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行政書士試験まで約100日~短期合格の7原則

竹内豊行政書士
令和3年度の行政書士試験まで約100日となりました。(提供:Globe_Design/イメージマート)

令和3年度の行政書士試験は11月14日(日)に行われます。試験まで残り約100日となりました。そこで、行政書士の紹介と残り100日からでも間に合う試験勉強の秘策についてご紹介したいと思います。

行政書士の仕事

まずは、行政書士の仕事についてご紹介します。行政書士には、大きく分けて2つの業務があります。一つは「官公署に提出する書類」に関する業務、もうひとつは「権利義務または事実証明に関する書類」に関する業務です(注)。

「官公署に提出する書類」に関する業務では、書類に関する相談、書類作成、官公署(役所)への提出代理を行っています。

具体的には、建設業、運輸業、風俗営業等の許可申請があります。近年は、外国人が日本で仕事を行うために必要な在留資格を取得するための入国管理局に申請する書類の作成が増えています。

一方、「権利義務または事実証明に関する書類」に関する業務で多いのは遺言書の作成や相続手続に関する相談です。法的に完備した遺言の作成や、面倒で複雑な遺産分けを速やかに完遂するサポートを行っています。超高齢化社会を迎えて、この分野の業務は益々増えると予想されます。

(注)行政書士は「官公署に提出する書類」や「権利義務または事実証明に関する書類」であっても、「その業務を行うことが他の法律において制限されているもの」については、業務を行うことができません。そのため、税務申告(税理士業務)や法務局への登記申請(司法書士業務)、裁判所への訴状(弁護士業務)などは行うことができません。

「知識」と「経験」を活かせる資格

このように、行政書士が取り扱うことができる業務範囲は広範におよびます。そこで、近年は、定年後のセカンドキャリアを見据えて自分が培ってきた知識と経験を行政書士業務として仕事にするために行政書士試験にチャレンジする方が増えています。

短期合格の7つの原則

行政書士試験は、今から勉強をスタートしても、やりようによっては合格が可能な試験です。そこで、最短合格のための7つの原則をご紹介します。

原則1 試験勉強は「最短最速」でクリアする

行政書士として開業を目指すなら、試験勉強よりも実務の勉強の方がはるかに重要です。試験勉強は単に資格を取るだけのものと心得ましょう。

原則2 捨てるところを決める

短期合格には「やらないこと」を決めるのが重要。具体的には、「商法」「情報通信・個人情報保護以外の一般知識」は捨て科目です。

原則3 民法と行政法が全て

行政書士試験の合否は、配点の高い民法と行政法で決まります。逆に言うと、この2つの科目の出来が悪いと合格はほぼ無理です。民法と行政法に重点を置いた勉強をすること。

原則4 アウトプットを優先する

短期合格には、教科書を読んでから問題を解くといった一般的な勉強法では間に合いません。いきなり問題を解き、それを何度も繰り返し先に問題を解ける状態を目指しましょう。

原則5 狭く深く勉強する

「狭く深く」を意識して勉強を進めること。勉強をするときには、科目の中の限られた範囲を一つの区切りと考えて、まずはそこを深く掘り下げていく、というふうに考える。

原則6 択一式の対策だけでいい

行政書士試験は、択一式、多肢選択式、記述式の3種類の出題形式がありますが、択一の勉強をやっておけば、多肢選択や記述式に必要な知識は自然と身に付きます。

原則7 最後まであきらめない

コツコツ勉強を続けてさえすれば、ゴールには着実に近づいてきます。試験終了が告げられる瞬間まであきらめない気持ちこそがよい結果につながります。

いかがでしょうか。コロナ禍で在宅時間が増えている今、受験勉強にとっては良い環境といえるかもしれません。

行政書士について詳しくは、日本行政書士会連合会ホームページを、行政書士試験については、一般財団法人行政書士試験研究センターのホームページをご覧ください。

参考・引用:『99日で受かる!行政書士試験最短合格術』(遠田誠貴著・税務経理協会)

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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