増え続ける墓地が森と国土を蝕む? 

山を切り開いて建設される巨大墓地が増えている。

私の家の近くには、多くの墓地・霊園がある。

昔ながらの共同墓地もあれば、新しく開発された広大な面積の霊園もある。散歩に出た際、よくそんな墓地の中を歩く。古くて小さなものは、森の中に埋もれてしまっていたりもするが、新しいものは、墓石の列が地平線になっていた。いずれも山をえぐり、森を切り開いて造成されていた。

ふと、そんな墓地の面積は、日本の全土でどのくらいあるのか気になって調べてみた。墓地面積の増加は、森林の破壊とつながっているのではないか、と思ったのである。

それに現代の日本は、死者がどんどん増えている。人口構成が高齢者の多い釣鐘形なのだから、今後も亡くなる人が増えていくわけだ。となると、墓の需要も増えるだろう。

調べてみると、2003年に年間死亡者数が100万人を超え、2012年は125万6000人だった。昨年は、おそらく約160万人に達するという推測が出ていた。

日本全国の墓地の総面積は、見つからなかった。ただ墓地の数は2012年3月で87万3790カ所と厚生労働省の「衛生行政報告例」にある。そして年間立てられる墓の数は、約35万基。そのうち4分の1が首都圏だそうだ。

その中で日本で最大の霊園とされるのは、静岡県小山町の冨士霊園。なんと約230ヘクタール。また札幌市にある真駒内滝野霊園も、約180ヘクタールある。東京の多磨霊園は128ヘクタールで、都立霊園として最大だ。

真駒内滝野霊園は、私も訪れたことがある。まったく、どこまで広がっているのか圧倒される広さだった。車で走っても、今どこにいるのかわからなくなり迷子になりかけた。この霊園には、石造物のレプリカが実物大で作られて並んでいる。鎌倉の大仏?の隣にイギリスの古代遺跡ストーンヘンジ。さらにイースター島のモアイ像が多数行列している。さらにエジプトの人頭有翼獅子像。もはや石のテーマパークと言ってよいだろう。

さて、こうした巨大霊園はともかく、霊園面積の平均はどれくらいだろう。

霊園は、だいたい1ヘクタール規模のところが多いと感じるが、狭い墓地も数に入っているから、平均はその3分の1から4分の1くらいではないか。そこで、0,3ヘクタールと仮定する。すると計算上は全国の総霊園面積は約26万ヘクタール以上となる。これだけの土地に墓石が並んでいるのだ。

ただし霊園には「緑地化義務」がある。これは市町村の条例で定められるが、だいたい2割くらい。敷地の2割を緑地にすると、残り8割が墓所や駐車場、通路、ほか建物ということになる。その面積は約21万ヘクタール。これだけの面積が石、もしくはアスファルトやコンクリートで覆われたわけだ。この数字だけを見ると、東京都とほぼ同じだ。国土の0,6%を占める。

もちろん推測に推測を重ねた数字だから、あまり意味はないかもしれない。しかし、墓地・霊園が国土に与える影響を考える際の目安になるだろう。

一方で、無縁墓が増大が問題となっている。墓参りはおろか管理料も納めずに放置する墓がどんどん増えているのだ。地方では墓地の4割が無縁化していた調査結果も出ている。撤去するには法的な手続きが大変なうえ、費用もかかる。霊園経営側もおいそれと片づけられないのだ。

また墓石の処理にも困る。実際、霊園の裏を覗くと、山の中に捨てられた墓石や骨壺がゴロゴロ……というケースが少なくない。酷いところは、墓石を並べて積んで、その上に小屋を建てているところもあった。

実は、お隣の韓国でも、墓地の増加が問題になった時期がある。

韓国の埋葬は、これまで土葬が基本で墓も大きいことが先祖に対する供養になるという意識が強かった。そのため国土の1%以上が墓地になってしまったのだ。一人当たりの墓地面積で言えば、住居の3~4倍にもなるという。そこで1990年代に「国土の効率的利用」を唱えて火葬を推進し、さらに納骨堂形式を奨励するキャンペーンを行ってきた。

その結果、火葬が7割を超すまでになり、さらに国の推進する樹木葬が増えている。森を破壊して墓地にするのではなく、埋葬によって森をつくろうというわけだ。すでに国営の樹木葬墓地も登場している。

さて日本の霊園は、今後どちらの方向に行くだろうか。墓地の問題、軽んじては後々の禍根になりかねない。