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ランジャタイ・伊藤の角刈りが話題、「角刈り芸人」はなぜ笑えるのか

田辺ユウキ芸能ライター
ランジャタイの国崎和也(左)と伊藤幸司(右)/写真:筆者撮影

千鳥も爆笑、ロケ中に角刈りになったランジャタイ・伊藤

ランジャタイの伊藤幸司が髪型を角刈りに変えた。

伊藤といえば、サラサラで重めのボブヘアがトレードマークのひとつだった。そんな彼が角刈りになったのは、1月15日放送のバラエティ番組『相席食堂』(ABCテレビ)でのロケ中のこと。

富山県氷見市を訪れたランジャタイは、国崎和也の実家や、行きつけだった飲食店をめぐった。

ところがそれらの思い出の場所はすべてランジャタイが仕掛けたフェイク。前代未聞のロケを繰り広げたが、本当の衝撃はVTRのラストカットだった。ちょっと前の映像ではいつもと変わらないボブヘアだった伊藤が突如、角刈りになっていたのだ。まさかの展開にMC・千鳥も爆笑が止まらなかった。

現在の「角刈り芸人」の出世頭はミルクボーイ・内海

「昭和の髪型」の印象がある角刈り。普段の生活のなかでも、角刈りの人はあまり見かけない。しかしお笑い界では現在でも「角刈り芸人」が存在し、それぞれが奮闘を見せている。

代表格は『M-1グランプリ2019』の王者・ミルクボーイの内海崇だ。若手時代は髪の毛を遊ばせたマニッシュショートだった。

そんな彼が角刈りになった理由は、周囲からの老化の声を事前に防ぐため。2019年3月3日放送のラジオ番組『ダイアンのよなよな…』(ABCラジオ)出演時、「(歳をとったときに)老けたと言われるのが嫌だから、先におっさんの格好をしている」と印象操作をしていると明かした。

内海は2017年2月3日更新の自身のブログのなかで「最強髪型にする覚悟を決めて、散髪をしにいきました」とつづり、「昭和の演歌歌手」をイメージして角刈りに。理容師から角刈りにする理由について問われて「おもしろくしたくて」と答えたところ、「間違いなくウケますよ、えへへ」と太鼓判を押されたという。

以降、内海はブログで「角刈り実家へ帰る」、「角刈りお誕生日会に行く」などの記事をアップ。特に変わった行動をしていなくても、「角刈りだったら何をしてもおもしろいはず」と狙いを持っていることがその内容から伺える。

漫才のうまさ、ネタのおもしろさだけではなく、角刈り効果も相まって『M-1グランプリ2019』では大会史上最高得点を叩き出した。

ちなみに内海の角刈りを担当しているのは、大阪の淀川区にあるプロムナード塚本店の理容師、小川清さん。内海が東京・銀座にある別の理髪店で散髪した後日にプロムナード塚本店へ訪れると、小川さんは「右側だけ長い。(理容師によって)そういうのが出るんやな」と“角変”を見抜いた。

ジェラードンの「貫禄」シリーズは角刈りあってこそ

ジェラードンのアタック西本も角刈りだ。

2020年6月30日更新のYouTube番組『ジェラードンチャンネル』では、「【職人技】角刈りになるまで」と題して、西本が散髪する様子が映し出された。やや伸びた髪の毛が角刈りに近づくにつれて、凛々しい表情に。まさに角刈りマジックと言える。

ジェラードンで西本が中心になるネタも、角刈りが大いに生きている印象だ。『ジェラードンチャンネル』にもアップされている「貫禄がありすぎて先生に間違われる生徒」、「貫禄がありすぎて、迷子センターに自ら来たのに、父親に間違われる子供」などの「貫禄」シリーズは、彼の角刈りがあってこそだ。

そのほか角刈り芸人として、あかつ、あぁ〜しらき、レギュラー・西川晃啓らが思い浮かぶ。

ジャルジャルの角刈りコントにおもしろさのヒントが?

ジャルジャルは「角刈りのくせにクラスのメインになろうとする奴」という学園コントのなかで、角刈りのイメージから外れた行動をとる学生(後藤隼平)を、同級生(福徳秀平)が「角刈りは『ダルい』とか言うな」、「角刈りのやつは夜10時に寝ているから(日中は)眠くない」と叱責。「角刈り通りの行動をしろ」とまで言い切る。

ただ、このコントに「角刈り芸人」のおもしろさのヒントが隠されている。

角刈りは一本気のある人間像を想起させる。オシャレを意識せず、チャラつくことはもってのほか。顔つきも、笑顔ではなく堅い表情が似合う。そんな人間がふざけたことをやったり、声を張り上げたり、慌てたりすることで、髪型とのギャップが生まれて笑えてくる。

また、ジャルジャルはコントのなかで角刈りのことを「ダサい髪型」と言い、『相席食堂』でも千鳥のノブが伊藤に対して「富山でむっちゃダサいやつになった」とツッコんだ。つまり「人に格好良く見られたい」という要素をあえて消している状態なのだ。だからこそ、角刈り芸人はなりふり構わず笑いに打ち込めている。

『相席食堂』で大悟は、角刈りを「一番おもしろい髪」と評した。これまでウケが足りなかった芸人は、角刈りになることでひと押しできるかもしれない。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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