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山田涼介のコメントから探る、『鋼の錬金術師』を経験したことによる変貌と進化

田辺ユウキ芸能ライター
写真提供:ワーナー・ブラザース映画

5月で29歳になった、アイドルグループ・Hey!Say!JUMPの山田涼介。来年には30歳を迎えるが、その「区切り」を前にさらなる変貌と進化を遂げている。

6月24日に主演映画『鋼の錬金術師 完結編 最後の練成』が封切られた。同シリーズは、2017年に1作目、そして2022年5月に完結編2部作の前編『復讐者スカー』が公開。王子様キャラで知られる山田涼介だが、同シリーズではワイルドな姿を見せている。本人もそういった人物像作りをかなり意識していたように感じられ、その点で『鋼の錬金術師』は彼にとって転機のひとつになったのではないだろうか。

ストイックな人間性「ドラマの撮影と並行していたトレーニングが本当につらかった」

(C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師 2&3」製作委員会
(C)2022 荒川弘/SQUARE ENIX (C)2022 映画「鋼の錬金術師 2&3」製作委員会

3月15日、ひらかたパーク(大阪)でひらかれた『完結編』の記者会見で、山田涼介は「見た目だけではなく、心も強くありたいという意思表示のためにめちゃくちゃ筋トレをしました。正直を言うと(撮影中は)疲れましたが、でも幸せでした。強い敵が現れて戦うだけではなく、そこに人間ドラマがあり、楽しいことや辛いことをすべて背負って戦うので、疲れるんです。人の痛み、苦しみを理解しようとするので、人としてすごく成長できました。(主人公の)エドから学ぶことはとても多かったです」と、同シリーズに取り組んだことで人間的に大きくなったと語っていた。

5月30日には大阪ステーションシティシネマで開催『最後の練成』の全国最速上映会の舞台挨拶に登壇したが、その際も「(登場キャラクターである)“お父様”が原作では身体がバッキバキで、常に上半身が裸の状態だった。だから半年間、ドラマの撮影と並行してトレーニングをやっていたのですが、本当につらかった」と振り返っていた。

同作のために筋トレで15キロも増量したと報道され、「何回吐いたか分からない」とまで言っていた。しかしどこか、そのつらさを自らに敢えて課している…というより、その状況を望んでいる風にも見える。

山田涼介はもともとストイックな人間性で知られていた。2019年8月5日放送のバラエティ番組『10万円でできるかな』(テレビ朝日系)出演時、「食べ放題企画」で肉を豪快に食べていたが、主演ドラマ『セミオトコ』(2019年/テレビ朝日系)の撮影中とあって「このままだと絶対に浮腫んでしまう。これから運動して半身浴をしたい。ここから3日間くらいは何も食べないと思う」と断食発言をしていたほど。

山田涼介から醸し出されている「におい」の変化

『完結編』は、そうやって自分を追い詰めることで役を作り上げるタイプの山田涼介の真骨頂である。作品を鑑賞すると、彼のファン以外でもその凄みが伝わってくる。

映画『グラスホッパー』(2015年)でヒールを演じるなど、以前から陰のある役への興味も強くあるように思える。しかし前述したようにキラキラとした王子様キャラもあって、やはり主演ドラマ『俺の可愛いはもうすぐ消費期限!?』(2022年/テレビ朝日系)で表現した「あざとくて可愛い」みたいな雰囲気が一般的に定着している。ただ、実はかなり幅が広くて奥行きのある俳優でもあるのだ。

「30歳」に向けて、山田涼介から醸し出されている「におい」がちょっとずつ変わってきている。こらからどういう役に挑むのか、楽しみでならない。

映画『鋼の錬金術師 完結編 復讐者スカー/最後の練成』は全国公開中

配給:ワーナー・ブラザース映画

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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