカルの中園勇樹とバイオリンのHIROKIに「君に伝えたストーリー」に込めた思い、そしてQyotoの結成秘話、バンドが目指しているところまで、インタビューした。

「こんなに美しい声質のボーカルに、それまで出会ったことがなかった」(HIROKI)

――デビュー2周年になりますが、まずはメンバーの出会いから結成までを教えて下さい。

HIROKI 2016年に、僕が京都の中心地・四条河原町で、たまたまストリートライヴをやっている勇樹の歌を聴いたところから始まっています。彼の歌に“ひと聴き惚れ”して、一緒にバンドをやらないか?と声をかけました。歌が上手い人、声量がある人はたくさんいますが、こんなにきれいな声、生まれ持った美しい声質のボーカルに、それまで出会ったことがなかった。身内のことをこんなに褒めるのもなんですが…(笑)。

中園 僕が一番恥ずかしいです(笑)。声を掛けられて、最初は驚きましたが、すぐに意気投合して、その後、スタジオで知り合ったTSUCHIYA(G)を誘って、それからTAKUYA(B)、KENSUKE(Dr)、RYOTA.(Key,Sax)が合流して、Qyotoを結成しました。

HIROKI それで2017年8月に、シングル「太陽もひとりぼっち」でメジャーデビューしました。しつこいかもしれませんが、本当に勇樹の声質がいいなってずっと思っていて(笑)、深みもあるし、結構パワフルで、でもそれが最初の頃は、うまくレコーディングではまだまだ“乗ってない”感じが個人的にはしていて。それは普通に聴いている分には感じ取れない肌感覚のものかもしれませんが、3rdシングル「真冬のダイアリー」と、特に今回の「君に伝えたストーリー」では、本来の持ち味が、2次元から3次元になったような感覚で、より伝わってきます。

「この歌詞は絶対僕が書きたいと思った」(中園)

「手探りだった時期を越え、全員が納得できる、自信を持って演奏できた曲」(HIROKI)

――これまでも『DIVE!!』、『BORUTO-ボルト- NARUTO NEXT GENERATIONS』という、注目アニメのオープニングテーマを手がけてきましたが、今回はどんな思いで制作に取り組んだのでしょうか?

中園 歌詞はいつも僕とHIROKIが同じテーマで書くのですが、HIROKIの歌詞はどちらかというと論理的で、僕からは絶対出てこない言葉が多くて、だから二人の言葉をミックスすると、面白い歌詞になると思っています。でも今回の「君に伝えたストーリー」は、曲を聴いた瞬間に、歌詞は自分が書きたいと素直に思いました。僕も学生時代、野球ではないのですが、ずっとサッカーをやっていて、仲間と全国大会目指して頑張って、仲間との時間が、頑張れる力になっていました。そんなことを思い出しながら歌詞を書いて、自分の中で出したい感情を全部出しつつ、きちんと“伝える”ことができる歌が歌えたと思います。

HIROKI 僕は学生時代をスポーツに捧げて、仲間とキラキラした青春を過ごしてきたタイプではないので、今回はずっとスポーツをやっていた勇樹の歌詞が、この曲を通して伝えたいことが伝わりやすいと思いました。彼の歌詞のいいところは、真剣にスポーツに打ち込んでいたからこそ、スポーツをやっている人の、スポーツ以外の日常みたいな部分の説得力があるところだと思う。スポーツをやっている人だからこその視点なんだなって。「タッチ」と「MIX」も、いわゆるスポ根ものではなくて、もっと学生生活や恋愛要素にスポットを当てた、青春学生マンガだと思います。それこそ、僕らが追求しているテーマだし、勇樹の歌詞の方がリアリティがあるなって。今までアニメのオープニングテーマを作るときは、疾走感を意識しながら作っていました。でも今回はエンディングテーマなので、疾走感ももちろん出したかったのですが、どこかグッとくるようなメロディ、サウンドを作りたいなと思いました。今までの曲の中では、一番テンポが遅いのですが、その中でも疾走感を出すことを意識しました。番組の最後にこの曲を聴いて、ストーリーを思い出してもらいたいので、“エモいもの”を作ろうと、みんなで話しました。今までは、Qyoto6人の個性がいい意味でバラバラで、それはそれでよかったのですが、この曲でひとつにまとまれたという感覚が強いです。3枚目までは、余裕がなかったこともあって、手探りだったのかもしれません。でも今回は全員が自信を持って演奏できて、より納得できた一作です。MVの撮影の時も、今までで一番全員がグッと集中する空気、瞬間があったし、それが自信ということなのかなと思いました。

中園 それは僕も歌っている時に背中で、みんなからの気持ちを感じることができました。

「6人それぞれの音楽性が強みであり面白さ」(HIROKI)

――6人それぞれの音楽性が、今までの作品の中に見え隠れしていて、それがQyotoの音楽性の振り幅の広さにつながっているのでしょうか?結果的にポップネスがしっかりと息づいた音楽になるのですが、ライヴではそれぞれの個性がひとつになって、バンドアンサンブルに昇華されて、エネルギーになっています。

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HIROKI 尾崎豊、ビートルズ、クラシック、マイケル・ジャクソン、ハードロック、ボカロetc…本当に影響を受けたきた音楽がバラバラすぎて、得意なジャンルも違うし、できる曲の幅もそれぞれで、最初は大変でした。でもそれをこれまで少しずつ曲に反映させたり、ライヴで強く見せたり、今ではそれがこのバンドの強みであり、面白みだと思っています。ギターとバイオリンのユニゾンも他にはない音だと思います。

――カップリング曲の「君に恋を、心に夏を」は、イントロから和をイメージさせる曲ですが、歌詞はやはり青春の甘酸っぱさが全開になっています。

HIROKI これは「京都恋検定」(京都が舞台のリアリティショー)の主題歌に選んでいただいて、バンド名にもなっている、京都っぽい曲を、僕らも作りたいねという話になって。それで僕が最初に書いた歌詞は京都の地名を入れたり、京都に寄せすぎってみんなに言われて(笑)。それで勇樹が書いた歌詞になりました。

中園 この曲に限らず、等身大で背伸びしすぎないものを作りたいという気持ちがいつもあるので、夏の京都を舞台にした、恋愛シーンを描きました。

「タッチ」のカバーにも挑戦。「オリジナルから逸れすぎると『タッチ』じゃなくなるので、Qyotoのサウンドで『タッチ』を弾くという感覚」

――国民的アニメソング、「タッチ」のカバーにも挑戦しています。

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中園 まさか「タッチ」のカバーを歌うと思っていなかったので、でも気負いすぎても仕方ないので、自分なりに歌えたらいいかなという気持ちで臨みました。Qyotoらしさが出るカバーになればいいなと思いました。

HIROKI あまりオリジナルから逸れすぎたら「タッチ」じゃなくなるというか、「タッチ」はやっぱり「タッチ」であるべきだと思うので、Qyotoのサウンドで「タッチ」を弾く、そういうイメージでした。サビは結構ギターのリフが濃い感じで入ったり、2番はハードロックが入っていて、ストリングス、シンセで厚みを出したり、今まで僕らがやってきた音楽が全て出ていると思うし、6人各々の個性が一番出ている曲なのかもしれません。

――手応えのある一作を作ることができて、これからの活動にもさらに力が入りますね。

4thシングル「君に伝えたストーリー」(7月31日発売/通常盤)
4thシングル「君に伝えたストーリー」(7月31日発売/通常盤)

中園 8月23日で2周年、3年目に入る僕たちの姿を、「君に伝えたストーリー」を中心に、このシングルで見せていきたい。8月24日にファンミーティング(大阪)、9月8日にはワンマンライヴ(『Qyoto road to Qingdom "君に伝えたストーリー"』/OSAKA MUSE)もあるので、まずはそこに向かって集中していきたい。

HIROKI 一生勉強、一生成長、そういう世界だと思っているので、とにかく前に進んでいきたいです。

Qyoto オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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