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2月22日は行政書士記念日~何をする人?何人いる?お得な資格!

竹内豊行政書士
2月22日は行政書士記念日です。そこで行政書士についてご紹介します。(写真:アフロ)

行政書士法は昭和26年2月10日に成立し、同月22日法律第4号として公布され、同年3月1日から施行されました。

そこで、日本行政書士会連合会は、「行政書士の自覚と誇りを促し、制度の普及を図る」ことを目的に、平成19年度から行政書士法が公布された2月22日を「行政書士記念日」と定めました。

私も行政書士の一人として、記念日の目的である「制度の普及」のために、何かとわかりにくい行政書士をこの場をお借りしてご紹介したいと思います。

行政書士はなにを仕事にしているのか

行政書士には、大きく分けて2つの業務があります。一つは「官公署に提出する書類」に関する業務、もうひとつは「権利義務または事実証明に関する書類」に関する業務です。

「官公署に提出する書類」に関する業務では、書類に関する相談、書類作成、官公署(役所)への提出代理を行っています。

具体的には、建設業、運輸業、風俗営業等の許可申請があります。近年は、外国人が日本で仕事を行うために必要な在留資格を取得するための入国管理局に申請する書類の作成が急増しています。

一方、「権利義務または事実証明に関する書類」に関する業務で多いのは遺言書の作成や相続手続に関する相談です。法的に完備した遺言の作成や、面倒で複雑な遺産分けを速やかに完遂するサポートを行っています。超高齢化社会を迎えて、この分野の業務は益々増えると予想されます。

なお、行政書士は「官公署に提出する書類」や「権利義務または事実証明に関する書類」であっても、「その業務を行うことが他の法律において制限されているもの」については、業務を行うことができません。

そのため、税務申告(税理士業務)や法務局への登記申請(司法書士業務)、裁判所への訴状(弁護士業務)などは行うことができません。

数字で見る行政書士

行政書士を数字を基にご紹介します。

行政書士は何人いるのか

行政書士のほとんどは、行政書士試験に合格して、日本行政書士会連合会に登録することで行政書士として活動しています。

総数:47,978名

男:41,235名(85.95%)

女:6,743名(14.05%)

個人事務所開業:39,729名(82.80%)

行政書士法人社員:1,040名(2.17%)

以上平成30年12月末現在

(引用:月刊『日本行政2月号・第555号』平成31年1月25日発行、日本行政書士会連合会)

このように、全国に約4万8千人の行政書士がいます。その8割強が男性です。そして、8割が個人事務所です。

行政書士試験

例年11月に実施されています。過去3年間の受験者数、合格者数、合格率は次のとおりです。

平成28年度 受験者数 41,053名 合格者数 4,084名 合格率 9.95%

平成29年度 受験者数 40,449名 合格者数 6,360名 合格率 15.72%

平成30年度 受験者数 39,105名 合格者数 4,968名 合格率 12.70%

(以上、一般社団法人行政書士試験研究センター)

毎年合格率は上下しています。ここ3年間は10~15%程度とやや高くなっています。ちなみに、私が合格した平成10年度は5%を切っていたと記憶しています。

行政書士試験は、受験資格の制限がありません。平成30年度の最年少合格者は、なんと16歳でした。また、最年長合格者は77歳でした。

行政書士試験は、やることをきちんとやれば受かる試験です。また、戦略を立てて挑めば、短期間での合格も可能です。

最近は、定年後のセカンドキャリアを見据えて行政書士試験にチャレンジする方が増えているようです。行政書士は自分が培ってきた知識と経験を仕事として活かせる資格です。何よりです行政書士には定年がありません。「可能な限り仕事を続けていきたい」とお考えの方はチェレンジしてみてはいかがでしょうか。

行政書士という資格は、試験の難易度に比べて使い勝手がよい、「お得な資格」といえるでしょう。

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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