槇原敬之×本間昭光がタッグ 『チコちゃんに叱られる!』のキョエのデビュー曲が“名曲”と話題
『チコちゃんに叱られる!』の人気キャラ・キョエがCDデビュー。デビュー曲「大好きって意味だよ」が泣けると話題
子供にはもちろん、大人にも大人気のNHK総合のバラエティ番組、『チコちゃんに叱られる!』で、毎回最後に、視聴者からの番組宛の手紙を、MC岡村隆史に届ける黒いカラス・キョエ。そのキョエが5月22日に「大好きって意味だよ」で、CDデビューするというニュースが先日流れたが、すでに『みんなのうた』(4月~5月)で流れており、4月2日から配信もスタートしている。SNS上には、この曲を聴いたリスナーからの「名曲かよ」「鳥なのに歌が上手い」、「歌詞が沁みて朝から涙が出そうだよ…マッキーはほんと天才」、「うるっときてしまった」など絶賛の声が飛び交っている。作詞・作曲は槇原敬之、編曲は本間昭光という、まさに正統派J-POPの名曲ともいうべきこの作品の、アナザーストーリーに迫ってみた。
槇原敬之×本間昭光という、ポップスターとポップス職人が、意外にも初タッグ
「大好きって意味だよ」は、これまでに数多くの名曲を生み出した『みんなのうた』から生まれた、新たな名曲といってもいい。人気者の黒いカラス・キョエの歌のうまさも特筆すべきことだが、槇原敬之×本間昭光というポップスターとポップス職人が久々にタッグを組み生まれた、色褪せない名曲になっていく力がある一曲だ。
「キョエにカラスの視点から、『今こそ、全ての日本国民に向けて』、歌を披露してもらうことになりました」という番組制作サイドからのオファーを受け、槇原は「大好きなキョエちゃんから「みんなのうた」で歌う曲の依頼をもらって、とても光栄でした! いつもキョエちゃんが『バカ―!』と鳴く時の気持ちは、何かと不器用な人間たちに向けた、不思議な親愛の気持ちなのかも?と感じていました。。なので、いつも物干し竿の上にいて、高いところからそんな人間たちを見ている様子を、いろいろ想像して作ってみました。本間昭光さんの素敵なアレンジにキョエちゃんのユニークな声が乗ったことで、コミカルな中にも温かさを感じる作品に仕上がって、とても満足しています!」と、『チコちゃんに叱られる!』を毎回欠かさず観ているほどの、同番組の大ファンである槇原はオファーを快諾した。
槇原と本間は、お互いが20代の頃、槇原のバックバンドのキーボード、バンドマスターを本間が務めていた、まさに盟友といえる関係だ。槇原の大ヒット曲「もう恋なんてしない」(1992年)は、当時、失恋して落ち込んでいた本間のために書いた曲というのは有名な話だ。しかしその後は、お互いが同じ音楽業界で活躍しながらも、なかなか一緒に仕事をする機会がなかった。
しかし昨年、本間が18年ぶりの槇原のライヴを観に行ったことから、再び二人の時計が動き出した。その日のことをTwitterで本間は「18年以上ぶりのフルコンサート鑑賞。140字では表せないほどの感情が溢れました。 とにかくハッピーな時間。 一緒に過ごした時間がフラッシュバックして、自然に指が動いて、幸せな涙が流れました」とツイート。槇原も「昨日久しぶりにほんまちゃんが来てくれました!時間が止まったんじゃね?っちゅーくらい変わってへんなぁ。」とツイートし、お互いが再会を喜んだ。
「若い時に一緒に時間を過ごし、お互いがキャリア重ね、走り続けているからこそ、充実したセッションになった」(本間)
実は、槇原敬之名義の作品を本間がアレンジを手がけるのは、今回が初めてだ。これまで、別名義でのタッグはあったが、本人名義の楽曲で初めてがっぷり組むということで、本間は「時が来た」と感慨深さと共に「気合が入った」という。
「『アレンジは本間ちゃんに任せる』と言ってもらえ、すごくいい!と気に入ってくれました。彼も僕も主義として、イントロ重視という部分があって、イントロが鳴った瞬間にその曲だとわからなければいけない。そうやって作ったアレンジがマッキー(槇原)にも刺さったみたいで、「イントロええわ~」って言ってくれました。20代~30代のころに一緒にやっていて、そこから20年経って、その間にお互いに成長していて、当時作っていた曲とは詞の深みも違うし、アレンジも違います。若い時に一緒に時間を過ごし、お互いにキャリアを積んだ僕らでなければ、築けない独特の関係性があると思います。お互いが歴史を重ねてきて、今がある。お互いが前を向いて、最前線を突っ走っているという自負もあるし、だからこそいい作業、セッションができたと思う。そういう“余裕”をこの曲には感じるし、まさに名曲だと思う。昔からのマッキーのファンにも、新しいファンも喜んでもらえる、全員がハッピーになれるセッションだったと思う」と本間は語ってくれた。
「『みんなのうた』ではあるけど、“二人の歌”と思い、アレンジした。それが結果的に『みんなのうた』として広がってくれれば嬉しい」(本間)
さらに、「槇原敬之作品のアレンジなんて、なかなかできるものではないです。だから自然とギアが入りました。自分の中で勝手にストーリー性を感じている。個人的なことを言わせてもらえれば、槇原敬之と僕のストーリーの完結編だと思っている。「みんなのうた」ではあるけど、申し訳ないですけど“二人の歌”と思って、アレンジしました。そんな思いも一方ではあります。それが結果的に「みんなのうた」として広がっていってくれれば嬉しい」と、「みんなのうた」ではあるが、二人にとっても“特別な歌”であるということを教えてくれた。
カラスのキョエの愛のある歌、優しいメロディと、誰の心にも響く言葉、それに寄り添いつつも、聴き手の心のど真ん中に届けてくれるアレンジ。『大好きって意味だよ』は「令和」を代表する一曲になりそうだ。