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嵐 二宮和也さんがした「男のケジメ」~「ケジメ婚」を考える

竹内豊行政書士
嵐の二宮和也さんがつけた「男のケジメ」について考えてみます。(写真:アフロ)

報道によると、嵐の二宮和也さん(36)が12日、元フリーアナウンサーの女性(38)との結婚を発表しました。関係者によると同日の夜に婚姻届を届け出たのことです。

また、二宮さんはこの日夜に、ファンクラブサイトに直筆で、デビューから20年間応援してもらったファンへの感謝をつづるとともに、「嵐の一員として、人生の半分以上を過して参りましたが、ここで一人の男としてケジメと決断をし、今日、ファンの皆様に、ご報告させていただきました」と結婚を報告したとのことです。

二宮さんは、結婚に踏み切った理由として「一人の男としてのケジメ」を挙げています。ケジメとは「区別をはっきりさせる」という意味がありますが、結婚をするとどうしてケジメになるのか考えてみたいと思います。

結婚とは何か

憲法24条には、第1に、結婚が両性の合意のみに基づいて成立することを要求しています。第2に、夫と妻が平等の権利を有することを基本とし、相互の協力によって結婚が維持されなければならないとしています。

そして、第3に、一夫一婦主義があります。これは、先の2つの点と表裏の関係にあり、近代民法の本質とされています。つまり、パートナー関係の独占排他性です。過去には一夫多妻制や妻妾制度なども存在していましたが、現在は、同時に複数の人と婚姻関係を持つことは当然ですが公認されていません。

結婚の成立方式

多くの国は法律が定める手続をとることが必要な法律婚主義を採用しています。しかし、日本では、市区町村の戸籍係へ婚姻の届出をすることによって婚姻が成立します。この方式を届出婚主義といいます。そのため、「日本ほど、結婚と離婚が簡単にできる国はない」といわれることもあります。この方式は、明治民法によって確立した日本独特の制度です。

届出婚主義の下では、社会生活上夫婦と認められる関係を作ろうとする意思と、婚姻届を提出しようとする意思の2つの意思が求められます。

結婚の効果

婚姻をすると、法律上次のような権利義務が生じます。

夫婦同氏(民法750条)

夫婦は、結婚の際に夫または妻の氏(法律では「姓」や「苗字」を「氏」と呼びます。)のどちらかを夫婦の氏として選択しなければなりません。

同居協力扶助義務(民法752条)

夫婦は同居し、互いに協力し扶助し合わなくてはいけません。婚姻共同生活を維持する基本的な義務とされています。

貞操義務

民法の条文に規定はありませんが、重婚が禁止されて、同居協力扶助義務が規定されて、不貞行為(配偶者以外の人と性的関係を持つこと)が離婚原因になる(民法770条1項1号)ことから、また、一夫一婦制という結婚の本質から、夫婦は貞操義務を負うとされています。

夫婦間の契約取消権(民法754条)

夫婦は結婚期間中に締結した夫婦間の契約を、結婚期間中はいつでも、何の理由もなしに一方的に取消すことができます(ただし、第三者の権利を害することはできません)。

その他にも、

姻族関係の発生(民法725・728条)

子が嫡出子(婚姻関係にある夫婦から生まれた子、つまり夫の子)となる(民法772・789条)。

配偶者の相続権が認められる(民法890条)

などがあります。

以上、見てきたとおり、「ケジメ」という観点に立つと、結婚の特徴は、憲法から導かれる一夫一婦制に基づくパートナーの排他的独占ととらえることができます。そして、その根底には、届出婚主義に求められる「社会生活上夫婦と認められる関係を作ろうとする意思」があります。そして、ケジメの証しとして、婚姻の効果が発生すると考えられます。

なお、結婚は、先にご紹介したおり、憲法24条による、両性の合意のみに基づいて成立し、夫と妻が平等の権利を有することを基本とし、相互の協力によって維持されます。したがって、「女のケジメ」も含まれています。

二宮さんご夫妻の末永いお幸せをお祈りいたします。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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