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だれに頼む?~公正証書遺言に必要な「証人」とは

竹内豊行政書士
公正証書遺言に必要な「証人」はどのように選んだらいのでしょうか。(写真:アフロ)

山下一郎さん(仮名・78歳)は、終活の集大成として公正証書遺言を残すことにしました。そこで、調べてみると、公正証書遺言を残すには証人が2名必要なことがわかりました。そこで、山下さんは友人に頼もうとしましたが、証人は遺言の内容を知られてしまいます。たとえ友人でもこれには抵抗を覚えます。妻に頼もうとしましたが、法的にだめなようです。山下さんは遺言の内容を考える前に、だれを証人にしたらよいのかで悩んでしまいました。

公正証書遺言の作成方法

民法は、公証役場で作成する公正証書遺言の方式を次のように定めています(民法969条)。

1.証人2名以上の立会い

2.公証人に対する遺言者による遺言の趣旨の口授(口頭で伝えること)

3.公証人による筆記と遺言者に対する読み聞かせまたは閲覧

4.遺言者および証人による筆記の正確性についての承認および各自の署名押印

5.公証人による遺言書作成方式の遵守についての付記、および署名押印

以上のとおり、証人2人以上(通常2名)が立会い、遺言者(遺言書を作成する本人)が公証人に遺言の内容を伝え、公証人はその内容を文書(遺言書)にして遺言者にその文書を読み聞かせるか見せて、遺言者と証人はその文書が正確であるか判断し、正確であれば遺言書に署名押印します。最後に、公証人がこの遺言書が法律に則した方式で作成されたことを記して署名押印すれば完成となります。

なぜ証人の立会いが必要なのか

法が証人の立会いを要件とした趣旨は、遺言者に人違いのないこと、遺言者が正常な精神状態のもとで、自己の意思に基づいて遺言の趣旨を口述すること、公証人による筆記が正確であること等を確認するためであるとされています。

証人の資格~証人になれない人

民法は、推定相続人・受遺者およびその配偶者・直系血族等を証人になれない者(証人欠格者)と定めています(民法974条)。これは、利害対立のおそれのある者を廃除する趣旨です。証人欠格者はその他、次の者が定められています。

・未成年者

・公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人

つまり、証人欠格者でなければ、証人になることができるということを意味します。そして、実際は次のような者が証人になっています。

・公正証書遺言作成依頼を受けた弁護士・司法書士・行政書士等の法律専門職およびその職員

・遺言者が自ら依頼した者

・公証役場が選定した者

このように、法律専門職に依頼をすれば、その法律専門職が自ら証人になり、残りのもう1人もその者が手配します。法律専門職に依頼をせず、また、証人に的確な者も見当たらない場合は、遺言を作成する公証役場に相談すれば適任者を選任してくれます。

以上の通り、証人の選定はさほど心配する必要はありません。公正証書遺言の作成をご希望の方は、証人のことは心配せずにぜひ作成に専念してください。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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