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『KOC』決勝進出の3組 ザ・マミィ、蛙亭、ニューヨークが2021年を自己採点「満点」だったのは?

田辺ユウキ芸能ライター
(提供:AFRC_152/イメージマート)

「過去最高」の呼び声が高かった『キング・オブ・コント2021』(TBS系)で決勝に進出したザ・マミィ、蛙亭、ニューヨークが11月27日、バラエティ番組『おかべろ』(関西テレビ)に出演。2021年を振り返って自己採点を発表した。そこで今回は、この3組の今年の活躍について触れていきたい。

「83点」ニューヨークがハードワークな理由

『キング・オブ・コント2021』の決勝でまさかの最下位に沈みながら、平場のトークで審査員・松本人志(ダウンタウン)に「松本さんが『みんな笑うな』って言ったからや。あれは不正行為。トップバッターからやり直しを申請します」と食ってかかり、タダでは引きさがらなかったニューヨーク。2021年の活動については、「83点」と採点した。

『キング・オブ・コント2021』の結果もあって「10点マイナス」としながら、テレビのレギュラーが増えるなど充実した1年を送り、屋敷裕政は「みなさんが思っているよりも(給料は)上がっている」と収入激増を告白。嶋佐和也が「単価は変わっていない」と明かしたように、仕事の本数がとにかく増えた。

ニューヨークのすごさは「お笑い界きってのハードワーカー」でありながら、そのペースを落とそうとしない点である。例えばYouTubeチャンネル『ニューヨーク Official Channel』も、11月が17本(27日現在)、10月は23本もの動画がアップされた。売れっ子コンビでありながらこれだけの動画をアップしているのは驚きである。

ニューヨークは9月5日配信「ニューヨークのニューラジオ」内で、『新shock感』(テレビ東京系)などに出演していたネクストブレイク時代を思い返し、「俺らがなにもないときにロケへたくさん行かしてもらった。あのときに目をかけてくれた人たちに恩返しをしなきゃいけない」としみじみと話した。

また同配信で「今まで出演した番組を思い出せるだけ、思い出したい。それがなかったらやれていないから」とし、後日「ニューヨークが出演したテレビの仕事を全部思い出したら分かった真実」(9月28日更新)という企画を実施。屋敷は「これを忘れないために、背中にタトゥーをいれようかな」とホワイトボードにびっしり書かれた番組名を見つめた。

屋敷は同企画のなかで「このとき(若手時代)に仕事をしたディレクターさんと、今また仕事をすることがある」とコメント。ニューヨークが活躍している理由は、当然ながら芸人として腕があるから。そしてこれだけの仕事量を受け続けているのは、いろんな人たちへの感謝のあらわれではないだろうか。

「98点」蛙亭はコンビ間で意見が分かれる

『キング・オブ・コント2021』ではトップバッターでありながら461点(最終順位6位)の高得点を叩き出し、大会を盛り上げた蛙亭は自己採点「98点」。しかしこの点数は、中野周平がイワクラに相談せずに付けた自己判断の評価だ。

満点に届かなかった理由は『キング・オブ・コント2021』で勝てなかったこと。中野の口からは「1番手以外だったら1位を獲っていた」など出演順への恨み節が止まらず、MCの岡村隆史(ナインティナイン)、石田明(NON STYLE)を笑わせた。ちなみに中野は、11月23日放送『ラヴィット!』(TBS系)で7年交際の彼女と結婚を考えていることを告白したばかり。『おかべろ』でも、「公私ともに順調」と満面の笑みを浮かべていた。

一方でイワクラは「個人的には48点」とかなり辛口で、「テレビのスピードについていけていない」と戸惑いが拭えなかったという。『芸人雑誌 VOLUME4』(2021年/太田出版)のインタビューでも、イワクラはテレビの仕事について「難しいが8、楽しいが2」とし、自分は芸人に向いていないのではないかと答えていた。

蛙亭は、そんな中野とイワクラのギャップが抜群だ。楽観的なタイプの中野と、危機感と背中合わせで笑いに打ち込むイワクラ。『芸人雑誌 VOLUME4』でもイワクラは「中野のようになりたい」とその性格を羨ましがり、そして「観ている人の感情を動かしたいんですけど、やっぱり笑わせるのが一番難しいです」とストイックな回答でインタビューを締めた。

4月28日放送『あちこちオードリー』(テレビ東京系)では、客ではなく身内ウケを狙う芸人のことがトークのテーマにあがり、イワクラは「『(会場の空気が)重いなぁ』『わかってないなぁ客』『女子高生(にウケる)とかもうええわぁ』とか、そんなことを言う芸人にはなりたくない」と語気を強めていたところが印象的だった。

『キング・オブ・コント2021』、『第42回ABCお笑いグランプリ』(朝日放送)では戴冠にあと一歩届かなかった蛙亭。しかしイワクラのお笑いに向き合う姿勢と中野のキャラクターによって、コンビはさらなる進化を遂げるのではないか。

「100点」ザ・マミィの唯一の心残りとは?

自己採点が「100点」だったのは、『キング・オブ・コント2021』で準優勝に輝いたザ・マミィだ。ちなみに同大会は決勝10組中、所属事務所が吉本以外だったのはザ・マミィだけ(プロダクション人力舎)。マヂカルラブリーの野田クリスタルから「吉本の壁をぶっ壊してやれ、行ってこい!」と檄を飛ばされ、「武者震いした。背中を押されました」と意気に感じて舞台に上がったという。

2021年は酒井貴士がクズ芸人としてブレイク。クズ芸人特有の人たらしな面もあってか、好感度は高めだ。顔いっぱいに汗をかいて、どんなことでも一生懸命になっている様子がこれまた良い。

酒井は、11月10日放送『バチくるオードリー』(フジテレビ系)の「芸人が作詞したラブソングをプロのミュージシャンが作曲したら」という企画に出演した際も、実体験をもとにしたオリジナルの歌詞を披露し、優しかった元恋人に対する後悔を思い出して大号泣。クズだけではなく、ピュアな面にもスポットがあたりはじめている。

一方の林田洋平は、『おかべろ』内でも話題になったが、医者の父親から芸人活動への理解が得られていないとのこと。大学中退でお笑い界へ強引に入った林田は、父親に「一人前になるまで帰ってくるな」と言われ、以降は絶縁状態。約7年、言葉を交わしていないという。林田は「『キング・オブ・コント』で優勝していたら(父親のもとへ)行けたけど、準優勝が一番気持ち悪い。もっと上へ行ってから」と複雑な胸中を語った。

酒井も「2021年で唯一の心残り」とし、林田に「ここからは林田さんが夢を叶える番だ」と伝えたという。岡村、石田らから「なんでそんなに上から目線やねん」とツッコまれていたが、「クズとピュアのハイブリッド」な酒井らしい言葉でもある。

林田が父親と再会を果たすには、頂点を獲るしかない。2022年の『キング・オブ・コント』の最大のドラマになりそうだ。

芸能ライター

大阪を拠点に芸能ライターとして活動。お笑い、テレビ、映像、音楽、アイドル、書籍などについて独自視点で取材&考察の記事を書いています。主な執筆メディアは、Yahoo!ニュース、Lmaga.jp、Real Sound、Surfvote、SPICE、ぴあ関西版、サイゾー、gooランキング、文春オンライン、週刊新潮、週刊女性PRIME、ほか。ご依頼は yuuking_3@yahoo.co.jp

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