Yahoo!ニュース

乃木坂46の7年間をアートワークで総括する『だいたいぜんぶ展』 アイドルのクリエイティヴの裏側を公開

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
左から堀未央奈、斎藤飛鳥、与田祐希((C)乃木坂46LLC)

ソニーミュージックグループは、総合エンタテインメントカンパニーとして多角的にビジネス展開をしているが、そんな中で近年力を入れているのが、展示会などの「エキシビションビジネス」だ。2016年にはハードロックバンドKISSをテーマにした「KISS EXPO TOKYO 2016~地獄の博覧会~」(ラフォーレミュージアム原宿)を、2017年にはデヴィッド・ボウイの回顧展『DAVID BOWIE is』(天王洲・寺田倉庫)を開催。多くのファンが駆け付け、グッズの売上げも好調だった。

中でも2016年4月に東京・六本木にオープンした「スヌーピーミュージアム」は、アメリカの本家以外では初となるミュージアムの開設ということで、注目を集めた。50年を超える連載の中から選ばれた原画などを展示し、カフェやミュージアムショップも併設。老若男女、多くのファンが集まった。しかし2018年9月で予定していた会期を終え、2019年秋に東京・町田市の南町田グランベリーパークに移転することが、決まった。

ソニーミュージック六本木ミュージアム
ソニーミュージック六本木ミュージアム

その跡地に、期間限定でオープンしたのが「ソニーミュージック六本木ミュージアム」だ。オープニング企画第一弾として、『乃木坂46 Artworks だいたいぜんぶ展』が、1月11日からスタートした。乃木坂46は、年末の「第60回輝く!日本レコード大賞」を連覇、紅白歌合戦にも出場し、今最も注目を集めているアイドルグループだ。

「これほどクリエイターたちに愛されているグループもいない、ということがわかる場所」

画像

今年でデビュー7周年を迎える乃木坂46。活動を重ねる中で様々な作品を発表してきたが、CD、ジャケット、ミュージックビデオ、そして衣装にいたるまで、そのアートワークには一流のクリエイター達の英知が注ぎこまれ、ひとつひとつ徹底的にこだわってきた。その7年間をアートワークで総括するのが、この企画展だ。企画者の代表・本信光理氏(「MdN」編集長)は、「乃木坂46はいま最も多くの人に愛されているアイドルグループのひとつですが、これほどクリエイターたちに愛されているグループもない。それは、彼女たちのミュージックビデオが、CDジャケットが、歌唱時やTV出演時の衣装が驚くほど素晴らしいことが、何よりも雄弁に物語っています。そんな愛に満ちた乃木坂46のクリエイティブの素晴らしさを伝える展覧会です」と語っている。

画像

膨大なアートワークが眠る、まさに「秘密の倉庫」という雰囲気の場内は、ジャケット写真やそのアザーカット、ミュージックビデオで使用された絵コンテや台本、実際にメンバーが着用した衣装、アイディアスケッチを含む未公開のアートワークや資料など、9万点以上を会場に集め、その中から選りすぐりのものが展示されている。未採用になった様々なアイディアなども、余すことなく観せてくれている。

画像
画像

それらを、整理、収納された段ボールや衣装ラックから、のぞき見するような実験的な展示方法だ。特に、これまでメンバーが様々なシーンで使用した衣装の展示は圧巻だ。巨大なディスプレイラックには、楽曲で着用した衣装から、ライヴや音楽番組などで使用したレアな衣装まで、約270点を一挙に展示しており、一部は素材やデザインのディテールまで見る事ができる。

ただの展示会ではなく、全てにおいて制作の裏側を伝える資料を見せることで「アイドルをどう見せていくべきか」という、クリエイティブサイドの考え方、「アイドルの視覚表現論」を徹底的にあぶり出し、わかりやすく伝えてくれる場でもある。そういう意味で、乃木坂46のコアファンのみならず、多くの人が楽しめる空間となっている。

「何を観ても「すげー」しか出てこなかった」(斎藤)

「先輩たちが作り上げたものを感じ取って、今後に生かし、乃木坂の歴史に名を刻めるようにがんばりたい」(堀)

「加入前、テレビで観ていた時の衣装を発見して、感慨深かった」(与田)

斎藤飛鳥((C)乃木坂46LLC)
斎藤飛鳥((C)乃木坂46LLC)
堀未央奈((C)乃木坂46LLC)
堀未央奈((C)乃木坂46LLC)

この展示会をひと足先に観たメンバーの齋藤飛鳥は「『だいたいぜんぶ展示』という名前だけど、とにかく細かいこだわりがたくさんで、まったく時間が足りなかったです。何を観ても『すげー』しか出てこなかった。誰が観ても満足できると思います」と、興奮した様子で語ってくれた。2期生の堀未央奈は「私たち2期生も先輩たちが作り上げてきたものを感じ取って、今後の活動に生かしたいと思いました。4期生やこれから入ってくるメンバーにも、この展示会を見て、乃木坂ってこういうふうに作られたんだなと感じてもらいたい。私も乃木坂の歴史に名を刻めるようにがんばりたい」と改めて気合が入った様子だった。

与田祐希((C)乃木坂46LLC)
与田祐希((C)乃木坂46LLC)

衣装コーナーが特にお気に入りという与田祐希は「どこかで見たことがある衣装だなと思ったら、加入前にテレビで観た(2015年「FNS歌謡祭」(フジテレビ系)で「今、話したい誰かがいる」を歌った際に着ていた)衣装があって。まさか今ここに自分がいるとは思わずに観ていたのですが「今、~」はすごく好きな曲だったので、テレビで観た映像が、ワーッと蘇ってきました」と昔を思い出しながら、語っていた。

誰もがワクワクできる刺激的な“場所”

(C)乃木坂46LLC
(C)乃木坂46LLC

ライヴ映像の上映も見逃せない。(株)ソニーが開発した超高精細映像システム「Crystal LED ディスプレイ」を用いた、迫力と臨場感が楽しめる8Kのライブ映像は必見だ。さらにこの展示会のためにこだわって作られた、オリジナルグッズが充実しているの販売コーナーや、楽曲やメンバーにちなんだフード、デザート、ドリンクが楽しめるカフェ「坂CAFE」も併設している。

乃木坂46の世界を存分に堪能できる、マニア心をくすぐる展示会である一方、国民的アイドルの、ビジュアル面のクリエイティブの全貌を、のぞき見することができ、誰もがワクワクできる刺激的な“場所”だ。

開催は5月12日(日)まで。

『乃木坂46 Artworks だいたいぜんぶ展』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

田中久勝の最近の記事