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「行政書士試験」合格発表! 合格率3%ダウン、合格者4,968人、最年少16歳・最年長は77歳

竹内豊行政書士
平成最後の行政書士試験の合格発表が先ほど行われました。(GYRO PHOTOGRAPHY/アフロ)

昨年11月11日に実施された行政書士試験の合格者が本日午前9時に発表されました。

合格率は、前年の15.7%から12.7%とマイナス3%というやや厳しい結果となりした。

今回は、行政書士試験と行政書士制度の概要をお伝えすると共に、行政書士という資格の活用を提言したいと思います。

平成30年度試験結果

平成30年度の試験結果は次のとおりです※カッコ内は前年度。

受験者数 39,105人(40,449人)~男性:28,049人(29,608人)、女性:11,056人(10,841人)

合格者数 4,968人(6,360人)~男性:3,661人(4,958人)、女性:1,307人(1,402人)

合格率  12.7%(15.7%)~男性:13.1%(16.7%)、11.8%(女性:12.9%)

最年少合格者 16歳・1名(18歳)

最年長合格者 77歳・2名(75歳)

試験概要

例年次のとおり行われています。

受験資格の制限がない

行政書士試験の最大の特徴は「受験資格の制限がない」ことです。その他、以下のとおりの内容です。

・受験資格:制限なし(年齢、学歴、国籍等に関係なくだれでも受験可)

・試験日時:例年11月の日曜日 午後1時~午後4時

・試験場所:全国主要都市で行われます

・受験手数料:7千円

・試験内容

1.行政書士の業務に関し必要な法令等(46題)

 ~憲法、行政法、民法、商法、基礎法学及び法令(択一式及び記述式)

2.行政書士の業務に関連する一般知識等

 ~政治・経済・社会、情報通信・個人情報保護、文章理解(択一式)

試験基準・難易度

300点満点中、6割以上が合格とされています。

なお、行政書士試験について、詳しくは一般社団法人行政書士試験研究センターのホームページをご覧ください。

行政書士の業務

行政書士は、「行政に関する手続の円滑な実施に寄与し、あわせて、国民の利便に資することを目的」として業務を行っています(行政書士法1条)。

行政書士が行うことができる業務

具体的には、次の「行政手続書類」と「民事書類」の2つの書類に関する相談・作成および官公署等への提出代理を行っています。

1.行政手続書類~官公署(役所)に提出する書類

 たとえば、建設業、風俗営業、運輸業、外国人の在留資格等の許可申請

2.民事書類~権利義務または事実証明に関する書類

 たとえば、遺言書、遺産分割協議書、各種契約書

 

「行政手続書類」も「民事書類」も取り扱い範囲がとても広いです。「業務範囲が広い」ことが行政書士の特徴の一つです。

詳しくは、行政書士はどんなことをする人?をご覧ください。

行政書士が行うことができない業務

ただし、他の士業の法律(弁護士法、司法書士法、税理士法等)で制限されている次のような業務は行うことはできません(行政書士法1条の2、1条の3)。

1.行政手続書類業務~税務申告(税理士)法人や不動産の登記(司法書士)

2.民事書類業務~裁判につながるおそれがある紛争案件(弁護士)

このように、各国家資格の士業(行政書士、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士等)は、各々の資格を定める法の下で、独占分野が保護されています。そして、各士業は、法で与えられた独占分野の専門性を高めることで、国民の利便性に寄与しています。

行政書士は「お得」な資格

司法試験や司法書士試験と違って、やるべきことをきちんとやれば、「受からない試験」ではありません。努力が報われる難易度です。仕事や子育てをしながら合格する方も大勢いらっしゃいます。

以上ご覧いただいてお分かりいただけると思いますが、行政書士は、試験の難易度に比べて、業務範囲が広く、なおかつ法で与えられた権限が強い資格です。いわば、「お得な資格」といえます。

行政書士を活用して人生100年を輝かせる

このお得な資格を活用して、自分のキャリアを行政書士で活かそうという方が増えています。

行政書士には定年がありません。今後、定年後を見据えた方の受験が増えてくると考えられます。

行政書士は多様な人材が活躍できる資格です。興味ある方は、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

合格者の方へメッセージ

開業すると、皆さんの目の前には、「今抱えている切実な不安を速やかに解消したい!」と切に願う相談者が訪れます。その期待に応えるためには、当然ですがその悩みを解消できる専門性が求められます。

しかし、行政書士試験の合格レベルの知識では、このような相談者の期待に応えるのは難しいのが現実です。残念ながら、知識不足が原因で依頼者の期待を裏切ってしまい、懲戒処分を受ける者も少なくありません。

ぜひ、しっかりと準備を調えてから開業することをお勧めします。

そして、行政書士という資格を活用して人生を輝かせてください!

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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