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加山雄三、谷村新司、新妻聖子、サラ・オレインが、4人のアレンジャーと冬の名曲を一夜限りのセッション 

田中久勝音楽&エンタメアナリスト
加山雄三、新妻聖子、サラ・オレイン、谷村新司(写真提供/BS-TBS)

“時を超えた、ここでしか聴くことのできないサウンド”がコンセプトの音楽番組『Sound Inn “S”』(BS-TBS)は、毎回一人のアーティストが3人のアレンジャーと、この日限りのアレンジで仕上げた楽曲を、凄腕ミュージシャンが揃ったバンドと共にセッションを繰り広げる、徹底的に“リアル”にこだわる音楽番組だ。その12月放送分は、毎年恒例のクリスマススペシャルとして放送時間が1時間に拡大される。今年は、12月22日に加山雄三、谷村新司、新妻聖子、サラ・オレインの4組のアーティストが、4人のアレンジャーが手がけた冬の名曲の数々を披露する。

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オープニングナンバーはクリスマスシーズンには欠かせない「Let it Snow!Let it Snow!」Let it Snow!」だ。アレンジは斎藤ネコ。新妻聖子とサラ・オレインのデュエットから、そこに加山雄三と谷村新司がフレームインしてきて、豪華な顔ぶれが揃い、華やかなショウの幕開けだ。

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加山の「Stardust」は、笹路正徳の手によるアレンジ。ストリングスの音がムーディで、甘美なホーンも絡むゴージャスなアレンジ。加山の、81歳とは思えない瑞々しい歌が印象的だ。

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谷村新司「昂」は、オリジナルアレンジを手がけた服部克久が、16年ぶりに新アレンジし、タクトを振る。原曲は服部に「ギター一本で作った曲だけど、ホルンを入れて欲しいとリクエストした」という秘話を披露。はつらつと、そしてより情感豊かに歌う谷村の歌が胸に響く。

加山の代表曲のひとつ「旅人よ」は谷村とのデュエットで披露し、ベテラン同士のハモリが新鮮だ。アレンジは加山の慶応義塾大学の後輩の笹路。笹路は「加山さんの音楽に育てられ、この仕事に就いた」と告白し、そのアレンジは「愛情あふれるアレンジ」と谷村が絶賛。加山も「私が一番望むリズムでアレンジを作ってくれた。ギター一本で作った曲なのに、こんな豪華なバンドで歌うことはない」と、加山も絶賛していた。「これだけ弦があるのに、2番まで出てこないという贅沢な使い方で、今までこんなアレンジしたことがなかった」と、笹路もこの曲のアレンジに賭けた思いを吐露していた。

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加山と谷村のトークコーナーでは、それぞれの憧れのアーティストとルーツミュージックについて語ってくれた。加山の憧れのアイドル、アーティストはエルビス・プレスリーで、彼の音楽のとりこになり、本人に会ったことがあるという貴重な話を披露。そして「Blue Christmas」(1957年)の一節をピアノで披露してくれた。ルーツミュージックについては、「友達と音楽を始めようと思ったのは、カントリーミュージック。同じくらい好きだったのはペリー・コモ。「日本で、僕の船で一緒に釣りをした」という、またまた驚きのエピソードを紹介してくれ、ペリー・コモのヒット曲「For The Good Times」(1973年)の一節を披露した。

谷村の憧れのアーティストは、アメリカのフォークグループ、ピーター、ポール&マリー(PPM)だった。しかし「PPMをコピーしている時、サイモン&ガーファンクルが登場してきて、彼らはフォークグループだと思っていたら、こんな壮大な曲を書くんだとびっくりしたのが「明日に架ける橋」です。一生のうちに一曲、こんな曲が書けたらと思った」というエピソードを紹介し、同曲の一節を披露した。さらにルーツミュージックは、加山だと告白。「加山さんの映画を観て、加山さんの音楽を聴いて育った。加山さんは日本最初のシンガー・ソングライターだと思っている。加山さんが映画の中で在籍している大学を受験しようと思ったら、実在していなかった(笑)」と思い出話を紹介してくれた。そして「君といつまでも」をデュエットするという、この番組ならではの貴重なパフォーマンスを観ることができた。憧れの人との共演に谷村は「完全に素でした(笑)」。

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続いて谷村は新妻聖子、サラ・オレインと共に「Dream」(1944年)を披露。加山はムーディーな雰囲気のアレンジで「And I Love You So」(1973年)を、新妻聖子、サラ・オレインと共演。このパフォーマンスの直前、前室で新妻とサラは声を合わせ、練習に余念がなかった。新妻聖子は坂本昌之の優美なアレンジで、「The Way We Were(追憶)」(1973年)を披露。そののびやかな声でドラマティックに歌いあげる。坂本のアレンジでサラ・オレインが歌うフランシス・レイ作曲の「白い恋人たち」(1968年)は、圧倒的な表現力で引きつけられた。「最近お亡くなりになられた作曲家フランシス・レイへのオマージュを込めて、フランス語で歌わせて頂きました」(サラ・オレイン)。

ラストはオールキャストで服部克久のアレンジで「White Christmas」。一気にクリスマスムードに。最後は、今年亡くなった、この番組でもおなじみだった作曲家・アレンジャー前田憲男さんを偲んでのメモリアルセッションで、「The Good Life&Good Bye」を演奏。

クリスマスの時期に心を温めてくれる名曲の数々を堪能できる『Sound Inn “S”』は、12月22日19時から、BS-TBSでオンエアされる。

BS-TBS『Sound Inn“S”』オフィシャルサイト

音楽&エンタメアナリスト

オリコン入社後、音楽業界誌編集、雑誌『ORICON STYLE』(オリスタ)、WEBサイト『ORICON STYLE』編集長を歴任し、音楽&エンタテインメントシーンの最前線に立つこと20余年。音楽業界、エンタメ業界の豊富な人脈を駆使して情報収集し、アーティスト、タレントの魅力や、シーンのヒット分析記事も多数執筆。現在は音楽&エンタメエディター/ライターとして多方面で執筆中。

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