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18歳成人・コロナ禍の影響で「成人式」はいつになる?

竹内豊行政書士
18歳成人の誕生やコロナ禍の影響で成人式の日程が混乱しているようです。(提供:イメージマート)

本日、1月9日は成人の日。成人の日と言えば「成人式」をイメージする方が多いと思いますが、「18歳成人」の誕生やコロナ禍の影響で成人式をいつ行うかで各自治体が頭を悩ませているようです。

「成人の日」は法律で決められている

まず、そもそも「成人の日」とはどのような日なのでしょうか。

国民の祝日に関する法律 (祝日法)によると、成人の日は次のように規定されています。

祝日法2条(内容)

「国民の祝日」を次のように定める。

成人の日1月の第2月曜日

おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

これにより、今年の成人の日は1月9日(月)となります。

成人式の発祥は埼玉県蕨市

成人式の発祥は、敗戦で希望が見いだせない若者たちを励まそうと蕨町青年団が企画した終戦の翌年、1946(昭和21)年11月に埼玉県北足立郡蕨町(現在の蕨市)で開催された「青年祭」といわれています。この青年祭がきっかけとなり、1948(昭和23)年に国民の祝日として、「成人の日」が制定され、全国各地で新成人の門出を祝うようになりました。

成人式の開催日は各自治体任せ

このように、「成人の日」は祝日法で規定されています。では、「成人式」はいつ開催されるのでしょうか。

実は、成人式の時期や在り方に関しては、現在、法律による決まりはなく各自治体の判断で実施されています。

民法改正による影響

民法が改正されて2022年4月から20歳から18歳が成人に引下げられました(民法4条)。成人年齢の改正は、1876(明治9)年に発布された太政官布告で20歳と定められて以来、実に140年振りのことでした。

民法4条(成年)

年齢十八歳をもって、成年とする。

そのため、従来、「成人の日」にほとんどの自治体で行われていた成人式の対象年齢については、引き続き20歳を対象に式典を開いたり、18歳と19歳のセレモニーや、新型コロナウイルスの影響で延期になった21歳のための式典を開催するなどまちまちです。また、開催日も昨年末から今年5月までと様々となっています。

18歳に引下げた理由

そもそもなぜ成人年齢を20歳から18歳に引下げたのでしょうか。

成人年齢は、憲法改正国民投票の投票権年齢や、公職選挙法の選挙権年齢などが18歳と定められたことなどを踏まえ、市民生活に関する基本法である民法においても18歳以上の人を大人として取り扱うのが適当であること、また世界的にも、成年年齢を18歳とするのが主流あることなどの理由で改正されました。

「18歳成人」は、18・19歳の若者の自己決定権を尊重するものであり、その積極的な社会参加の促進が期待されます。

「成人」になると法的に変わること

民法の成年年齢には、一人で有効な契約をすることができる年齢という意味と、父母の親権(親が子の財産を管理したり、子に代わって法律行為をすること)に服さなくなる年齢という2つの意味があります。

例えば、携帯電話やクレジットカード等の契約、自動車購入等のローン契約、アパートを借りるための賃貸借契約などを締結することができます。ただし、2022年4月1日より前に18歳、19歳の方が親の同意を得ずに締結した契約は、施行後も引き続き取り消すことができます。

ご覧いただいたように、成人式の開催日は民法改正の影響で当面の間、各自治体でまちまちのようです。いつ行うにしても成人になった人は「おとなになつたことを自覚し」、大人は「みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます」という成人の日の主旨を忘れないようにしたいですね。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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