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「行政書士試験」6571人合格!~受験者に贈る3つのアドバイス

竹内豊行政書士
本日、行政書士試験の合格発表が行われました。(提供:イメージマート)

本日、令和5年度の行政書士試験の合格発表が行われました。そこで、合格した方、そして残念ながら不合格だった方へエールを込めて経験を踏まえて3つのアドバイスをお届けしたいと思います。

合格したらまずクールダウン

結果が発表された後の心構えとして最も大切なことは「落ち着く」ということです。

合格された方は受験勉強が報われた高揚感で「すぐにでも開業!」「次は〇〇の資格を取得するぞ!」と興奮で熱くなっていると思います。このようなテンションが高い状態では冷静な判断ができません。

そのような時に準備不足のままあわてて開業したり、衝動的に他士業の受験講座に申し込んだりするのは時間と金の浪費につながるおそれがあります。

もちろん、開業や「次の資格の受験」を否定しているのではありません。ただ、興奮冷めやらぬ段階での決断は後悔してしまう確率がどうしても高くなってしまうものです。

まずは、合格の余韻に浸ってください。そして、心身ともに落ち着いたころに「今後どうするのか」の判断をすることをお勧めします。

「開業するか」検討する

合格直後の興奮状態からクールダウンできたら、次に「開業」するかどうか考えてみてください。

行政書士の本質は、その生い立ちから「分野不特定の法律系国家資格」と定義できます。そのため、「行政書士です」と自己紹介しても、世間一般の方から「法律に携わる職業の人」と分かってもらっても「どんなサービスを提供してくれるのかわからない人」とみなされてしまいます。このようなことは行政書士の生い立ちの歴史から見ると「宿命」といえます。

開業までに「私は〇〇を専門にしている行政書士です」と言い切れなければ依頼を受けることは相当困難です。開業を目指す方は自分が行政書士という資格を活用して何をしたいのか考えてみることをお勧めします。そして、やりたいことが定まったら、まずは開業までに「やりたいこと」に関する専門知識を蓄えるようにしてください。

不合格だったら「再受験するかどうか」検討する

残念ながら不合格だった方は、まずは落ち着いて心身ともに休んでください。そして、落ち着きを取り戻したら再受験するか検討してみてください。

受験の経験は次の試験でも当然生かせますし、勉強で蓄えた知識は合格への土台となり、次の試験で合格できる確率は高くなると思います。ただ、試験は年に1回しかありません。勉強に要する時間も必要です。

「本当にこの資格が自分にとって必要なのか」を考えてみて「必要」と判断したら再受験に向けてスタートしてみるのがよいと思います。

合格・不合格にかかわらず、受験した経験は人生の糧になります。お伝えしたとおり、まずは心身共に休養を取り、落ち着いた段階で「次」を目指してください。試験に挑戦したみなさま、お疲れ様でした!

引用・参考文献:『99日で受かる!行政書士試験最短合格術』(遠田誠貴)、『そうだったのか!行政書士』(竹内豊)『行政書士合格者のための開業準備実践講座』(竹内豊)以上税務経理協会

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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