“生”の凄み――舞台『クローズZERO』でみせた、注目の劇団番町ボーイズ☆の進化と、大いなる可能性

注目男性演劇集団・番長ボーイズ☆が『クローズZERO』を初舞台化

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今、人気急上昇中の注目男性演劇集団「劇団番町ボーイズ☆」(以下番ボ)の第10回本公演、舞台『クローズZERO』が11月30日~12月3日まで東京・渋谷CBGKシブゲキ!!で行われ、チケットは全公演即完となり、追加公演を含む全5公演を完走した。凄まじいスピードで成長を遂げてきている彼らにとって、このビッグタイトルの公演を成功させた事で、さらに前進できた事をメンバー自身も、またファンも実感できたのではないだろうか。

高橋ヒロシの人気漫画を原作に、その1年前のエピソードをオリジナルストーリーで描いた映画「クローズZERO」(2007年)を初舞台化。鈴蘭男子高校を舞台に、つっぱった男たちの意地と意地のぶつかり合いが引き起こす激闘、そして友情を描いたストーリーで、映画は原作の人気、小栗旬や、山田孝之など注目俳優陣が出演していた事もあり、観客動員数190万人、興行収入25億円という大ヒットになり、当然番ボメンバーの多くが映画を観、印象に残っていると話していた。

メンバー全員の表情、体から怒りと熱とが迸っていて、舞台全体に情熱が充満

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その受けたインパクトに引っ張られる事なく、どこまでオリジナルの舞台『クローズZERO』を作り出す事ができるのかがカギだったが、やはり映画にはない、“生”の臨場感が全てを凌駕していた。主役の滝谷源治を演じる松本大志は「強烈なキャラクターで、立っているだけで存在感を感じさせなければいけないのでそこが難しいです。自分とは正反対のタイプの人間をどう演じ、内面からどうやってその雰囲気を出せるか、難しいですがやりがいがあります」と公演前、インタビューで語ってくれたが、松本を含め、出演者全員の、内に秘めた凶暴性を至近距離で感じる事ができるのは、舞台ならではだ。途中ケンカに向かうシーンでは、客席を走り抜けていく演出があったが、メンバー全員の表情、体から怒りと熱とが迸っていて、舞台全体に充満する情熱が喧嘩、アクションシーンで爆発していた。その破壊力は凄まじいものがあった。舞台の端、ギリギリまで人が飛んできたり、まさに舞台狭しと暴れ回り、殺陣の訓練をしっかり積んできた事がわかる、キレキレで迫力のあるケンカシーンだった。芹沢多摩雄役の堂本翔平も「クローズの殺陣は、恨みで闘う感じではなく、愛のある殺陣。絆がどんどん深まっていく作品だと思います。やっていて辛いけど、それを上回るくらい楽しいです」と語っているように、確実にこの舞台を通して、チーム力の強度は増したはずだ。

登場人物一人ひとりの心の中に深く迫り、それをあぶり出し、感情に訴えかけるドラマに仕上げた、山田能龍氏の演出と脚本

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演出・脚本の山田能龍氏はインタビューで「男たちが戦って番長の座を獲りにいく、親に認められたくて番長になりたいやつの話ですが、その男たちが想いをリレーしていって、最後に滝谷と芹沢の肩に、どれだけのものが乗って、そんな二人がどうぶつかるかまでを描く物語だと思っています」と語っていたように、登場人物一人ひとりの心の中に深く迫り、あぶり出し、人間の感情に訴えかけるドラマを作りあげていた。だからケンカシーンもグッとくるものがある。見事な脚本と丁寧な演出で、全てのキャラクターに血が通い、見せ場が作られていた。そして場所と時間の経過を重層的に作り上げ、より立体的に見せ、それに応えるように演者の、どこまでも熱い一生懸命さと、その熱量とが相まって、それが高校生たちの一瞬の煌めきをさらに輝かせることに成功していた。

鮮やかな光を放つ青春群像劇。続編が観たくなる舞台

山田氏はもちろんコメディの部分もしっかり入れ込み、笑いを取り、それも含めて、凶悪な不良達ではあるが、優しさや弱さ、真っすぐすぎるがゆえの不器用さなども持っている高校生を、一人の“人間”を、しっかりと描いていた。鮮やかな光を放つ青春群像劇として成立しており、この舞台の続編を観たいと思わせてくれた。

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若さが迸る疾走感と、モロ師岡を始めとする客演陣の、圧倒的な存在感を感じさせてくれる演技とが、歯車がピッタリと合って大きな余韻を残してくれた。そして観終わった後すぐに、公演前に山田氏が言っていた「映画のイメージをひっくり返して、気づいた時には、お客さんが映画の舞台版であるという事を、忘れているというものを作らなければいけない」という言葉を思い出し、まさにその通りのものを作り上げた山田氏と、劇団番町ボーイズ☆を含む全キャスト、そしてスタッフに心から拍手を贈りたい。

劇団番町ボーイズ☆オフィシャルサイト