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11月23日は「勤労感謝の日」~「天皇誕生日」はいつになる?「春分の日」は決まってない!

竹内豊行政書士
11月23日は「勤労感謝の日」。祝日についてまじめに考えてみました。(写真:アフロ)

11月23日は「勤労感謝の日」です。

当たり前のことですが勤労感謝の日は「祝日」であり「休日」です。

そもそも祝日とは何でしょうか。なぜ祝日は休日なのでしょうか。

天皇の退位によって「天皇誕生日」はいつになるのでしょうか。

そして、祝日を調べてみると、意外な事実も判明しました。

祝日は家族にとって大切な日。今回は休日について見てみたいと思います。

祝日は「国民こぞって」祝う日

祝日は、「国民の祝日に関する法律」(以下、条文は同法)に次のように定められています。

第1条 

自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、これを「国民の祝日」と名づける。

つまり、日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、国民こぞつて祝い、感謝し、又は記念する日を定め、その記念する日を「国民の祝日」としたのです。

祝日が休日になる理由

さらに、国民の祝日に関する法律は、第3条で国民の祝日を休日と定めています。

第3条

1.「国民の祝日」は、休日とする。

2.「国民の祝日」が日曜日に当たるときは、その日後においてその日に最も近い「国民の祝日」でない日を休日とする。

3.その前日及び翌日が「国民の祝日」である日(「国民の祝日」でない日に限る。)は、休日とする。

先に見たように、第1条で、祝日を「国民こぞって祝う日」と定めています。

「こぞって」は「挙って」と書きます。その意味は次のとおりです。

「ある集団を構成する者全員が同じ行動をするさま。残らず。あげて。」(三省堂『大辞林』)

国民こぞって祝うためには、休日にする必要があるということでしょうか。

振替休日のルール

前掲の第3条2項は、いわゆる「振替休日」と呼ばれる休日です。たとえば次のとおりです。

平成30年(2018年)

12月23日(日):天皇誕生日(祝日)

12月24日(月):振替休日

同条3項の意味は、前日と翌日の両方を「国民の祝日」に挟まれた平日は休日となるということです。例を挙げてみましょう。

平成27年(2015年)

9月21日(月):敬老の日(祝日)

9月22日(火):休日

9月23日(水):春分の日

「春分の日」と「秋分の日」は月日が決められていない

そして、国民の祝日に関する法律は、次のように国民の祝日を列挙しています。

第2条 「国民の祝日」を次のように定める(注:1~16の数字は加筆)。

1.元日 一月一日 年のはじめを祝う。

2.成人の日 一月の第二月曜日 おとなになつたことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を祝いはげます。

3.建国記念の日 政令で定める日 建国をしのび、国を愛する心を養う。

4.春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。

5.昭和の日 四月二十九日 激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧み、国の将来に思いをいたす。

6.憲法記念日 五月三日 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。

7.みどりの日 五月四日 自然に親しむとともにその恩恵に感謝し、豊かな心をはぐくむ。

8.こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。

9.海の日 七月の第三月曜日 海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う。

10.山の日 八月十一日 山に親しむ機会を得て、山の恩恵に感謝する。

11.敬老の日 九月の第三月曜日 多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う。

12.秋分の日 秋分日 祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ。

13.体育の日 十月の第二月曜日 スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう。

14.文化の日 十一月三日 自由と平和を愛し、文化をすすめる。

15.勤労感謝の日 十一月二十三日 勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。

16.天皇誕生日 十二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。

気付いた方がいるかもしれませんが、「春分の日」及び「秋分の日」は、法律で具体的に月日が明記されていません。

「春分の日」及び「秋分の日」については、国立天文台が、毎年2月に翌年の「春分の日」、「秋分の日」を官報で公表しています。詳しくは、国立天文台ホームページをご覧ください。

天皇誕生日が変わる

天皇が退位されるに伴い、「皇室典範特例法」附則第10条により、国民の祝日に関する法律が一部改正されるため、皇室典範特例法の施行の日(平成31年4月30日)の翌日より、天皇誕生日が12月23日から2月23日になります。

したがいまして、2019年12月23日は祝日ではありません。

皇室典範特例法(国民の祝日に関する法律の一部改正)

第10条 国民の祝日に関する法律の一部を次のように改正する。

  第二条中

「 春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。 」

 を

「 天皇誕生日 二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。 

 春分の日 春分日 自然をたたえ、生物をいつくしむ。 」

 に改め、「天皇誕生日 十二月二十三日 天皇の誕生日を祝う。」を削る。

「勤労感謝の日」とは

勤労感謝の日は、前掲の「国民の祝日に関する法律」に次のように規定されています。

第2条

勤労感謝の日 十一月二十三日 勤労をたつとび、生産を祝い、国民たがいに感謝しあう。

一般的な勤労感謝の日と違う印象を受けた方がいるのではないでしょうか。

元々は、新嘗祭として収穫物に感謝する行事(天皇が神がみに新米を供え自身でも召し上がる、宮中の行事)として行われていました。しかし、戦後の占領政策によって天皇行事・国事行事から分離されて現在の勤労感謝の日として定められたのです。

「国民たがいに感謝しあう」を国民の構成単位である「家族」に置き換えると、「家族たがいに感謝しあう」になり、「働いているお父さんありがとう」「働いているお母さんありがとう」・・・。となったのではないでしょうか。

祝日について知っておくと、いつもと違った気分で過ごせるかもしれません。いずれにしましても、休日を楽しんでください!

行政書士

1965年東京生まれ。中央大学法学部卒業後、西武百貨店入社。2001年行政書士登録。専門は遺言作成と相続手続。著書に『[穴埋め式]遺言書かんたん作成術』(日本実業出版社)『行政書士のための遺言・相続実務家養成講座』(税務経理協会)等。家族法は結婚、離婚、親子、相続、遺言など、個人と家族に係わる法律を対象としている。家族法を知れば人生の様々な場面で待ち受けている“落し穴”を回避できる。また、たとえ落ちてしまっても、深みにはまらずに這い上がることができる。この連載では実務経験や身近な話題を通して、“落し穴”に陥ることなく人生を乗り切る家族法の知識を、予防法務の観点に立って紹介する。

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