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注目グループ、劇団番町ボーイズ☆と10神ACTORがコラボする“イケメンスイーツバトル”とは?

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
左から坂田隆一郎(10神ACTOR)、糸川耀士郎(番町ボーイズ☆)

注目の個性派演劇集団番町ボーイズ☆と、福岡を中心に、九州で絶大な人気を誇る10神ACTORがコラボ

ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)の新人発掘・育成セクション、SDグループが、2015年からプライオリティとして取り組んでいるのが、全国各地での劇団の育成と、その活動を通じてのタレント・俳優の育成だ。現在は北海道の「NORD(ノール)」、宮城の「ぜんりょくボーイズ」、東京の「劇団番町ボーイズ☆」、愛知の「劇団ヘラクレスの掟」、そして福岡の「10神ACTOR(テンジンアクター)」が、地域密着型の多岐に渡った活動で、ファンを増やしている。

パティシエ役のイケメンが対決し、観客も実際に食べて投票する“イケメンスイーツバトル”第3弾

写真提供/ソニー・ミュージックエンタテインメント
写真提供/ソニー・ミュージックエンタテインメント

そんな中で、東西の人気グループ「劇団番町ボーイズ☆(以下番ボ)」と「10神 ACTOR」(以下10神)が、舞台「スイーツボーイズ3rd『甘くはないぜ!3』」でコラボレーション。東京公演(2月2日(土)~10日(日)/中目黒キンケロシアター)を皮切りに、大阪(2月16日(土)・17日(日)/梅田HEP HALL)、福岡(2月21日(木)~24日(日)/福岡パピヨン24ガスホール)で行われる。『甘くはないぜ』は鈴木おさむ主宰の“イケメンスイーツバトル”という、パティシエ役のイケメンが対決し、観客も実食しながら投票できるという舞台だ。2016年12月に番ボが第5回本公演として、「スイーツボーイズ1st 『甘くはないぜ!』」を上演し、好評だったことを受け、シリーズ化。今回が第3弾となる。公演の軸となるスイーツは、1stではカップケーキ、2ndではドーナツ、そして今回はチョコレートがテーマになっている。今回座長を務める、天見餡之丞役の番ボ・糸川耀士郎と、10神を代表して甘草天使郎役の坂田隆一郎に、舞台について、それぞれのグループの活動についてインタビューした。

番ボと10神は、これまでも何度かコラボレーションしているが、今回のようにしっかりとタッグを組んでの公演は初めてだ。東京と福岡、場所は違えど、それぞれが地域密着スタイルで活動しながらも全国制覇を狙っている、ライバル的な存在でもある。それぞれのグループの印象を聞いてみた。

「演技に対して熱い想いを持っている人が揃っている番ボは、僕達に舞台を好きになるキッカケや、刺激を与えてくれた」(坂田)

「いい意味で2組がバチバチやり合うことで、相乗効果が生まれる」(糸川)

糸川耀士郎(番町ボーイズ☆)
糸川耀士郎(番町ボーイズ☆)

坂田 番ボとは、何回か一緒に舞台で共演したことがあって、『クローズZERO』(2017年)の時は、10神から3人だけの出演だったので、今回のようにがっつりコラボするというのは初めてなので、負けたくないという気持ちをもって臨んでいます。番ボのメンバーは、演技に対してめちゃくちゃ熱い人たちばかりで、熱心に教えてくれて、学ぶべきところがたくさんあります。舞台を好きになるキッカケや、刺激を与えてくれた人たちです。

糸川 10神はチームワークがすごくいい印象があって。福岡で色々な活動をしていて、九州ですごく勢いがあるグループなので、今回、僕は初めましてのメンバーが多いですけど、いい意味で番ボと10神で、バチバチして相乗効果が生まれるのではと思って、ワクワクしながら稽古に臨みました。

坂田 今回の『甘くはないぜ!』はシリーズ3作目なので、ここから出演することになって、ちょっと遅れている感というか、プレッシャーは少しありました。1、2は映像でしか観ていなくて、でも生で観ていたら観ていたで、逆に怖くなったかもしれません。

糸川 1も2も色々なキャラクターがいて、今回10神が参加するということで、1と2で同じキャストだけど役が全然違う人もいて、本人は楽しんでやると思いましたが、お客さんは混乱しないかなという心配はありました。でも新しいキャラクターも増え、10神のメンバーもキャラが濃い人が多くて、稽古中もどんどんぶつかってきてくれるので、そういう意味で面白いキャラクターが生まれていて、もう稽古から楽しんでいます(笑)。

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『甘くはないぜ!3』あらすじ――幕末、老舗の菓子屋の支店で修業中の菓子職人たちの間では、長崎の出島で、オランダ人がもたらしたという「しょくらあと」なるお菓子の話題でもちきりだった。ひと口食べれば、とろけるように甘く、夢見るような気分になり、とくに女子に人気が高いという。その製法をある菓子職人が開発したらしい。もし、そんな菓子の製法を知ることができれば、きっと自分の店を持つこともできるだろう。そんな時、ひょんなきっかけで、その時代にタイムスリップしてしまったショコラティエの青年。秘伝ともいうべきチョコレートの製法をめぐって、命すら狙われることに。折しもその頃、福岡の町にも旧幕府軍の残党を掃討しようと新政府軍が近づきつつあった。彼らを懐柔するために、茶の席を設けようとする幕府軍。両陣営はそこに出すべき最高の菓子「しょくらあと」を作れる職人を求め、最強のチョコレート職人を決する試合の開催を布告。激動の時代の渦に呑み込まれつつ、主人公は最高のチョコを作り上げ、元の時代に戻ることができるのか――>

脚本/演出を手がけるのは、ドラマ、アニメ、舞台、多方面で活躍している、ますもとたくや。ますもとから出演者にはどんな言葉があったのだろうか

坂田隆一郎(10神ACTOR)
坂田隆一郎(10神ACTOR)

坂田  面白かったのが、初めて全員で稽古をする日、メンバーでますもとさんが来るのを待っていて、ますもとさんが来たと思ったらいきなり「じゃあ稽古始めましょう」って(笑)。顔と名前が一致していない人いるけど、稽古しようという感じが面白くて。休憩中に顔合わせをするという(笑)。

糸川 だから「俺らこうなるんじゃない?」って予想しながら稽古を始めました。個人的にはそれが違ったら違ったでまた面白いなって(笑)。

坂田 僕は最初、役の甘草天使郎のビジュアルを見たときに、キャラがわからなくて、ますもとさんに「この人はどんなキャラなんですか?」って聞くと、例えていうと『Gacktさんみたいな、寡黙で変なこと言う人』としか言われなかったんです(笑)。なんとなくわかったようでわからないような感じでしたが、稽古を重ねてきて、今、全くGacktさんじゃないですけどね(笑)。

糸川 僕も変な人でお願いって言われました(笑)。

坂田  な人しかおらん(笑)

糸川 そうなんですよ、でも言われたことはそれくらいで、これから探っていかないといけません。クライマックスもどういう話になるかわからないし(※取材時は脚本がまだ未完成)、この濃すぎるメンバーの中で、どういう役割を演じるべきか、稽古しながら探っています(笑)。ますもとさんは小ボケをふんだんに入れてくるので、一シーンにひとつは絶対笑いが入っているし、シュールな、気づく人は気づくという笑いもあって(笑)。

坂田 ここ?っていうところで、度々小ボケが入ってくるので、話が入ってこなくて(笑)、稽古ではパニックになっています(笑)。

各地でそれぞれお笑い芸人がゲスト出演。「シュールな笑いは、ストーリーを理解してもらえるとさらに面白い」

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各公演、お笑い芸人がゲスト出演する。東京公演はウラシマンタロウ、大阪公演は2丁拳銃・川谷修士、そして福岡公演はバッドボーイズ・佐田正樹と、キャラの濃い3人との共演で、どんな笑いの化学反応を起こすのかも見どころだ。

糸川 東京、大阪、福岡公演で同じ役を違うキャストさんが演じるんですけど、三者三様というか、本当に同じキャラクター?っていうくらい、それぞれみなさんの強烈な個性が出ていて、本当に面白いです。

坂田 シュールな笑いなので、お客さんが観て、稽古場とどれだけギャップがあるかが楽しみです(笑)。稽古場は爆笑しています(笑)。お客さんは女性が多いと思うので、笑ってくれると思うのですが……。もちろんわかりやすい笑いもたくさんあるし、それとは別で『それボケてたんや?』っていう、シュールなところも含めて、笑いがたくさんつまっていて、ストーリーを理解してもらえると、より笑えるというところもあります。

糸川 話的にはこれだけ色々なキャストがいて、最初バラバラでうるさい感じがするかもしれませんが、どんどんピースがハマっていくので面白いと思います。笑いはもちろんですが、ストーリーの部分にも注目してほしいです。

番ボは舞台を中心に活動をし、メンバーそれぞれが多方面で活躍している。5、6月に「舞台『クローズZERO』」の再演も決定しており、東京、大阪、福岡で上演される。10神も福岡で歌、ダンス、芝居、バラエティと全方位で活動している。坂田と山田健登のユニット・サカタケントなど、派生ユニットも多く、九州地区では圧倒的な知名度を誇っている。両グループとも、この舞台を皮切りにさらに飛躍する年になりそうだ。

「番ボとしてはこれから、テーマ性の強い舞台、シリアスな話をこのメンバーでどこまでできるのか挑戦してみたい」(糸川)

「10神は、今回の舞台で得たパワーをそれぞれがグループに還元させ、さらにマルチな活動にチャレンジしていきたい」(坂田)

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糸川 番ボは、みんなどこ向いているんだ、みたいな、バラバラで一列にならない感じです(笑)。そこが面白いと思います。僕も、引っ張っていきたいという感じではないけど、でも先頭は歩きたいという感じです(笑)。これまでメンバーが卒業していったり、色々変わっていく中で、自分も最初は右も左もわからない状態でこのグループに入りましたが、今となっては引っ張っていかないといけない、後輩も入ってきて教える立場になったので、一層頑張っていかなければいけないと思っています。

坂田  番ボは、みんな「俺だ!」っていう感じが伝わってくる(笑)。

糸川 負けず嫌いな人が多いかもしれないですね。

坂田 10神も「俺がやる!」って感じはないですけど、みんな心に秘めています(笑)。全員負けず嫌いだと思いますが、燃えているけどそれをあまり表に出さなくて、裏で頑張って、また前に出るという感じです。

糸川 これまで、色々なコメディをやらせてもらったりしていますが、今年は重いテーマというか、シリアスな話をどこまで番ボのメンバーでできるのか、チャレンジしてみたいですね。それこそ紀伊国屋ホールとかでやるような、テーマ性の強い舞台をやってみたいです。

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坂田 10神は去年、ライヴ、テレビ、舞台、ラジオに出演したり曲を作ったり、マルチに動いていたので今年はもっとそれを膨らませたいです。コントとか漫才もやっていて、この間の九州ツアーでは、メンバーでコントの台本を書いて、自分たちで作って自分たちで演じるというのが楽しくなってきています。音楽も自分たちで作って歌って聴かせることをもっとやっていきたい。それが僕達のよさだと思うし、ライヴでも歌うだけではなく、芝居も笑いも入れたマルチなライヴ、マルチな舞台をどんどん作っていきたいです。10人の個性が本当にバラバラで、絵が得意な人もいれば空手、ダンス、芝居が得意な人も、ラップができる、ボイパができるとか、色々なメンバーがいるからこそ、面白いことができます。今回『甘くはないぜ!3』には10神から5人出演します。それぞれが力を発揮して、また10神に帰った時に、今回得たパワーをグループに還元したいです。

最後に、今回座長として、20人に上る出演者をまとめる糸川に、舞台に臨む意気込みを聞かせてもらった。

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糸川 プレッシャーはあまりなくて、自分がどこまで座長として引っ張れるのか、ワクワクしている部分もあります。芝居あり、ダンスも歌もある、ボリュームがある内容で、チョコレートも食べられますし(笑)、観てくださる方には満足していただける自信はあります。まだ稽古中ですが、10神のメンバーとこの舞台を作ることができて、心からよかったと思います。

「スイーツボーイズ3rd『甘くはないぜ!3』」特設サイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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