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「行政書士試験」過去3年で「一番」厳しい結果 ~「女性」躍進、「コロナ禍」で受験者増加か

竹内豊行政書士
(提供:barks/イメージマート)

令和2年11月8日に行われた行政書士試験の結果が、1月27日に発表されました。そして、結果内容が一般財団法人行政書士試験研究センターから発表されました。

今回は、その内容を深読みしてみたいと思います。コロナ禍の影響も読みとることができる結果です。

受験者数~過去3年で最高

受験者数は、前年比1,860人増(4.6%増)、過去3年でも最高でした。

2018年 39,105人

2019年 39,821人

2020年 41,681人

合格者数~過去3年で最低

一方、合格者数は前年比101人減となり、過去3年でも最低でした。

2018年 4,968人

2019年 4,571人

2020年 4,470人

合格率~過去3年で最低

その結果、合格率も過去3年で最低となりました。

2018年 12.7%

2019年 11.5%

2020年 10.7%

「女性」の躍進

女性の合格者が前年比10.9%増となり、女性の躍進が目立ちました。

2019年 1,066人

2020年 1,182人(116人増、10.9%増)

占有率 26.5%

一方、男性の合格者は、6.2%減となりました。

2019年 3,505人

2020年 3,288人(217人減、10.6%減)

また、合格者の男女比では、男性73.5%、女性26.5%となりました。

2020年12月末日現在の、行政書士登録者数は、49,708人であり、男女別では、男性42,376人、女性7,332人で、男女比は、男性85.2%、女性14.8%です。このことから、今後は女性の登録者占有率もアップすることが予想されます。

「30代」が合格者の約3割を占める

年代別合格者数では、男女とも30代がトップであり、男性888人・女性402人・合計1,290人、10代から60代以上の年代別占有率は28.9%となりました。

以上、受験者数は過去3年で最高となりましたが、合格者数は過去3年で最低となりました。

また、女性の躍進が目立ちました。そして、男女とも年代別合格者で30代がトップを占めるという結果になりました。

「コロナ禍」と「難易度」および「広範な業務範囲」で受験者数増加か

コロナ禍による、先行き不透明感が「いざというときのための資格」、つまり、セーフティネットとして「資格」を取得するという風潮になる可能性があります。実際、今年の受験者数の増加も、昨年8月末が受験の申込締切りで、11月が試験ということからも、コロナ禍の影響もあったと推測できます。

行政書士試験は、たとえば、難問が予想され、しかも配点が低い「商法」を捨て科目にしてしまうなど、戦略的に挑めば、短期間での合格も可能です(といっても、9割の人は落ちる試験です)。

そして、行政書士制度は、「広範にわたる業務範囲」が特徴です。その特徴を上手く活用すれば人によっては、自らの「実績」をそのまま行政書士業務に結び付けることも可能な場合があります。以上から、来年度も受験者数は増加傾向にあると予想できます。

行政書士試験には年齢、学歴等、受験者資格は一切設けられていません。ちなみに、今年の合格者の最年少は15歳の男性、最年長は76歳男性でした。興味がある方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

※「行政書士」の活かし方については、速報!「行政書士試験」4470人合格~コロナ禍で活きる資格 「合格者」「開業を目指す方」へアドバイスをご覧ください。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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