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令和初の「行政書士試験」実施~過去3年最高5万2千人が挑む!40代以上過半数占める

竹内豊行政書士
11月10日(日)に、5万2千人が行政書士試験にチャレンジします。(写真:ペイレスイメージズ/アフロイメージマート)

本日、11月10日(日)に、行政書士試験が全国の主要都市で行われます。

今年度は、52,386名がエントリーしています。

この数字は、前年2018年度の50,926名と比べて102.86%、1,460人増です。また、2017年度が52,214名でしたので過去3年間で最高のエントリー数となります。

そこで、今回は行政書士の紹介と受験生の傾向をご紹介します。また、試験に挑む受験生へアドバイスをお伝えしたいと思います。

行政書士の業務

多くの方は、行政書士が何をしてくれる者かご存知ないと思います。そこでまず、行政書士の業務についてご紹介します。

行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類、その他権利義務又は事実証明に関する書類の相談、作成および提出代理を業としています(行政書士法1条の2、1条の3)。

具体的には次のような業務があります

1.官公庁への許認可に関する書類に関する業務

在留許可申請

~外国人が日本に在留して生活や就労するために必要な「在留資格」取得の手続

建設業許可申請

~一定の規模の建設業を行うために必要な建設業の許可取得の手続

風俗営業許可申請

~接待行為を伴う飲食店(スナックなど)の営業許可取得の手続

運送業許可申請

~貨物自動車運送事業等を行うために必要な許可取得の手続

2.権利義務又は事実証明に関する業務

遺言書の作成支援

~遺言書を残したい方のご相談に応じて、法的に完備した遺言書を作成します。

相続手続の代理

~ご遺族などがお亡くなりになった方の遺産を承継するための遺産分割協議書等の書類を作成して、金融機関の払戻し手続き等を行います。

契約書の作成  など

このように、行政書士は、国民と行政の橋渡しとして行政に関する手続の円滑な実施に寄与すること、および、遺言の普及や相続手続の支援等をとおして国民の利便に資することを目的に活動を行っています

詳しくは、日本行政書士会連合会のホームページをご覧ください。また、そこでは令和元年度行政書士制度PRポスターモデル駿河太郎さんがナビゲーターをしているPR動画もご覧いただけます。

行政書士試験とは

行政書士試験は、行政書士法に基づき、総務大臣が定めるところにより、行政書士の業務に関し必要な知識及び能力について、毎年1回11月の第2日曜日に全国主要都市で実施されています。

参考までに本年度の試験概要は次の通りです。

令和元年度行政書士試験の概要

・受験資格:年齢、学歴、国籍等に関係なくどなたでも受験できます。

・試験日時:令和元年11月10日(日) 午後1時~午後4時

・試験場所:全国各地の主要都市   

・受験手数料:7,000円    

・合格発表:令和2年1月29日 (水)

行政書士受験生の特徴

行政書士試験にチャレンジする方には、次のような特徴があります。

1.幅広い年齢層のチャレンジ

平成11年の行政書士法改正で、行政書士試験の受験資格が廃止されました。その結果、年齢、学歴、国籍等に関係なくどなたでも受験できます。そのため、昨年度の試験では、次のように幅広い年齢層の方がチャレンジし合格しました。

申込者:最年長 94歳 (1名)  最年少 13歳 (2名)

合格者:最年長 77歳 (2名)  最年少 16歳 (1名)

2.多様な人材~申込者者の過半数を40代以上が占める

最近は、高齢化社会を反映してか、「定年後に自分が今まで培ってきた経験と知識を行政書士という国家資格を活用して仕事にしよう!」という方が大勢チャレンジしているようです。昨年2018年度の年代別エントリー数および合格者数の割合は次のとおりです。

2018年度の年代別エントリー数および合格者数の割合

※括弧内は合格者

10代:1.4%(1.1%)

20代:17.3%(22.4%)

30代:23.6%(29.9%)

40代:26.9%(26.3%)

50代:20.5%(15.3%)

60代以上:10.3%(5.0%)

このとおり、40代以上のエントリー数が57.7%と過半数を占め、合格者数が46.6%と過半数までもう一歩まで占めています

実際に、様々な経歴の方が、ご自身の経験を行政書士の資格を活用して活躍しています。 この要因は、行政書士の幅広い業務範囲と「すべきことをすれば受かる試験」という難易度、そして何より「国家資格」という信頼の証しだと考えられます。詳しくは、「行政書士試験 締切り迫る!~増える業務、セカンドキャリアを輝かせる資格」をご覧ください。

1年間、しっかり勉強すれば受かる試験です。興味をお持ちになった方はチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

受験生へのアドバイス

私が受験したのは平成10年です。もう20年も前ですが試験のことは鮮明に覚えています。そこで、経験を踏まえて3点だけアドバイスを差し上げたいと思います。

その1 開き直る

試験は目前。持っている力を最大限発揮することだけに集中しましょう。そのために、試験当日をイメージして持ち物や食事、交通手段などをチェックしておきましょう。ここまで来たら無理は禁物です。「後はなるようになる!」と開き直って健康管理を最優先して試験日まで過ごしましょう。

その2 深呼吸する

試験当日は余裕を持って会場に向かいましょう。

答案用紙が配られたら呼吸に意識を向けて鼻か口からスーッと息を吐ききるようにしましょう。すると自然に息を吸い込むことができます。呼吸にだけ意識を向けてそれを何度か繰り返していると、自然に気分が落ち着いてくるのが実感できるはずです。後は、答案用紙に蓄えてきた知識をぶつけるだけです!

その3 慌てない

答案用意を見たらノーマークの問題に遭遇して「しまった!」と思うこともあるでしょう。このような「不測の事態」が起きるのが本試験です。その時は「来ましたね」とまず受け入れること。そして深呼吸をして気持ちを整えて挑むこと。不測の事態に遭遇したのはあなただけではありません。ここで慌てて舞い上がってしまうか、それとも気持ちを切り替えることができるかが合否の分かれ目です。試験終了の合図まであきらめないで試験に挑んでください。

以上当たり前のことかもしれませんが、「当たり前のことを当たり前にやる」ことが合格に直結すると思います。ご健闘を心からお祈りします。

引用および参考:一般社団法人行政書士試験研究センターホームページ

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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